キャンドル・ジュン氏の浮気が告発されトリプル不倫に
前回私が書いた記事「広末涼子はなぜリスクを覚悟で不倫に走ったのか…恋愛カウンセラーが見た『既婚美人タレント』の悲しみ」が公開されてからもこの「広末劇場」とも呼ぶべき一連のニュースは毎日のように取り上げられました。
『週刊文春』のスクープにより、女優・広末涼子と人気シェフの鳥羽周作氏の熱愛が発覚。しかし、広末には2010年に結婚したアーティストのキャンドル・ジュン氏がいて、鳥羽氏も既婚者で妻子ありということで、泥沼のダブル不倫だと騒がれたわけですが、この不倫劇はそれだけでは終わりませんでした。
まずは6月18日に開かれたキャンドル・ジュン氏の記者会見。これによって、彼のボランティア活動や妻や子供たちへの愛、妻の奇行癖、不倫相手から詫びがないこと、などを我々は知ることとなるわけですが、あの時は涙を浮かべて復縁を望む彼に「意外といいやつ」「キャンドル氏可哀そう」と多くの同情票が集まったものです。
ところが、その後に彼の所でボランティアをしていた男性スタッフからの告発が(『週刊女性』のスクープによる)。キャンドル氏の暴力、パワハラ、不倫などが暴露されてしまい大炎上を巻き起こします。
登場人物全員が不倫、鳥羽氏も仕事を失い犠牲を払った
一方、不倫相手とされる鳥羽氏は、企業とのコラボ商品など、決まっていたお仕事がこの不倫騒動で次々にキャンセルとなり、ついにレストラン運営会社sioの代表を辞めることとなったようです。彼自身も「あいつ(キャンドル・ジュン)は抹殺された方がいい」「広末さんとの関係は純愛」などとマスコミに語ってしまい、「妻子ある身で何言ってるんだ」と、こちらも大炎上になりました。
男2人がリングに上がり、当の広末涼子さんは「けんかをやめて~」ポジションかと思いきや、キャンドル氏との離婚の決意はどうやら固いようです。離婚となると、仕事の違約金と合わせて自宅や貯蓄の財産分与も発生し、それに失われた将来収入含めると広末さんの損失は10億円以上になるのではないかという報道もありました。
ダブル不倫をしているのは芸能人だけじゃない
結局、出演者が全員満身創痍なこの広末劇場。今後どう展開するのかは解りませんが少なくとも両家が、きれいに元へ戻ることだけはなさそうです。ただそれよりも気になるのは、「この件はもうお腹いっぱい」としながら、なぜ我々は広末劇場にこんなにも注目し続けるのか? という点です。
きっとそれは、ダブル不倫やトリプル不倫が今や対岸の火事ではなく、バレたりこじれたりすれば一般人にも十分起こりえる「身近なトラブル」だからではないでしょうか。
【ジェクス】ジャパン・セックスサーベイ2020によると、現在不倫(浮気、性風俗の利用を含む)をしている人は男性41.1%、女性は31.4%、経験した人の割合は男性67.9%、女性は46.3%であるとされています。この数字を見ると、日本において不倫とは「結構メジャーな営み」で、「もしかしたらあの奥さんも? あのパパも?」と周囲を見る目が変わってきそうです。
さらに、既婚者のみを対象とした調査では現在不倫をしているうちの50%がダブル不倫であるというデータがあり(※1)、広末劇場は芸能人特有のスキャンダルでは無く、自分のパートナーや我が身にいつ起こってもおかしくない業火なのかもしれない……と思うに至るのでした。
我々は、ダブル不倫、トリプル不倫のやっかいさをリアルタイムで鑑賞した訳ですが、バレるリスクが倍になるはずなのに、なぜ既婚者が既婚者を選ぶのか?
