なぜ、ウェブ記事はタイトルが重要なのか。ウェブタイトルのプロフェッショナルとしてコーチングをする東香名子さんは「ウェブの世界はタイトルが命。どんなに面白い文章を書いても、タイトル冒頭の9文字に気になる言葉がなければ、読者にスルーされる」という――。

※本稿は、東香名子『超タイトル大全 文章のポイントを短く、わかりやすく伝える「要約力」が身につく』(プレジデント社)の一部を再編集したものです。

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2秒で読める21文字のタイトルをまずは目安に

タイトルは、目に触れる最初の1秒、いえ、0.9秒が勝負です。そのため文字数は、短すぎても長すぎてもいけません。適切な文字数でバランスをとることが大切です。

ここ数年は、ウェブ記事のタイトルの文字数は30文字前後が一般的です。トレンドや検索サイトの仕様によって若干の増減がありますが、8~9割がたが30文字前後に落ち着いています。

ただ、慣れていない人の場合、30文字のタイトルを無理に作る必要はありません。まずは21文字を目安に考えてみましょう。21文字でも十分、読み手の心にアプローチすることができます。

人間が1秒間に認識できる文字数は約10~13文字と言われています。タイトルが21文字だと、約2秒で読むことができます。2秒であれば、さっと確認できる、負担にならない長さと言えます。それ以上長くなると、よほど魅力的なタイトルでない限り、記事を読む前に疲れてしまい、スルーされてしまいます。

「最初の9文字」がタイトルの命

タイトルの最初には、読者が好きそうな言葉、反応を示しそうなキーワードをあますところなく入れてください。

とくに、最初の9文字以内に入れると効果絶大です。

タイトル冒頭の9文字に気になる言葉がなければ、読者にスルーされます。たとえ読者の求めていた情報が記事に出てきたとしても、「この記事は興味がないな」と思われてスルーされるという悲しい事態が生じます。まずはしっかりとタイトルを読んでもらうためにも、最初の段落で読者の心にアプローチする必要があります。

ちなみに、記事を投稿するサイトによっては、表示されるタイトルの文字数も異なります。

まずは、あなたが寄稿するサイトが何文字まで表示されるかを確認しましょう。表示しきれない場合は「…」と省略されるのが一般的です。仮に「…」の部分に、キモとなるキーワードを書いていたとすれば……。そうです、悲劇の始まりですね(泣)。非常にもったいないので、そうならないように、サイトに表示される文字数は必ずチェックしてください。

たとえば25文字までしか表示されないサイトなら、それに合わせたタイトルを作ります。

しつこいようですが、大事なキーワードは、必ず冒頭9文字以内に入れましょう。

メリットを入れて読者の心を撃つ

心を撃つタイトルに欠かせないもの。それは「読者のメリット」です。

平たく言うと「その記事を読んで得をすること」になります。タイトルに読者のメリットを入れることで、読者の「読みたい」という気持ちを刺激します。もちろん、コンテンツの魅力を高める効果があるのは、言うまでもありません。読者はメリットを感じないと、クリックをしないのです。

ではどうすればいいかというと、具体的には「~になる」「~が解決する」といった表現を使います。

メリットは、明瞭かつストレートに書くこと。それが矢となり、読者のハートに刺さり、「読んでみよう」という気を起こします。

読後のポジティブ変化を明示する

次のNG例を見てください。

NG例
新社会人が読むべき本10選

ウェブでよく見かけるタイトル「~するべき」ですが、推奨はしません。

読者にとって押しつけがましく、偉そうな印象を受けるからです。それよりも「読むとどうなるの?」という部分の、メリットに重点を置くのがよいでしょう。

次のような例が参考となります。

OK例
新社会人の悩みが一瞬で解決する本10選
新社会人の仕事がうまくいく本10選

いかがでしょうか。この2つにはそれぞれ「仕事がうまくいく」「悩みがスッと軽くなる」というメリットが入っていますね。これで読者のハートはバッチリつかめます。

ハート形の的に刺さる矢
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上手にメリットを入れるためには、面倒でも、読者の理想像は何か、どんな悩みを解決したいのかをしっかり研究することです。読者のニーズを捉え、読んだ後のポジティブな変化を明確に示します。そうすることで、読者は記事を読んでみたいと思うようになります。

数字を入れるとタイトルが光る

そして、タイトルに数字を入れることで、バズりやすくなります。

理由の一つに「目立ちやすさ」があります。

「え、そんなこと?」と思ったかもしれません。しかし考えてみてください。ネット上には日々膨大な数の記事が公開されています。タイトルを読まずに、ニュースサイトをただスクロールした経験は誰にでもあるはずです。その一瞬で、あなたの記事も見つけてもらわなければなりません。

数字は独特な形をしており、日本語の中にあると目立ちやすい特徴があります。そのインパクトは絶大です。数字を使うだけで、まるでスポットライトが当たるように、タイトルに光が差し込みます。

たとえクリックされなくても、数字によって読者の目線を留めて、タイトルだけは読んでもらうこと。これがバズるための小さな一歩なのです。

書き手の信頼度も数字でアップ

また、情報を整理して明確に伝えることができるのも、数字のメリットです。

ウェブの定番タイトルである「~できる3つの方法」といった表現は、コンテンツの要点を簡潔にまとめてくれます。情報が整理されるので、読者もコンテンツを追いやすくなります。

数字の3を持つ手
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読む時間のあたりをつけることもできるので、「方法はたった3つなのか。これだけ読んでおこうかな」と、読むことへの動機づけにもつながります。

ここで2つの例を示します。

タイトル例
1 日曜大工が楽しくなるコツ
2 日曜大工が楽しくなる3つのコツ
東香名子『超タイトル大全 文章のポイントを短く、わかりやすく伝える「要約力」が身につく』(プレジデント社)
東香名子『超タイトル大全 文章のポイントを短く、わかりやすく伝える「要約力」が身につく』(プレジデント社)

2のほうに、あなたの「読みたいアンテナ」がピンと反応しませんでしたか?

体感通り、数字を入れるだけで、受け取る側のインパクトは大きくなります。さらに、数字はコンテンツの内容や事実、舞台背景を具体的に伝えることができます。

たとえば人にまつわる数字である年齢や年収、身長、体重などは、書けば書くほどその人物像がリアルに浮かび上がり、より興味をそそる結果となります。数字を使うことで、書き手の信頼感をアップさせることもできます。

もう一つの例を紹介しましょう。

タイトル例
1 弁護士が教える「正しい熟年離婚」の始め方
2 この道30年の弁護士が教える「正しい熟年離婚」の始め方

一目瞭然ですね。1にあるただの「弁護士」よりも、2の「この道30年のベテラン弁護士」の記事を読みたくなったのではないでしょうか。入れるのに適切な数字が思いつかない場合は、手順(「5か条」など)、期間や時間(「たった1週間で」など)、割合など、何か1つでも自分の記事タイトルに数字を入れられないか、今一度考えてみましょう。