幸せを感じながら月10万円稼げる副業を見つけるにはどうすればよいのか。起業家であり、2児の母でもある尾石晴さんは「まずは、紙やノートを用意して、自分が『今まで一番お金と時間を使ってきたこと』を書き出してみてください。お金や時間を費やしたことは、必ずあなたにとって『好き』なことです。英語、ダンス、読書、絵画、旅行、経理、営業、事務……。自分でも気がつかないうちに、知識や経験、ノウハウがたまっているはずです」という――。

※本稿は、尾石晴『「40歳の壁」をスルッと越える人生戦略』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)の一部を再編集したものです。

毎月10万円になる自分業の「種」の見つけ方

40歳前後でぶちあたる家事・育児・キャリアなどの悩みが積み重なった「40歳の壁」を越えた先のキャリアには、「お金」「つながり」「健康」の3つの要素が必要です。この3つは、人間が幸せを感じる土台になるものだからです。

金融庁による報告書を発端に「老後2000万円問題」が話題になったのは、「お金」という土台をぐらつかせる話だからです。もちろん、「お金」だけでなく、長く生きるには、「健康」の土台がないと幸せではいられません。また、人生が70歳くらいで終わっていた時代には、会社や地域が「つながり」をもたらしてくれましたが、人生100年時代になると、会社や地域のつながりだけでは足りない(周りも死んでしまう)ので、人との「つながり」をつくれる力が重視されます。

個人的には、現役時代にがんばって老後の資金を貯めて定年後を乗り切るより、「毎年120万円をどうやって80歳まで稼ぎ続けるか」を設計したほうが幸せになれる確率が高いと考えています。そのほうが「お金」「つながり」「健康」の3つを満たせる可能性が高いからです。

手の中のナンバー3
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お金と時間を費やしてきたものが「種」

ここで、皆さんが知りたいのは、自分にとって「お金」「つながり」「健康」を満たす毎月10万円もらえるものは何か? ですよね。まずは10万円になる「種」を見つけることから始めましょう。

紙やノートを用意して、自分が「今まで一番お金と時間を使ってきたこと」を書き出してみてください。仕事でもプライベートでもなんでも構いません。お金や時間を費やしたことは、必ずあなたにとって「好き」なことです。英語、ダンス、読書、絵画、旅行、経理、営業、事務……。自分でも気がつかないうちに、知識や経験、ノウハウがたまっているはずです。

コツは、「これは自分業になる? お金になる?」という視点を捨てることです。なぜなら、自分業になるかどうかは、自分ではなく市場が決めるからです(後述します)。

「全然思い浮かばない!」という人は、他人から「上手だね。すごいね」と言われたこと(絵がうまい、服のセンスがいい、PCの入力が速い、ミスを見つけるのが早い、プレゼンで噛まないなど)を思い出して書いてみてください。

「種」がお金になるのか調べる

次に、見つかった「種」が「花」になる可能性があるかを調べます。「お金をもらえる仕事になるか」の市場調査です。

たとえば、趣味は何もないけど、経理は本業で15年やってきたという人がいます。「お金の計算は苦じゃないし、基礎知識もあるけど、起業となると無理かも」と考えます。そんなときはインターネットで「経理 個人向け サービス」とキーワード検索してみます(図表1)。

検索結果によって、「へー、こんな検索ニーズがあるんだ。あ! 放課後デイサービスって学童だよな。確かに学童の経理ってプロが入っているのかなぁ。民間だとどうなっているのかな」と調べたり、「今後共働きがますます増えるから、規模の小さい民間学童も増えるかもしれない。外注で経理を請け負えば仕事になるかも」と考えたりしてみるのです。

そのうえで、「放課後児童支援員の資格」「民間でよく使われている経理システム」「学童経理の不満、困っていること」などをさらに調べて、自分の持っている「時間とお金を使ったこと」に追加すべきスキルがあるなら足す方法を考えます。

ここでのポイントは「大きく稼げるビジネスモデル」がないからといって、パソコンを閉じないこと。大きな事業をつくるわけではなく、「毎月10万円、1人あたり5000円払ってくれる人が20人いればOK」なビジネスモデルを探しているのです。1人あたり1000円で100人、1万円で10人、5万円で2人でもいいスモールビジネスです。

成長
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「種」を複数見つけておくと「花」になる確率が上がる

こうやって「種」が「花」になるポイントを探していきますが、必ずしもすべての「種」が花咲くわけではありません。

現在本業がある人は、今のうちから複数の「種」を探して、見つけた「種」をケアしておきましょう。

・ 「種」に水をやったり、肥料を足したりする……追加で持っていたら良さそうなスキルや経験を考えて資格を取得してみる。スキルや経験につながりそうなプロジェクトがあったら、無給でもいいので参加してみる。
・ 「種」を間引く……少しやってみて、「お金」「つながり」「健康」の3つを満たさないものは除外する。健康を阻害する、孤独な作業のみなど、条件に適さないものはやめる。

こうやって「種」を少しずつ育てておくのです。すると、老後だけでなく、子どもの不登校、パートナーの転勤など「働き方そのものを見直すタイミングが来た」「考え方や環境が大きく変わった(今回のコロナのように)」ときに花開くことがあるかもしれません。

誰もが「種」を持っている

ここまでお伝えしても、「私には『種』がない」と言う人がいます。でも、ご安心ください。ないのではありません。

それは「種」を言語化できていないだけです。もしくは、自己分析できていないだけ。自分に「種」がないと思って探していないだけ。

金融投資のイメージ
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そんなときは、友人などの第三者にお手伝いしてもらいましょう。「私に『今までに一番お金と時間をかけたものは?』と質問して」とお願いしてみます。人間は質問をされると「答えよう」として脳が反応します。さらに、他人に聞かれたら「他人がわかるように言語化しよう」とします。

1人で悶々と悩むより、他者の力を使ってみてください。すると、おまけの副作用として、

「○○にお金を使ったって言うけど、××にもよく使ってない?」
「□□に詳しいから、これに一番時間をかけているのかと思った」

といったように、「自分には見えていなかった姿」を教えてもらえたりもします。

ちなみに、私がお金と時間を使ってきたことは、「読書」「ヨガ」「時間術や効率化のライフハック」でした。仕事では、「転勤回数が多い」「さまざまな部署でいろいろな仕事をしている」「管理職経験がある」。

尾石晴『「40歳の壁」をスルッと越える人生戦略』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)
尾石晴『「40歳の壁」をスルッと越える人生戦略』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)

これらの「種」と、人に言われて自分が気づいていなかった「プレゼンスキル」「話し方がロジカル」「声がいい」を組み合わせて、音声配信のスキルを少しずつ育てています。「お金」「つながり」「健康」が重なるところを考えながら、少しずつです。

これらがいずれ「花」になっていくといいなと思っています。

皆さんにも「種」はあります。今のうちから、ぜひ毎月10万円の花になる「種」を探して育ててみませんか? いつか、それが「お金」「つながり」「健康」を持ったキャリアに結びつき、幸福度が高まるはずです。

花が開いたら、ぜひ報告し合いましょう。楽しみにしています。