「韓国が日本に勝った」のカラクリ
実際、まわりを見てみてもあまり元気がない、そんな韓国経済でした。成長率予想も良くて1%台、機関によっては0%台の予想が出るようになりました。「4%成長が最低限」と呼ばれていた時期もありますが、もう時代が変わったのでしょう。
「日本に勝った、日本に勝った」としていながら、なぜそんな状況にあるのでしょう。いろいろ理由はあります。たとえば、1人あたりのGDPや賃金は、まず為替レートによる影響が大きい。円キャリートレードだのなんだのと、為替レート関連で難しい用語をニュースで見るようになって、もう久しいです。
GDP順位でもドイツに抜かれたなど、そんなニュースがありましたが、当時のドイツの経済はむちゃくちゃで(2025年の今、再建計画を本格化していると聞きます)、マイナス成長の真っ最中でしたから、数値とはそんなものでしょう。
大企業と中小企業の所得格差が大きい
そして、韓国社会の格差問題(大企業による雇用が少なく、大企業と中小企業の賃金格差が大きい)も考える必要があります。日本でも大企業と中小企業の賃金格差が問題になっていますが、その差は、「大企業を100とした場合の賃金格差は、中企業が約85~90、小企業が約80」となっています。
一方、韓国の場合は、『ハンギョレ新聞(日本語版)』の2024年11月11日の「若者が就きたがる仕事がなければ韓国の未来もない(2)」という記事によると、「大企業の労働者の平均所得は、中小企業労働者の2.1倍、20代は1.6倍、40代は2.2倍、50代になると2.4倍に広がる」とのことです。
また、韓国は大企業による雇用創出が他国に比べて低いことで有名です。韓国では雇用300人以上を大企業、OECD(経済協力開発機構)は250人以上を大企業としますが、OECD基準で、その国の雇用において大企業雇用の比率は、OECD平均32.2%、日本40.9%、ドイツ41.1%、フランス47.2%、米国57.6%などです。
国の経済構造の特性によっても異なるでしょうけど、構造が日本と似ているとされる韓国の場合は、13.9%でした(『中央日報』2024年2月27日「韓国大企業働き口、OECD最低~」より)。
