片づけたいけれども片づけられない、やせたいけれどもやせられない、そんな悩みを長い間抱えている人は少なくないでしょう。お片づけ習慣化コンサルタントの西崎彩智さんは「家を片づけるとやせます。スタートして1カ月半ぐらいで2、3㎏やせる人が少なくありません。考えられる理由は6つあります」といいます――。

片づけをスタートし、約1カ月半で2、3㎏減

当社の45日間で家を丸ごと片づけるプロジェクトに参加した人の3分の1から半分ぐらいは、スタートして1カ月半ぐらいで2、3㎏やせています。やせるだけでなく、顔の血色がよくなって、明らかにきれいになっている人が多いですね。

もちろん受講生の方たちは、やせたくてプロジェクトに参加されたわけではありません。結果的に片づけが思いがけずダイエット効果を発揮していたわけですが、その理由として考えられるのは、次の6つです。

「片づけ」でやせる6つの理由

1.片づけそのものが運動になる

片づけの中には、重いものを持ち上げたり、下ろしたりするスクワット的な動きや、何キロというゴミ袋を持って運ぶ二の腕を鍛える動きのほか、家具を移動させたり、床を拭いたり、全身を動かす動作が多く含まれています。本気で片づけると、かなりの運動量になるのです。

2.ダラダラせずに動く習慣がつく

当プロジェクトでは「最初の2週間で不要品をすべて捨てる」というゴールがあるので、のんびりしている暇がありません。朝、起きてから10分、夕飯を食べたあとの10分、お風呂に入るまでの10分と、毎日の隙間時間に片づけてもらうので、ダラダラする時間がなくなり、こまめに動く習慣がつきます。

3.食品ストックを持たなくなる

お菓子や菓子パンをストックし、それを消費するように食べることはありませんか。つまりあるから食べる。食品ストックを管理し、必要な分しか持たないようにすれば、余分なものを食べることはありません。

私自身、子どもが小さい頃から、友だちが遊びに来るからとか、おなかがすいたらかわいそうだから、と習慣的にお菓子や菓子パンをストック買いしていました。その延長で子どもが高校生になっても当たり前に買っていましたが、あるときそれを食べているのは私だけと夫に指摘され、まさかと思いましたが本当にそうで。

炭酸飲料とスナック菓子を食べている女性
写真=iStock.com/dolgachov
※写真はイメージです

「賞味期限が切れる前に食べなければ」と食べていた、それらのストックは全く不要と気づきました。そこからストック買いをやめてからは、私も気づいたらやせていました。あるから食べるけれど、なければ食べない、ということですね。

夜の片づけは避けるべき理由

4.ストレス食いが減る

部屋が散らかっている=常にストレスが溜まっている状態です。片づけなきゃ、片づけなきゃ、明日やろうと思うのにできない……、そんな繰り返しが自分に対するプレッシャーになり、ストレス食いに走ってしまいます。でも片づくと、ストレス自体が減るので、脳が食べ物を欲しなくなります。ストレスがなくなるので「自分にご褒美」といって、コンビニスイーツをちょこちょこ買うこともなくなるようです。

5.早く寝るようになる

ダイエットに睡眠不足は大敵。とにかくしっかり寝ないとやせません。私自身の経験からいっても、全く同じ食生活でも、よく眠れた日と寝不足の日を比べると体重の落ち方が全然違う! よく眠れた翌朝は、ストンと体重が落ちているのです。当プロジェクトでは、朝6時から10分だけ片づける「朝活」を行っていますが、よく眠ってから朝活に参加するには夜は早く寝なければいけません。

カーテンを開け朝の日差しを浴びながら伸びをする女性
写真=iStock.com/TuiPhotoengineer
※写真はイメージです

片づけを行うのは、夜よりは朝のほうがおすすめ。夜は眠さで、判断力も落ちやすくなります。そのなかで体を無理やり動かしてもパフォーマンスは上がりません。反対に片づけスイッチが入ってしまい、交感神経が優位になることで、興奮状態になって眠れなくなってしまうなんてことも。そうすると朝起きられず、部屋がグチャグチャなままバタバタと家を出て、家に帰ってどっと疲れるという負のループしか起きないのです。

