image:なぜ「今こそゴールド投資」といえるのか?,安定した資産形成に金が有利なワケ

なぜ「今こそゴールド投資」といえるのか?

安定した資産形成に金が有利なワケ

リスク分散と高リターンを両立

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新NISAブームやインフレの進行で、投資への関心が高まっている。株式や債券に目を向ける人も多いが、実は株式や債券と一緒に組み合わせることで、より安定した資産形成が実現できるとして注目を集めているのが金(ゴールド)だ。ゴールド投資の専門家で、資産運用会社、ステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズ(以下ステート・ストリート)のヴァイス プレジデント、ゴールド・ストラテジストのアーロン チャンさんに、金の魅力を語ってもらった。

image:アーロン チャン

アーロン チャン

ステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズ株式会社

ヴァイス プレシデント ゴールド・ストラテジスト

2024年6月にステート・ストリートに入社。グローバルのSPDR🄬(スパイダー)・ゴールド・ストラテジー・チームに所属する日本拠点のストラテジストとして、日本における機関投資家ビジネスおよびファンドやETFを担当するインターミディアリービジネスのセールス活動を、金(ゴールド)とETFプロダクトの専門家としてサポート。ステート・ストリート入社以前は、ウェルメイ株式会社のゼネラルマネージャーとして不動産投資の評価や新しい投資機会のソーシング業務に従事。それ以前は、ナットウエスト・マーケッツ証券会社、ソシエテ・ジェネラル証券株式会社、ICBCスタンダードバンクでさまざまな役職を歴任。 ICBCスタンダードバンクでは金を含むプレシャス・メタル(貴金属)の営業担当として、ビジネスの推進や顧客リレーションの開拓も担当。ボストン大学経済学学士およびマギル大学大学院経営学修士を取得。また、慶応義塾大学にて日本語プログラムを修了。

魅力的なリターンをもたらし
人気を集めるゴールド

最近、ゴールド投資の人気が高まっているそうですね。なぜでしょうか。

【チャン】やはり、投資家に魅力的なリターンをもたらしていることが、大きな理由でしょう。

金は国際市場では米ドル建てで取引されているのですが、今年上半期には2020年以降で最も良い上半期のパフォーマンスを記録しており、6月30日時点では半期で12.8%も上昇しています。

円建てで見ると、さらに価格上昇が顕著です。2019年からずっと右肩上がりを続けており、特に今年に入ってからは過去最高値を更新し続けてきました。2019年から2023年までの5年間の年平均成長率は約15%にのぼっています。

さらに、円安の追い風を受け、6月30日時点の上半期では約28%も上がっています。同時期の日経平均やTOPIXの上昇率は約18%ですから、金のリターンはそれを大きく上回っています。

価格の上昇は、需要の高さを物語っています。要因は何でしょうか。

【チャン】複数考えられます。1点目は、金の「安全資産」としての側面にスポットが当たっていることが挙げられます。特に2022年にウクライナの戦争が始まってから、個人投資家や各国の中央銀行が、金を積極的に購入しています。今後も地政学的に不安定な状況は続きそうなので、おそらくこの傾向は続くでしょう。

株式や債券は、それそのものに価値があるわけではなく、発行体の企業や国などの業績や信用によって、価値が変わります。一方、金は、それ自体に価値があり、長い歴史の中でも無価値になったことはありません。

このため、戦争や経済危機などでリスクが高まると、投資家も各国の中央銀行も、金を購入する傾向があるのです。金が「有事の金」「安全な避難場所」と呼ばれているゆえんです。

出所:ブルームバーグ・ファイナンスL.P.、 ステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズ。2023年12月31日時点。 過去のパフォーマンスは、将来のパフォーマンスの信頼できる指標ではありません。ポートフォリオの分散は利益を保証するものでも、損失が生じないことを保証するものでもありません。

出所:ブルームバーグ・ファイナンスL.P.、 ステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズ。2023年12月31日時点。 過去のパフォーマンスは、将来のパフォーマンスの信頼できる指標ではありません。ポートフォリオの分散は利益を保証するものでも、損失が生じないことを保証するものでもありません。

2点目は、中国の投資家がこぞって金に投資しているためです。

中国では不動産バブルが崩壊し、株価も下落しています。国内投資の選択肢が限られる中、中国の投資家が、安定的でリターンの高い投資先として、金に目を向けています。

3点目は、物価上昇リスクへの対策です。

金は歴史的に、インフレに連動して価格が上がる傾向があります。インフレで価値が目減りしにくいのです。そのため、インフレをヘッジするためのゴールド投資が活発化しています。

これらの理由から、「歴史的に他の金融資産との相関が低くインフレに強い資産」である金を、投資ポートフォリオに組み入れる人が増えているのです。

分散効果でポートフォリオの
リスクを低減

株式や債券などに、金を組み合わせて投資するメリットは、どんなところにありますか。

【チャン】投資をするときには、分散効果を高めることが重要です。一つの商品だけに集中投資していると、その商品の価格が下落した場合の影響が大きくなります。また、複数の商品に投資していたとしても、それらすべてが似た値動きをするのであれば、やはり価格が下落した際に、資産全体の目減り幅が大きくなります。

