※本稿は、齋藤明『中学生「偏差値70超」の子の勉強法 カリスマ塾長が明かす“劇的に成績を伸ばす”ルール』(大和出版)の一部を再編集したものです。
最短で最高の結果を生む勉強法
あなたは、ラクに成績を上げたいと思ったことはありませんか?
また、自分は記憶力が悪いと思ったことはありませんか?
じつは、最短で最高の結果を生む、そんな勉強法があるのです。
私は毎年、授業で生徒たちにこんな質問をしています。
「1週間前の夕飯のメニューを思い出せる?」
そう聞くと多くの生徒が、思い出すまでに時間がかかったり、思い出せなかったりしています。人は1週間もたつと、ほとんどのことを忘れてしまっているのです。
でも、もし1週間前のことでも記憶に留めておくことができたら、学校のテストでも結果が出ますよね。
復習することの意味を感じていなかったが
ここからは、私の実体験の話をさせていただきます。
毎年、中学生の生徒たちに伝えている話です。
私は、小6の終わりの3月に地元の進学塾に入塾しました。
塾長は東大を卒業後、何十年も指導をされている方でした。
その塾長が、当時、教えてくれた勉強法があります。
それは、「授業で学習した内容をその日のうちに繰り返す」というもの。
たとえば、「その日、塾で学習した英語の問題を帰宅後の寝るまでの間に、もう一度解くように」と言われていました。
当時、私は、その勉強法に関して半信半疑でした。
授業で解いたばかりなので、答えや解き方を覚えているため、復習することに意味を感じていなかったからです。
そうした理由から、当初こそその日のうちに復習をしていたものの、結局、いつしか復習することをやめてしまいました。
「覚えているうちに繰り返すこと」に意味がある
しかし、それは大きな間違いでした。
じつは、「覚えているうちに繰り返すこと」にこそ意味があったのです。
忘れてから繰り返そうとすると、思い出すまでに時間がかかったり、問題が解けないことにイライラしたりするでしょう。
でも、覚えていれば、すぐに思い出せますし、早く解くこともできます。
「エビングハウスの忘却曲線」(図表1)をご覧ください。
図表1を見ていただくとわかると思いますが、人は1日たつと半分以上のことを忘れてしまいます。しかし、その事実を多くの中学生は知りません。
だから、自分は記憶力がないと思い込んでしまうのです。
当時の私も、そう思っていました。
でも、それは間違いです。
「長期的な記憶」を蓄積する勉強法
私がお勧めする勉強法は、次の①〜③です。
①まず、その日の授業内容を寝るまでの間に、もう一度、すべて解き直す
②3日〜6日以内に、もう一度、解き直す
③そして1週間〜10日の間に、さらにもう一度、解き直す
この①〜③で一番大切なのは、①です。
どんなに忙しくても、①だけは忘れずに行ってくださいね。
それが、最小の努力で最大の結果を生む勉強法です。
とはいえ、ときには疲れている日もあることでしょう。
そんなときは、授業の内容のノートやプリントを見返すだけでもかまいません。
それなら、数分で終わりますよね。
なお、解き直す際の優先順位は、英語や数学などの理解が必要な教科となります。
英語や数学は積み上げの教科のため、定着しないまま次に進んでいくと、つまずきの原因となるからです。
また、塾の授業がない日には、習った範囲まで、学校のワークを解いてみてください。
それは、早めに定期テストの範囲の学校のワークを仕上げることにもなります。何より、理解している状態から、知識や理解の「定着」にまでつながるでしょう。
やがて、それは「長期的な記憶」として蓄積されていきます。
また、もし塾に通っていない場合は、学校の授業で解いた問題の解き直しでかまいません。
その日のうちに、もう一度、解き直してみてください。ちなみに、私と同じ中学校で、同じ部活に入り、同じ塾に通っていた同級生2人は、最終的に私よりいい成績をとり、偏差値70以上の高校に進学しました。
もう、おわかりですよね。
その2人は、「その日のうちに繰り返す」ことができていたのです。
“ながら勉強”で学年1位に!
成績上位者は、やはりしっかり勉強時間を確保していますが、それに加えて、一部の上位者は“ながら勉強”をしています。
ここで、ふだんの長時間の勉強のみならず、“ながら勉強”をし、学年1位4連覇を達成し、現在も1位の連覇記録を継続している生徒の行動を紹介します。
その生徒は、テスト直前期に、ドライヤーをかけながら国語の音読をしていたようです。また、夕飯を食べながらの勉強もしていたとのこと。
お行儀などの話はいったん置いておいて、時間を確保するには“ながら勉強”も有効であるということの1つの例ですね。
では、他にはどんな“ながら勉強”があるのでしょうか?
用をたしながら、トイレの壁に貼られた歴史の年表などを眺めながらの勉強。
お風呂の壁に世界地図を貼って、湯船に浸かりながらの勉強。
私の塾の前を通る進学校の高校の生徒には、教科書や単語帳などを持ち歩きながら勉強をしている子もいます。
自転車や自動車との事故など、危険となる可能性があるため、お勧めはしませんが、歩きながらの勉強も1つの方法です。
また、ある私立高校では、夕方になると校内を歩きながら、英語の音読をしている子たちがいるそうです。
運動すると血流量が増えるため、脳にもたくさん酸素が送り込まれて活性化されるという話を聞いたことがあります。
その意味では運動との組み合わせもありですよね。
移動中の電車や車の中での勉強も、1つの“ながら勉強”です。
歯磨きをしながらの勉強も可能かもしれません。
部活で長距離を走るときには、頭の中でその日の授業内容のアウトプットをしてもいいでしょう。
音読をしたらスマホで録音しよう
ここで、1つお勧めの“ながら勉強”を紹介します。
効果は絶大なので、だまされたと思って真似をしてみてください。
まずは、国語や英語など、学校で学習している範囲の文章を音読しましょう。
そして、それをスマホで録音しておきます。
後は、自宅にいるときに再生するのです。
そうすることで、耳からの音声による勉強が可能となります。
歯を磨きながら、あるいは夕飯を食べながら、自らの音読を聞くことができますよね。
図表3にもあるように、音読自体は、多くの生徒が実践しています。
しかし、音読こそしているものの、音読を録音しての音声学習までしている子は本当にごくわずかというのが実情です。
視覚によるインプットも大切ですが、耳によるインプットも利用すれば、その効果は何倍にもなります。
成績アップに直結することは間違いありません。
音声学習の2つのメリット
ちなみに、音声学習のメリットは、やはりその手軽さにあります。
一度、録音しておけば、後は再生ボタンを押すだけです。
疲れているとき。忙しいとき。机に向かう時間がとれないとき。
そんなときでも、スマホとイヤホンさえあれば、音声学習を開始できます。
メリットの2つ目は、何度も繰り返し聞くことで、長期記憶になることです。
小学生のときに、国語の文章や九九の暗唱をしたことはありませんか?
暗唱できるようになるまでには、何度も繰り返し音読することが必要でしたよね。
音読が得意な子なら、暗唱自体が苦ではないのでしょうが、音読が苦手な子の場合、何度も読むのは大変です。
そこで、この録音再生による音声学習を利用すれば、簡単に耳から知識を入れることができるのです。
定期テストでは、語句の穴埋めなどの問題が出題されることがあるので、その対策にもなります。
この録音再生による方法を使えば、きっと少ない音読回数でも成果が出ることでしょう。