※本稿は、齋藤明『中学生「偏差値70超」の子の勉強法 カリスマ塾長が明かす“劇的に成績を伸ばす”ルール』(大和出版)の一部を再編集したものです。
今の点数と目標の点数を見える化する
さて、ここからは定期テストの具体的な勉強法について見ていきましょう。
まず、押さえておくべきなのは目標の「見える化」です。
私の塾の生徒たちには、定期テスト前に前回の定期テストの点数(初めての場合は、書く必要がありません)と今回の目標の点数を紙に書いてもらっています。
図表1は、学年1位と偏差値70超を達成した生徒のものです。
あなたは、前回の定期テストの各教科の点数を覚えていますか?
思い出せない場合は、テスト用紙やテストの結果表を探して、前回のテストの点数を書いてください。
よかった点数でも、忘れていることはあります。
また、「点数が悪くて記憶から消し去りたい」と思うこともあるでしょう。
まずは、自分を知る意味でも、過去の自分と向き合うことが大切なのです。
目をそらさず、今の自分の位置を知りましょう。
目標設定は、高すぎても、低すぎてもいけません。
ギリギリ届くかどうかの点数に設定にしましょう。
平均点以上をとれている教科の場合には、前回の点数より、「10点くらい上の点数」を目標にしてみてください。
基本的に定期テストで90点以上なら、その勉強のやり方は間違っていません。
一方、90点未満なら、まだまだ改善点があるはずです。それを自分で見つけるよう
にしましょう。もし、改善点が見つからない場合には、この後でお話しする計画の
「見える化」や「最強の定期テスト分析法」を参考にしてください。
勉強時間が足りなかったのか? 計画を立てなかったから、勉強時間に偏りが出て
しまったのか? 定期テストの勉強を始めるのが遅かったのか? 授業をきちんと聞いていなかったり、授業のノートを書かなかったりしたのか?
原因は、いろいろあると思います。
保護者の一言が子どもを本気にする
また、この目標の「見える化」シートに取り組む際には、できれば保護者の方にも「目標の点数」と「一言」を書いてもらってください。
応援される人数は、1人でも多いほうがいいもの。人は、誰かに見られたり、応援されたりすることで、本気になるのです。
保護者の方も、あなたのテスト勉強を応援しています。ぜひ、保護者の方にも参加してもらってください。
最後にポイントを1つあげると、「具体的」に書くことが大切です。
じつは、中学生に目標の点数をとるために改善すべき行動を書かせても、「具体的」に書けない子が多いのです。
たとえば、改善点のところをどの教科も「頑張る」とだけしか書かない子は、点数が伸びません。
具体的に、「何を」「どれだけ」「どう頑張るのか」、その詳細が大切なのです。
とても重要なことなので、しっかり胸に刻んでおいてください。
定期テスト対策は2週間前からでは遅い
目標が決まれば、目標までの道のりを計画の「見える化」シートで事前に確認しましょう。
ここでは、学校のワークや塾のワークの取り組むペースについても触れていきます。
多くの学校では、生徒たちが定期テストの2週間前に予定を立てて、勉強を進めています。
でも、はたしてそれで学年1位が目指せるのでしょうか?
私の塾では、過去1学年から10人もの学年1位を輩出し、18年間、どの代からも学年1位を出してきました。
その経験から言えるのは、2週間前から計画を立てるのでは遅いということです。
最低でも、3週間〜1カ月の「見える化」が必須です。
図表2は、私の塾の生徒が実際に定期テストの勉強を始める時期についてアンケートした結果をまとめたものです。
多くの生徒が3週間前からスタートしていますね。
これを参考にして、計画の「見える化」をしていきましょう。
また、ふだんの自分の学習ペースなども考慮し、それが適しているかどうかの確認もしてください。
定期テストと実力テストの結果は比例傾向にはあるが…
図表3は偏差値70超を達成した子の計画の「見える化」シートですが、これを見ると定期テストの約1カ月前からの計画となっています。
たしかに、2週間前からの勉強でも学年の上位10%以内に入る子はいるでしょう。
しかし、それでは不十分です。なぜなら、偏差値70超をとるには、実力テストで上位3%以内に入る必要があるからです。
基本的に、定期テストの順位と実力テストの偏差値は、比例傾向にあります。一般的に定期テストの順位が高い生徒ほど、偏差値も高くなります。
ただ、ここで多くの方が気づかない盲点があります。
たとえば、4週間前からテスト勉強をスタートした生徒と2週間前からスタートした生徒の定期テストの点数が同じだったとしましょう。
この2人は、実力テストで同じ結果になると思いますか?
じつは、定期テストの結果は同じでも、4週間前からスタートし、コツコツ勉強している生徒のほうが長期的な記憶になりやすいため、範囲が広い実力テストでいい結果を残すケースが圧倒的に多いのです。
まずは学校のワークを3回転!
ここで質問です。
自分でつくった計画表は、図表3の計画の「見える化」シートの下にある①〜⑤を意識していますか?
また、それらを実践する時間的な余裕はありますか?
じつは、これらの①〜⑤は、定期テストで結果を出すのと同時に、実力テストで偏差値70超を達成することにもつながっているのです。
①学校のワークは、最低3回転しよう!
学校のワークを完璧に解けるようになれば、基本的にどの教科でも80点以上が狙えます。
最低3回と書きましたが、得意教科と不得意教科で違いがあってもかまいません。
たとえば、得意な数学は2回転、苦手な社会は5回転といった具合ですね。
塾に通っている場合は、すでに塾の数学の授業や宿題で演習をし、さらに学校でも問題を解いているでしょう。
そこで数学が得意となれば、2回転で完璧になるケースもあります。
得意な教科に関しては、臨機応変に対応してください。
②1教科につき2冊以上のテキストを完璧にしよう!
基本は、あくまでも学校のワークを繰り返し解いて、1冊を完璧にマスターすることです。
しかし、定期テストで、必ず学校のワークの問題と同じ問題が出題されるとは限りません。そのためにも2冊目、3冊目などのテキストを利用し、多くのパターンの問題に触れて、定期テストで初めて目にするタイプの問題を減らしておきましょう。
2、3冊目のワークは学校のワークをクリアしてから
③3週間前までに学校のワークを1回解こう!
学校のワークを解くのに、1周目に時間をかけすぎてしまう生徒がいます。
ワークを解く際の注意点としては、「調べながら解かない」「わからない問題は、すぐに解答・解説を読んで、問題番号にチェックを入れる」などがあげられます。
④1週間前までに学校のワークを3周しよう!
学校のワークの2周目からは、1周目に解けずにチェックをした問題のみ解くようにしてください。さらに3周目は、2周目でも解けずにチェックをした問題のみ解くようにしましょう(得意教科の場合は、2周目で終わっても大丈夫です)。
⑤1週間前〜当日は2冊目のワークや3冊目のワークを完璧にしよう!
学年1位や偏差値70超を目指すなら、ぜひ2冊目、3冊目のワークに取り組んでみることをお勧めします。
ただし、学校のワークの反復が足りずに、まだ完璧になっていない場合には、ムリに2冊目に取り組む必要はありません。
以上、学年1位や偏差値70超の生徒の多くは、ここで説明した①〜⑤をしっかり行っています。
計画した段階で、学校や塾のワークの反復の余裕がないと思った場合は、定期テストの勉強を始めるタイミングを早めるなどの工夫をしてください。