ですから、ポートフォリオ全体のリスクを低減させるためには、値動きの傾向が異なる商品を組み合わせ、分散効果を高めた方が良いのです。

歴史的に金は、株式や債券など他の金融資産との相関が低いという特徴があります。つまり、他の金融資産の価格が下がったときにも引きずられず、価格が下がりにくい。実際、1987年に起きた世界的な株価大暴落「ブラックマンデー」から今年までの37年間を見ると、米国株式市場では15%以上の株価下落局面が13回発生していますが、そのうち10回で、金の価格は上がっています。残り3回についても、株価の下落幅に比べて金の下落幅は緩やかでした。

だからこそ、分散効果の高い金をポートフォリオに組み入れ、リスク低減を図る人が増えているのです。

出所:ブルームバーグ・ファイナンスL.P.、ステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズ。米国株式は、S&P500トータルリターン指数を使用しています。金は金のスポット価格。データ期間は1987年8月25から2024年3月31日まで。過去のパフォーマンスは、将来のパフォーマンスの信頼できる指標ではありません。インデックスのリターンには、インカム、利益および損失のすべての項目と、配当金の再投資が反映されています。インデックスのパフォーマンスは、ステート・ストリートが運用するいかなる商品のパフォーマンスも反映していません。

出所:ブルームバーグ・ファイナンスL.P.、ステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズ。米国株式は、S&P500トータルリターン指数を使用しています。金は金のスポット価格。データ期間は1987年8月25から2024年3月31日まで。過去のパフォーマンスは、将来のパフォーマンスの信頼できる指標ではありません。インデックスのリターンには、インカム、利益および損失のすべての項目と、配当金の再投資が反映されています。インデックスのパフォーマンスは、ステート・ストリートが運用するいかなる商品のパフォーマンスも反映していません。

出回っているのは
わずか「プール3面分」

ほかのメリットには、どんなものがありますか。

【チャン】まず、長期にわたって価格が上がり続けていることが挙げられます。1971年の「ニクソンショック」で金の価格が需給で変動するようになって以降、50年以上にわたって年平均成長率7.8%の伸びを見せてきました。

金は、地球が生み出した貴重な地下資源であり、2023年末時点の推定によると、地上で出回っている量は約21万2000トンと、オリンピックプール3面分程度にすぎません。しかも、地中埋蔵量はわずか5万9000トンとみられています。

希少性が高く、供給量に限りがある一方で、常に手堅い需要があることも、価格が高く安定している理由の一つです。

中でも世界各国の中央銀行からの需要の高さは、ほかの資産にない特徴です。例えば2014年からの10年間の金の需要を見ると、年平均で14%を中央銀行が占めています。また、中央銀行は、昨年まで14年連続で買い越しており、特に経済成長中の新興国が、外貨準備資産として積極的に購入しています。これは、金に対する信頼性の高さを表しているといえるでしょう。

主要な株式、債券、為替市場に匹敵する流動性の高さも、大きな特徴です。2023年の金の平均取引金額は、1日1630億米ドル以上とされ、昨年末の為替で計算すると約23兆円に相当します。これは、S&P指数に採用されている全銘柄の出来高に匹敵するレベルです。市場が大きいため、売り買いが容易で、必要なときに素早く現金化できるのです。

コストが低く、
手軽なゴールドETF

金に投資する方法としては、金貨や延べ棒などの金地金購入、純金積み立て、投資信託、ETFなどがあります。ゴールド投資を始めるにあたって、お勧めの方法は何でしょうか。

【チャン】金に長期投資して資産形成を行う場合は、購入時の手数料だけでなく、購入後、保有期間中にかかり続けるコストができるだけ低いものを選ぶことが重要です。

そこで検討できるのが、金の現物を裏付けとするETF(上場投資信託)です。

ゴールドETFは、金の国際市場価格に連動するよう運用されるETFで、証券会社で売買することができます。金地金のような保管コストや盗難リスクがないほか、万が一、証券会社や管理会社が破綻したとしても資産は保障されます。また、少額から購入が可能なので、少額から始めて計画的に購入していきたいと考える人にも適しています。

ETFは売買手数料や管理費用がかかりますが、ネット証券などでは売買手数料を無料にしていることが多く、管理費用も一般的な投資信託に比べて安く設定されています。新NISAを利用すれば売買益が非課税になるので、金地金や純金積み立てよりも税金面で有利になる可能性があります。

ゴールドETFなら、手軽に、低コストで金に投資することが可能です。ぜひ、歴史的に他の金融資産との相関が低くインフレに強い「金」を活用して分散効果を高め、リスクに強いポートフォリオを実現してください。

ステート・ストリートのゴールドETF

「SPDR® ゴールド・シェア(ティッカー:GLD、東証上場コード:1326)」は現物の金を裏付けとするETFで2004年に設定されて以来、世界中の多くの投資家に保有されています。本ETFの登場により、機関投資家だけでなく、個人投資家も含めすべての投資家に透明性が高く、費用対効果に優れた金へのアクセス手段を提供することができるようになりました。現在では金を裏付けとするETFの中でも世界最大の運用残高となり、かつ最も流動性の高いETF(米国に上場する金を裏付けとするETFの中で約60%のシェアを占める)*へと成長をしました。また本ETFはNISAの成長投資枠の対象となっており、ポートフォリオを分散したい投資家にとっても一役を担えればと考えています。
*ブルームバーグ・ファイナンスL.P.,2024年6月末時点

INFORMATION

ステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズではETFや投資信託の基本知識から、グローバルの運用担当者やストラテジストのインサイトなど幅広く情報提供をしています。ぜひウェブサイトをご覧ください。