※本稿は、齋藤明『中学生「偏差値70超」の子の勉強法 カリスマ塾長が明かす“劇的に成績を伸ばす”ルール』(大和出版)の一部を再編集したものです。
実力だけでは内申はアップしない
さて、ここでは、内申をアップさせる方法について具体的にお伝えしていきます。
定期テストや実力テストで結果を出すのも大事ですが、それと同時に内申アップにも力を入れておく必要があります。
実際、偏差値70以上の高校に進学するには、実力だけつければいいとは限りません。
学校によって異なりますが、多くの高校で「内申」も高校入試に大きくかかわってくるからです。
たとえば、私の塾がある埼玉県の場合には、中1の内申から公立高校の入試に影響してきます。それも5教科だけではなく、実技教科も含めた内申が影響するのです。
埼玉県は内申の基準をクリアすればほぼ合格
一般的に、偏差値70以上の高校を目指すのであれば、9教科の内申で「42」くらいの数値が必要です。
「5」が6個。「4」が3個で、合計「42」となります。
また、鹿児島県の場合は、中3の内申のみが対象になるのですが、驚くべきことに入試で5教科の内申が2倍になるのに対して、実技教科の内申は20倍になって、入試の当日点に加算されるとのこと(2023年現在)。
仮に5教科すべて5だった場合には、5×2×5教科で50点。実技教科がすべて5だった場合には、5×20×4教科で400点。内申の合計が450点満点。
そして入試の点数は、1教科90点満点の5教科で、450点満点。
内申と入試の点数の合計で900点満点となるわけです。
ちなみに埼玉県の私立高校の場合には、内申の基準をクリアするとほぼ合格に近い形で入試を迎えられるケースもありますが、合格が保証されているものではありませんので、当然、実力もつけておく必要があります。
いずれにしても、それだけ内申は、公立や私立を問わず、合否に影響する重要な要素となっているのです。
なお、入試における内申の計算方法は、都道府県や各私立高校によって異なりますので、インターネットで詳細をお調べください。
内申の項目が変わった
さて、近年、内申の項目が変わったのはご存じでしょうか?
通知表の項目が「知識・理解」「技能」「思考・判断・表現」「関心・意欲・態度」の4項目から、「知識・技能」「思考・判断・表現」「主体的に学習に取り組む態度」の3項目に変更となりました。
授業中に手をあげられなくても大丈夫
まずは、図表1を参考に、通知表のつけ方や項目について見ていきましょう。
通知表には、9教科(国語、数学、英語、理科、社会、音楽、美術、保健体育、技術・家庭)の成績が1~5の数値で示されています。
これを「評定」と言います。
評定は、3つの観点、すなわち「知識・技能」「思考・判断・表現」「主体的に学習に取り組む態度」の「評価」を総合して決められます。
それぞれ、A~Cの3段階で評価されます(中学によっては、◎、○、無印の3段階となります)。
「知識・技能」とは、国語の漢字や数学の計算問題、理科や社会の語句を問う問題などの基本問題が、この観点に入ります。単元テストや定期テストで90点以上の高得点をとれば、Aがもらえる可能性は高いでしょう。
「思考・判断・表現」とは、テストなら応用問題となります。数学の場合、テストの最後のほうに出題される文章題や図形問題、その他では英語の英作文や理科の記述問題、社会の資料を読み取る問題などが、それにあたります。
「思考・判断・表現」でAの評価を得るには、まず「知識・技能」と同様に、定期テストで90点以上を目指しましょう。
「主体的に学習に取り組む態度」とは、簡単に言い換えると「意欲的に学ぶ姿勢」です。
具体的には、授業中の挙手や発言がそれにあたります。また、学校のワーク、ノート、レポート、授業の振り返りシートの記入なども該当します。
もしかすると、「自分は授業中に手をあげるのが苦手だから……」と思った人がいるかもしれませんね。
大丈夫です。
手をあげなくても、しっかり学校の先生の「目」を見て授業を聞いていれば、問題ありません。
また、授業の内容を理解したときには、うなずいてみるのもいいでしょう。
挙手をしなくても、学校の先生には、しっかり授業を受けている姿勢が伝わるはずです。
提出物の期限はたった1日過ぎてもアウト
ここでは、内申が悪い子のエピソードを交えながら、内申が下がるポイントを紹介していきます。
まず、「提出物の期限が守れていない」場合には、「主体的に学習に取り組む態度」の項目の評価が下がります。たった1日でも過ぎたら、アウトだと思ってください。
また、何時と指定がある場合には、指定の時間までに提出するようにしましょう。
たとえば、朝の会の数学係が学校のワークを集める場合は、その日の夕方に出しただけでも、提出物においては減点の対象です。
中学時代の友人にT君がいました。T君は、常に学校の上位10%以内に入る成績優秀者でした。
しかし、そんなT君でしたが、中2のとき、夏休みの読書感想文を未提出のまま、2学期の終業式を迎えました。
すると、定期テストでは90点以上をとっていたのにもかかわらず、国語の通知表は「2」だったのです。
本人の中では、それほどの失点ではないと思っていたのかもしれませんが、それくらい提出物を出さないことは減点対象になるのです。
とくに実技教科は、定期テストがないケースもあり、そのような場合には作品がテストの代わりとなります。
未提出の場合には、ある意味でそのテストは0点扱いとなります。注意が必要です。
どんなに得意な科目でも「2」になることも
また、私が中学生当時の同級生にI君がいました。
そのI君は、社会が非常に得意でした。定期テストは毎回、90点以上をキープ。
しかし、I君は、授業中にうるさかったため、いつも社会の通知表は「2」でした(実際に社会の先生から、「I君はうるさいから、通知表は2ね」と言われている場面を見たことがあります)。
本来、I君のテストの点数からすると、授業態度が悪くなければ「5」がつくのが普通です。とてももったいないことだと言わざるを得ません。
以上、ここでは私の同級生を2人紹介しました。
彼らの例からもわかるように、たとえ定期テストで90点以上をとっても、提出物や授業態度によっては、このように「5」がつかないこともあるのです。
なお、図表2に「内申が悪い子の共通項」をまとめました。
ここにあげたようなことをしてしまうと、せっかく努力をしてテストでいい点をとっても、ムダになってしまうことにもなりかねません。
裏を返せば、ここに書いてあることの逆のことをすれば、内申アップにつながるということです。
ぜひ、参考にしてみてください。
聞くは一時の恥、聞かぬは一生の恥
前の項目では、内申が悪い子の共通項について見てきました。
そこで今度は、「内申を上げるためにやっておいたほうがいいこと」について説明したいと思います。
たとえば、あなたは「3」を「4」に上げるには、何が必要か、自分の中で明確な答えが出ていますか?
あるいは、「4」を「5」にするためには、何が足りないのか、すでにわかっていますか?
じつはミスなく、努力の方向性を間違えることなく、内申をアップさせる確実な方法があります。
それは、直接、その教科の先生に「どうすれば、次に3から4、あるいは4から5に上がるのか」を聞く――。
これに尽きます。
そう、自分の頭で考えるより、先生の意見のほうが何十倍も正確ですし、そのとおりに実行すれば、評価が上がる可能性が高いのです。
最小の努力で、最大の結果を生むと言っても過言ではないでしょう。
また、学校の先生も人間です。
積極的な生徒を応援したくなるのは、人間として自然なことだと思います。
質問にくる生徒に対して、学校の先生が評価を下げるようなことはしないでしょう。