片づけ以外の家事はしない3日間
今回のコロナ禍で大人は在宅ワーク、子どもは塾や習い事がオンラインレッスンに移行し、これまでは単に“寝る場所”だった家が、職場やお稽古する場所になりました。今こそ片づけないと、と思っている人が増えています。
片づけをするときは、3日間つづけて合宿スタイルで行うのがおすすめです。この3日間は、ふだんの家事は一切せずに片づけだけに集中してください。勢いにのって一気に片づきます。食事は出前や外食ですませましょう。
よく、片付けをしてもすぐにリバウンドしてしまうという悩みを聞くことがあります。その多くが、例えばリビングなどの家の一部を片付けていることが原因です。他の部屋であふれたものがリビングにやってきてしまうのです。リバウンドなく一年中快適な家を保つためには、一軒丸ごと片づけてしまうことが重要なポイントです。
年末年始の休暇は、この「3日片づけ」プログラムを実践できるチャンスです。
ではさっそく、このプログラムのやり方について具体的にご説明しましょう。
【1日目】準備~バックヤードの全出し
最短3日間で片づけるには、片づけに取り掛かる前に、考える時間が必要です。Step1とStep2は、そのための時間になります。
Step1:片づける動機をはっきりさせる
今、私はオンラインで31歳の女性に片付けのレッスンをしていますが、彼女は「自分自身で生活をととのえられる女性になりたい」というお気持ちを持っています。そんなふうに、自分が何のために片づけるか、理想の自分や暮らしはどういったものか、片づけにはそういった強い動機が必要です。家族がいらっしゃる方はご家族と、独身の方はご自身と向き合うことから始めましょう。
Step2:部屋割りを組みなおす
動機が明確になったら、家をどう使うか考えます。具体的には家の間取り図を見て、部屋割りを組みなおしていきます。たとえば片付けに課題感をお持ちの3LDKのお宅でよくあるのが、リビングに子どものおもちゃがあって、リビング続きの和室にもおもちゃがあって、玄関を入ってすぐの四畳半の部屋は物置になって……、と部屋割りが全く決まっていないことです。これは家が散らかるいちばん多いパターンです。そこでまずは、子ども部屋、夫婦の寝室、リビングと部屋割りをしっかり決めなおす。パブリックなスペースとプライベートなスペースを完全に分けることが大切です。そうすることで初めて、モノをしまうべき場所が決まっていきます。
「不要なものを捨てる」ではなく「必要なものだけ戻す」
Step3:バックヤードを全出しする
部屋割りを決めたら、押し入れやクローゼットなど、バックヤードに入っているものを全部出します。そうすると、収納が空っぽの引っ越したばかりの状態にも戻り、もう一度しくみを作り直すことができます。全部出して組みなおすからこそ、収納しやすいスペースを作りなおせるのです。
全部出したら、まず洋服、化粧品、工具、文房具などアイテムごとに分類します。アイテムごとに袋や箱にわけて、それぞれの総量を知る。たとえばバッグばかり集めたら30個あった、そうするとそんなにいらないかなということがわかります。そこから絶対に必要なものだけを戻していけば、物が一気に減るでしょう。クローゼットに収納されている状態から不要なものを間引いていく方法では、ドラスティックな片付けはできません。あくまでも全てを出して、分類し、本当に必要なものだけを戻していく、ここが重要なポイントです。これで1日目は終了です。
【2日目】キッチンや洗面台を片付ける
2日目は、キッチンや洗面台など水回りを片づけましょう。キッチンもバックヤードと同様に、全出しします。シンク下のものを全部出して、まず空間をピカピカに磨きます。そして、鍋チーム、下ごしらえチーム、お菓子作りチーム、調味料チームなど、アイテムをチーム別に分類します。それを厳選し、コンロ下には調理で使うもの、シンク下には下ごしらえで使うもの、その間のスペースには調味料やキッチンツールなどをしまいましょう。
ポイントは、その枠の中におさめきれる量にすること。シンク上には何もない状態が最終ゴールになります。
洗面台も同じようにシンクの下のものを全部出して、掃除チームやストックチームなどに分けて厳選し、戻します。
【3日目】リビングや玄関を片づける
リビングや玄関といったパブリックスペースは、個人のものがなくなると、本当にスッキリします。とにかく家が散らかる原因は、家族みんなが仕事の道具や勉強の道具、おもちゃやバッグなど、自分のものを好き勝手においてしまうこと。ここで一日目に部屋割りし、バックヤードを片づけたことが生かされます。自分のものは自分の部屋にしまう。そしてリビングには、家族の書類関係を置く場所をつくります。
新品のものでも、1年使っていなければ処分する
処分する基準としては、1年使っていないものは、ものと向き合って、これから本当に使うかどうか考えていきます。多くの人が、なかなか手放せないのが新品のもの。ボールペンやメモ帳など、新しく買ったものがいっぱいあるけれど、使っていない。捨てるのがもったいないけれど、使うあてもない。そんなときは人に譲る、寄付するという手があります。それもできないときは、私の考えは、それを生産した人にお金を支払い、その方が生活できている、ものを買ったことで経済を回したよ、ということでいいのではないかということです。
ものを捨てられない人は、すごくやさしい人です。ものにも人にもやさしすぎて捨てられないことがあるので、そこはもう一度、自分がどんな暮らしをしたいのかということに立ち返って、ものを手放すことを考えてほしいですね。
最終的に、ものの量はクローゼットや押し入れに7割収納できる量になるのが理想です。そして残りの3割は、空き空間にします。というのは、今回のコロナ禍でみなさんも感じられたように、今は備蓄が必要な時代です。収納に3割の余裕があれば、そこにマスクやトイレットペーパーなどの備蓄を入れて、使っては足し、使っては足し、と流動的に活用できます。収納に余裕がないと床にストックを置き始め、どんどん散らかっていきます。収納は7割まで、3割は空きスペースをつくると覚えておいてください。
夫や子どもに協力してもらうには
とにかくこの3日間の合宿プログラムは、家族一人ひとりが取り組むことが大切です。家族それぞれが、どこに何があるかを把握していることで、リバウンドしにくくなるからです。夫や子どもには「自分のことは自分でする」ことを伝えましょう。お子さんが自分でできる年齢なら、教科書や文房具、洋服などはすべて自分で片づけさせます。
ただ、だんなさんに関しては喧嘩になるので、あまり口を出さないほうがいいですね。だんなさんが片づけるときに「これは使わないんじゃない」とか「これは着ないんじゃない」と言って、責めてはいけません。いくら言っても人は変わりませんから、まず自分が変わる。片づけない部屋は、“隣の101号室”と思いましょう。自分の場所は区切って、そこをぐうの音も出ないぐらいピカピカにすると、101号室の人もやがて自分の部屋もきれいにしようという気になるものです。
パブリックスペースを片づけるときは、備蓄の食品の賞味期限や個数のチェックは、お子さんに頼むといいですね。だんなさんには捨て方を調べてもらい、捨てる場所を確保して、重いものは捨ててもらうとよいでしょう。
この「片づけ合宿」というひとつのプロジェクトを成し遂げることで、家族の絆は深まり、家族一人一人がやるべきことができる土台ができるので、2021年は何の心配もなく、それぞれの場所で活躍できます。ぜひトライしてください。