実際にダブル不倫中の女性にメリットを聞いてみた
今回、知人のライターさんにご紹介いただいたA子さん(ダブル不倫中)に、野次馬根性丸出しで、うかがったところ、
「お互いに家庭があるので二人の関係が平等だからでしょうか。片方が独身だと不平等になるからその方がトラブルになりやすいですよね。話も共感し合えるし、既婚者はリスクに対しても敏感な者同士だから安心感もあるんです」
とそう言って、微笑むA子さんはやけに色っぽくて、これぞダブル不倫の効能なのでしょうか。私は、「た、確かにっ!」と、すっかり教えを乞う生徒状態に。
おかげで既婚者同士のメリットは理解いたしました。でも、そんな都合の良いお相手といったいどこで出会うのか、再びA子さんに聞いてみたところ、
「私は職場の同僚だけど、友人や聞いた話ではPTAとかマンションの管理組合とか日常に出会いってありますよ。それに今は既婚者用の出会い系サイトもあるので」
とおっしゃいます。そういえば、PTA不倫は、ママ友何人かから聞いたことがありました。そして既婚者同士の出会い系サイトも、いざ調べてみるとわんさかあるのでした。そして、既婚者サイトの中で私は、とっても気になるワードを見つけてしまいます。
プラトニックな不倫「セカンドパートナー」という関係
「我々は不倫を助長しているのではなく、セカンドパートナーという関係を推奨しています」と、多くの既婚者サイトで謳っているこの「セカンドパートナー」とは、「体の関係は無く、既婚者同士がお付き合いすること」なのだそう。
最初読んだ時は正直、「嘘だ~」と当然思いましたよ。本音なのか建前なのか、そこをはっきりしてくれ、と。でも、既にセカンドパートナーという関係を楽しんでいる女性たちは存在していて、その人たちのブログを読んでいくうちに「不倫になるのは嫌だけど恋愛がしたい」「他の人にできない話をしたい」という欲求は確かにあるのではないか? と思えてきました。
広末さんのあの出回ったラブレターだって、中学生のような恋愛がしたいという表れというか、彼女の中の行き場の無い少女的恋愛観(手紙の内容はともかく)が暴走したから、リスクの高い通信手段と知りながらもやめられなかったのではないかと思います。
体の関係がなければサレ妻、サレ夫は許してくれるのか
確かに民法上、セカンドパートナーとデートしただけで性的関係が無ければ不貞行為とみなされないでしょう。でも、された側にとっては、「体の関係が無いから良し」と割り切れるものかどうかは非常に怪しいところです。
既婚者同士の恋を描いた名作映画『恋に落ちて』(1964年、ロバート・デ・ニーロ、メリル・ストリープ主演)のサレ妻が、なんだか様子のおかしい夫に「ある女性と恋をしていたが、その人とはやってない」という告白をされ、「そのほうがもっと悪い!」と怒るシーンと結局別れてしまうという結末はとても印象的でした。
そう、不倫だろうとセカンドパートナーだろうと、純愛だろうと遊びだろうと、配偶者や子供を傷つけるのは同じなんですよね。ですから今回、一連の報道によって「家族を失うという可能性」に改めて気づいてしまい、肝を冷やした既婚者も多かったのではないでしょうか?
確かに、結婚制度は配偶者一人に色々な役割を求めることとなるので、冷静に考えればなかなかの無理ゲーです。だから、その役割の内の「恋愛」という部分だけを外で補いたい気持ち、良く解ります。ただ、殆どの人たちは「家族を失わない」「配偶者を傷つけない」前提でのGO! なんですよね。しかし、今回の報道で家族も仕事もしっちゃかめっちゃかになってしまった2家族を我々は目撃してしまいました。
結果的に広末劇場は、ともすれば簡単に婚外恋愛できる我々や現在進行形で婚外恋愛している者たちに、意義ある警鐘を鳴らしてくれたのだと私は思っています。
参考文献
※1)五十嵐彰, 迫田さやか 著『不倫 実証分析が示す全貌』(中公新書)より