コロナ禍での「営業スタイル」はこう変わった!
コロナ禍以降、「リアルに対面する営業」は当たり前ではなくなりました。それによって生じた課題は2つあります。ひとつは、雑談を交えながら顧客との関係性を深めるということが難しくなったこと。もうひとつは、商談時のクロージングの際、最後の「ひと押し」という戦略が取りづらくなったことです。
しかし、そのいずれも対処は可能です。まずはふだんから短時間で関係性を構築することを心がけること。また、効率的なオンライン営業で商談数を増やすことは、結果的に契約件数を増やすことにもつながります。
リアルでもオンラインでも「できる営業」の基本は同じ
そもそもリアルであろうと、オンラインであろうと、「できる営業」の基本は同じです。できる営業に必要な力は2つ。①仮説力と②ヒアリング力です。
仮説力とは、顧客の動きや最近の潮流をふまえて顧客のニーズを事前に想定して仮説を立てることです。短時間の会話になるオンラインほど必要なスキルといえるでしょう。ヒアリング力は、顧客自身も把握しきれていない「課題」を引き出す力です。
課題を引き出すヒアリングを行い、それに仮説をぶつけるというパターンを持つことで、営業の結果を残しやすくなります。
オンライン営業には三大メリットがある
これまでの営業は、取引先への移動時間も考慮しなくてはなりませんでした。しかし、オンライン営業ではその移動が不要となり、1日の時間を最大限効率的に使えます。当然、商談数をこれまで以上に増やせるようになったことが最大のメリットです。同時に、距離のハードルもなくなるので、これまでの営業エリアを日本全国はもとより、海外まで広げることもできます。リアルよりもオンラインのほうが気軽で、先方も対応しやすいというのもあります。
オンラインでの商談を成功させる3つのポイント
では、具体的にオンラインでの商談をどのように進めると、成果を出しやすいのでしょうか。
商談の基本的な流れは、図にあるように【ラポール】→【ヒアリング】→【提案】→【クロージング】という4ステップです。オンライン営業では、導入のラポールとヒアリングで、いかに顧客と打ち解け、相手に有用な情報が得られそうだと思ってもらえるかがポイントです。言い換えると、本題に入る前の短時間で関係性をつくり、話を聞いてみたいと思わせること。それにはオンライン特有のコミュニケーションのあり方に留意することも大切です。
【Point 1】ラポール
雑談の代わりに、“提供すべき情報”を商談前から用意
商談の最初にある「ラポール」は、顧客と打ち解けるステップです。時間が限られるオンライン営業では、商談前に雑談をする余裕はないので、雑談の代わりに顧客に“提供すべき情報”をあらかじめ用意しておくようにします。先方の興味・関心を引きつけることができれば、こちらのペースで商談も進めやすくなります。
ラポールのコツ1
一方的な会話を防ぐ、本題前のPOINT話法
本題に入る前のイントロダクションで、相手と対話を深めるには「POINT話法」が有効。会話の流れをわかりやすくつくり、相手の意向を確認しながら進めるので、話が一方的にならずにすむ。
ラポールのコツ2
オンラインでの共有資料はテンポのよさが重要
オンラインでは、画面上でパッと見てすぐに理解できる資料づくりが必須。「ワンスライド・ワンメッセージ」の紙芝居方式が鉄則だ。チェックシートを用意しておくとヒアリングが効率的に。
【Point 2】ヒアリング
“拡大質問”で相手の問題とその影響を聞き出して商機に
ヒアリングの目的は、相手も認識できていないような潜在的な課題=ニーズを引き出すことです。そのためには“拡大質問”をたくさん投げかけること。拡大質問とは、2択で答えてもらう質問ではなく、「どう思いますか?」など相手が自由に考えを述べられるような質問です。
拡大質問をしながら話を聞いていくことで、相手は「何が問題なのか」「その影響にどんなことがあるのか」を自ら語り、それによって問題解決の必要性をあらためて認識できます。提案に入る前に「問題とその影響」と「その解決の必要性」を語ってもらうヒアリングを心がけてください。
【Point3】コミュニケーション
オンラインで重要なコミュニケーションスキル
オンライン営業をするときは、対面とは違うコミュニケーションスキルに注意します。声は大きめにはっきりと、表情やうなずきなどはややオーバーなくらいでちょうどいいでしょう。また、画面越しではついつい早口になりがちですが、ゆっくり落ち着いて話すこと。相手にうなずく間を与えることも、相互理解を深める大切なポイントとなります。