Xの投稿とリライトをこなす
タイトル作りを上達させるコツは、とにかく数をこなすことです。
「でも、記事を完成させない限り、タイトルはつけられないんでしょう」と思っていませんか? そんなことはありません。
記事を書かなくても、タイトルを作成するスキルをピカピカに磨く方法があります。タイトル作りがうまくなるトレーニングを4つ紹介しましょう。
1 良いタイトルをメモして真似する
「これ、良いな」「おもしろいな」などとピンときたタイトルに出会ったときは、メモをとっておきましょう。
メモをとるのは、スマホのメモアプリでも、手書きのノートでもOKです。定期的に見返せば、アイデアの創出元になります。
記事のジャンルは偏らずに、なるべくたくさんのメディアに触れると良いでしょう。自分と興味がかけ離れている記事でも、タイトルだけはメモしておくこと。メモしたら、自分の記事だとどんなふうにアレンジできるか、頭の中で考えるようにします。これをくり返すことで、印象的なタイトルを思いつくことができるようになります。
ちなみに筆者の場合、いいなと思ったタイトルには「#タイトル職人」とつけてXに投稿しています(画像1参照)。これを定期的に行うことで、「良いタイトル」の知識が蓄積されていきます。タイトルを考えるのに行き詰まったときは、見返すだけでも参考になります。
2 ネットニュースをリライトする
パッと目についたネットニュースのタイトルを、自分流に書き直してみる(リライト)トレーニングです。
このとき、文字数を気にする必要はありません。「もっとこういう書き方ができるのではないか」と、頭の中で想像力を自由に働かせましょう。アレンジ例は後述します。
思いつくままにどんどんリライトすると、瞬時にアイデアを思いつくようになります。前回ご紹介したように、タイトルに数字を入れたり、冒頭にキャッチーな言葉をつけてみたりするなどして、簡単なところからチャレンジしてみましょう。
BEFORE 小麦粉でつくる「簡単ホットケーキ」レシピ
AFTER たったの4STEP! 小麦粉でつくる「簡単ホットケーキ」レシピ
言葉遊びでパワーアップ!
3 ストップウォッチを使った連想ゲーム
自分の執筆したいテーマをもとに、連想ゲームをしましょう。タイトルに必要なボキャブラリーを強化でき、アウトプットのトレーニングにもつながります。
まずはベースとなるシンプルなタイトルを1つ用意します。
今回は「貯金を10倍にする方法」というタイトルをもとに考えてみましょう。「貯金」「10倍にする」「方法」というように、いくつかの言葉に区切って、言い換えの連想ゲームをします。
これは、自分の頭の中に類語辞典を作るようなものです。
類語は簡単にウェブで調べることができますが、自分の頭の中に入っていれば、作業の効率化につながります。語彙力・表現力もパワーアップできるので一石二鳥! 言葉に歯止めをかけず、自由に脳の引き出しを開けていきましょう。
連想ゲームでは、記事内容について考えなくてもOKです。タイトルとして成立しなくても問題ありません。言葉遊びだと思って、楽しみましょう。
「方法」を「伝家の宝刀」にする言い換え力
先ほどの「貯金」「10倍にする」「方法」を例にとると、筆者の場合、こんな言葉が脳内に浮かんできました。
次に例を挙げます。
貯金……蓄え、財布の中身、預金通帳のケタ、銀行口座、全財産、マネー、積み立て
10倍にする……増やす、爆上げする、爆発させる、勝手に増える、手がつけられないほど増える
方法……テクニック、裏ワザ、秘儀、必殺技、トレーニング、伝家の宝刀、巻物、忍術
本格的なトレーニングにするために、スマートフォンのストップウォッチ機能をセットしてそばに置いておくのもおすすめです。だらだらと練習するよりも、「3分」などと時間制限を設けることで脳が程よく緊張し、最後の最後までアイデアを出そうと頑張ってくれます。
時間で区切らず、「20個表現を出すまで頑張る」と、目標の個数を設定してもいいでしょう。
脳に制限をかけることなく言葉を捻出することで、「自分にはこんな語彙力があったのか」と、感動するはず。こうした「言い換え力」を鍛えておくことで、幅広いタイトル表現を思いつくようになり、ユニークなタイトルを生み出すことができるようになります。
「走・攻・守」を意識して3案作る
4 タイトルは最低でも3パターン考える
私の場合、タイトルを考える際は、いつも3パターン作って検討しています。
私が定期的に寄稿している雑誌『プレジデント』の編集者は、担当する企画のタイトルを3案出すようにデスク(編集の責任者)から言われます。
ここで、似たようなタイトルを3つ出しても意味がありません。方向性の違うタイトル案を出すのが、幅広いクリエイティビティを引き出すコツです。
タイトルを考えるときは、野球でよく言われる「走・攻・守」を意識します。これは、野手に必要とされるスキルのことで、「走」が走塁、「攻」が打撃、「守」が守備のことですね。これをタイトルに当てはめると、次のイメージです。
攻……ちょっと過激で挑発的、ぶっ飛んだもの
守……テンプレに則ったオーソドックスでマイルドなもの
このようなイメージで、まったく方向性の違うタイトルを3つ作り、アイデアを膨らませます。
危機感を煽る戦術
たとえば男性のビジネスパーソン向けに、「好かれるメール・嫌われるメール」というテーマで記事を執筆する場合のタイトルは、このような具合です。
走 なぜ、あなたのメールは感じが悪いのか?
攻 キモすぎる! 一発アウトな「嫌われるおじさんメール」とは
守 これで嫌われない! 「好かれるメール」の書き方4選
これをベースに、メディアの特色や、読者との相性を見つつ、タイトルを決定していきます。
先ほど挙げた雑誌『プレジデント』は、40~50代のビジネスパーソンが読者の中心層です。会社ではベテランとして働き、若い世代とのやりとりも多く発生する年頃です。彼らの中には、若手とどのようにコミュニケーションを取るべきか、悩んでいる人も少なくありません。
そうした読者のために、まず、若い人に嫌がられるメッセージの事例をピックアップしました。さらに、言われたくない言葉であろう「キモい」という言葉をタイトルで目立たせて、危機感を煽る作戦を立てました。それが次のタイトルです。
中年男性が使うと「キモい」と思われる…一発アウトな絵文字10選
記事の反響は狙い通り上々でした。プレジデントオンラインにも投稿したところ、多くのリツイートを集めています。
初心者の方がすぐに「走・攻・守」を意識するのは少し難しいかもしれません。まずは、異なるテンプレを3つ試してみるだけでも十分です。一つのタイトル案にこだわらず、複数のアイデアから本番用タイトルを決めるのが、より「バズる」タイトルに近づかせるコツです。