6.料理をするようになる

キッチンが片づいていないと自炊が面倒になり、つい外食したり、テイクアウトやデリバリーですませたりして、カロリーオーバーな食事になりがちです。キッチンが片づくと料理も楽しくできるようになるようで、自然と食卓もヘルシーになる方が多いのです。

ここで、実際に片づけたことで痩せた受講者さんの、お部屋の「Before」「After」を一部ご紹介します。

リビング
リビングのbefore⇒After
写真=筆者提供
デスク周辺
デスク周辺
写真=筆者提供
本棚周辺
本棚周辺
写真=筆者提供

最初に片づけるべき3箇所はここ

では、これから「やせるために片づけをしよう」と思ったら、どこから手をつければよいのでしょうか。おすすめの順番は次の通りです。

1.キッチン

まず冷蔵庫や冷凍庫、パントリーなどの在庫をチェックしましょう。食材の消費期限や賞味期限などを確認し、期限が過ぎていればアウト。もったいない……と取捨が苦手な人も、キッチンは期限で簡単に取捨の判断がつくため、片づけの一歩を踏みやすい場所なのです。

なかでも冷蔵庫は消費期限が短く、無駄になりやすいものが入っているので、まずはここから整理し、ストックできるものは冷凍庫へ。節電という意味においても冷蔵庫は空いているけれど、冷凍庫は充実しているのが理想です。そしてパントリーをチェック。

これらの在庫整理をすると、いつも腐らせている野菜がある、冷凍食品がいっぱい、お菓子の買い置きが多い、カップ麺がこんなに……、と自分が余らせたり、腐らせたり、無駄に購入している食材の傾向が見えてきます。それを認識することで、次からは自分が本当に必要なものを必要な分だけ買えるようになっていくのです。

2.クローゼット

クローゼットを整理すると、自分が「何から逃げているのか」がよくわかります。Aラインの服が多いとウエストを出すことから逃げている、チュニックが多いならおしりを出すことから逃げている、といった具合。そこから逃げ続けているかぎり、いつまでたってもやせることはできません。やせるためには体形隠しの服は処分し、本当に着たい服だけを揃えましょう。どの服を処分して、どの服を残すか、その見極めによって、やせるクローゼットが出来上がるのです。

3.寝室

寝室に物がいっぱいあると、睡眠の質が悪くなります。ホテルでよく眠れるのは、物がないから。やせ効果を上げるために、寝室はスッキリ片づけて、ぐっすり眠れるようにしましょう。そうすれば、翌朝も無理なく早く起きることができます。10分の片づけをすれば気持ちがいいし、目覚めのスイッチが入り、仕事のパフォーマンスも上がるはず。そして片づいた家に帰るから、帰ってからもゆっくり疲れがとれて、ぐっすり眠れてやせる。好循環が生まれるのです。

ゴミに投影されるのは「今の自分」

片づけも肥満も、すべて習慣です。だから「片づけたい」「やせたい」という人は、習慣を変えることから始めましょう。

たとえば、夜遅くまで起きていた人は、早く寝て早く起きる。お菓子や菓子パンを買っていた人は、在庫管理をすることで、必要なものだけを必要なときに買うようにする。外食をやめて、ヘルシーな料理をつくる……。

とはいえ習慣を変えるには、現在の自分の行動パターンや傾向を知らなければできません。それを知ることができるのが、まさに片づけです。家を片づけて捨てたものを見ると、ありのままの自分の姿が見えてきますので、ぜひゴミ袋までしっかりチェックしてください。

ゴミの分別をしている女性
写真=iStock.com/AnnaStills
※写真はイメージです

そしてゴミ袋に入っているものは、単なるゴミではなく、今日の自分の頑張りです。それは片づけの成果であると同時に、ダイエットの成果にもつながっていくのです。