嫌なことを言われると頭が真っ白になって言い返せない、あるいは怒りが溜まってキレてしまう……。心理カウンセラーの大嶋信頼さんは「そうした反応は気持ちの問題ではなく、体質の問題」と言います――。

※本稿は、大嶋信頼『チクチク・いやみ・理不尽と感じる「ほんのひと言」に傷つかなくなる本』(大和書房)の一部を再編集したものです。

ビジネスマンの主張
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言い返せないのは「気持ちの問題」じゃない

私は嫌なことを言われると、「頭が真っ白」になって頭がいつものように働かなくなります。時間が経ってから「なんであの時何も言えなかったんだろう?」と後悔して「ああ言えばよかったのに」「こう言えばよかったはず」といろいろ考えが浮かんでくる。

でも、その場になると何も言えなくなって涙目になってしまう。

これって「自分がヘタレだから」とか「弱虫だから」とずっと思っていました。

しかし、心理学のストレス刺激実験をお医者さんと一緒にやっていたとき、「あ! これは弱虫とかヘタレの問題じゃない」ということに気が付きました。

なぜなら「嫌なことを言われたら頭が真っ白になってしまう」という人が「大きな音のストレス刺激」を受けた時「血糖値を抑えるホルモンが大量に分泌されて、血糖値が下がった」という働きを目の当たりにしたからです。

「言い返せる人」は血糖値が上昇

嫌なことを言われたらちゃんとその場で言い返せる人は「大きな音のストレス刺激」で血糖値が上がっていました。

嫌なことを言われたストレスで血糖値が上がり、「頭がフル回転で働く」となって「その場で言い返しちゃうぞ!」と反応することができるんです。

ところが「頭が真っ白になってしまう」という人は嫌なことを言われたら血糖値が下がってしまうから「頭が働かない」となってしまい、低血糖状態になるから、手が震える、涙目になる、体に力が入らない……といった弱々しい状態になっていたんです。

「言い返せない人」は時間が経つほどイライラする

そしてもっと興味深かったのは「頭が真っ白になってしまう」という人は「後から血糖値が上がってなかなか下がらない」となっていたこと。

普通、人は「嫌なことを言われた」となったら、その場で「ムカつく!」と言い返して、それさえ済めば後から血糖値が上がることはありません。

ですが、「真っ白になる」という人は後から上がってなかなか下がらなかったり、血糖値がアップダウンを繰り返したりします。

これによって後から「ああ言えばよかった」という後悔や相手への怒りが次から次へと湧いてきてしまう、というあの現象の説明がつくんです。

時間を管理する必要があります
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その場では血糖値が下がってしまうので何も言えないのですが、後から血糖値が上がってものすごい怒りが湧く。

でも、いざとなったらまた血糖値が下がってしまうから何も言えない。

「頭が真っ白になってしまう」というのは体質の問題だったんだ! ということがわかってきました。

空腹でイライラする人は要注意

さらに、このストレスで脳が低血糖になってしまう、ということで、もう一つ大変なことがわかってきました。

それは「頭が真っ白になって後先のことを考えないでキレてしまう」という現象です。私も「頭が真っ白になって言いたいことが言えなくなる」という子供だったのですが、学校で授業中にみんなから間違いをはやし立てられてしまうと頭が真っ白になったまま「もう嫌だ!」と学校を飛び出してしまっていました。

「頭が真っ白になる」というのだったら「その場から動けない」というイメージがあるかもしれませんが、実際は「キレて言っちゃいけないことを言ってしまう」や、私みたいに「キレてやっちゃいけないことをやってしまう」状態となって学校を飛び出したりしてしまいます。

脳は電気信号で考えたり身体に指令を送ったりしています。

嫌なことを言われたりして急激に血糖値が下がることで脳内の電気信号に異常が起こり「破壊的な人格」になってしまうのを、一般的には「キレてしまう」といいます。

私たちはストレスの影響で低血糖となり脳内の電気異常から破壊的な人格に変身してしまうのを「発作」と呼んでいます。

この低血糖による発作は起こす人と起こさない人がいて「お腹が減ったらイライラする」という人は「頭が真っ白になる」ことや「発作を起こして破壊的な人格になってしまう」ということがちょっと疑われます。

“いい・悪い”を気にしすぎていないか

「いい・悪い」で考えすぎる人は、自分がいい・悪いで考える、いわゆる「白黒思考」である自覚があまりなかったりします。

大嶋信頼『チクチク・いやみ・理不尽と感じる「ほんのひと言」に傷つかなくなる本』(大和書房)
大嶋信頼『チクチク・いやみ・理不尽と感じる「ほんのひと言」に傷つかなくなる本』(大和書房)

「みんなと同じようによく考えて行動しているだけ」と思っていますが、実際は「いい・悪い」を考えすぎて左脳が活発に働きすぎの状態です。

そして、左脳が活発に活動しすぎていると、必ずといっていいほど理不尽なことが自分にだけ起きてしまう。

例えばスーパーのレジに並んでいたらレジの店員さんの態度が自分に対してだけ悪かったりして「なんで私にだけ?」と頭が真っ白になってしまいます。

車を運転していたら図々しい車がわざと自分の車の前に割り込んできて、「なんでそこに割り込んでくるの?」と頭が真っ白になってしまう。

理不尽なことが起きたときは自分の「白黒思考」を疑おう

「いい・悪い」の「白黒思考」は自分では気が付きにくいけれど、目の前で理不尽なことが起こって頭が真っ白になったら、「あ! 私は『いい・悪い』で考えすぎちゃっているんだ!」とわかります。

「なんで自分だけ」というような理不尽なことは「いい・悪い」で左脳が活発に活動して、右脳との電位差でサージが起きた時に発生します。

脳のサージ電流が起きて理不尽なことが起きるのか、それとも理不尽なことが起きたからサージ電流が発生するのか。

どちらなのかは「鶏が先か、卵が先か」のようですが、どちらにしても理不尽なことが起きる時は「いい・悪い」の「白黒思考」が影響している可能性があります。