外出自粛が政府より要請された渦中も、外出自粛が解除された後も、全国の営業女子のコミュニティ「営業部女子課」では、リモート営業の失敗体験や成功体験がたくさんシェアされています。その中から、ビデオ会議ツールを使ったオンライン商談を成功させるための工夫を紹介しましょう。
1.自己紹介や自社紹介は事前に済ませる
まず、オンライン商談前にやっておきたいこと。オンライン商談で受注が取れた営業女子が実行していたのが、自己紹介や自社紹介を入念に準備し、事前に相手に共有しておくということです。その際、細かい資料は読んでもらえませんから、自分の専門性や自社の強みなどを、一言でわかりやすくまとめることが重要です。あるいは動画も効果的です。それをメールなどで共有して覚えておいてもらうことで、相手も商談が始まるときには、心理的な距離が縮まっているのです。
商談で使う資料やデモ動画も、オンラインの画面で見やすく分かりやすいものを準備しておくことが、非常に重要です。
2.ロジカルに話し、ジェスチャーは大きめに
次にオンライン商談中ですが、対面でお話するときとは全く違う工夫が必要です。
対面営業では「会えばなんとかなる!」という状況であっても、オンラインではそうはいきません。相手の反応を見ながら臨機応変にやり取りすることが難しいですから、事前にアジェンダを共有し、どのような組み立てで話をしていくのか、タイムスケジュールも含めて、商談そのものを設計しておきましょう。
表情や態度などによる非言語コミュニケーションが通用しづらいオンライン商談では、言葉の重要性が増します。ロジカルに、的確に、わかりやすく話すことがとても大事です。結論から始める話し方も効果的です。話すスピードはゆっくり、ジェスチャーも大きくすることを意識しましょう。
こまめに「ご不明点はありますか?」の声かけを
また、一方的に話し続けるのはNG。相手の気持ちが読み取りづらい分、「ここまでで、ご不明点はありますか?」「○○部長、いかがですか?」といった形で、頻繁に理解度を確認したり発言を促したりする、問いかけも重要です。
なお、自宅からオンライン商談を行う場合、子どもやペットの声が聞こえてしまって気まずい思いをすることもあるでしょう。在宅勤務の様々な事情についてお客様の理解も進んでいますから、過度に気にすることはありません。最初に「小さな子供がおりまして、騒がしかったら申しわけありません」と事前にお断りしておくと、慌てずにすみます。
3.女優ライトとカメラ目線で印象コントロール
営業女子に特に気をつけてもらいたいのが、画面越しに与える印象です。「ビデオ会議はそんなに画質も良くないし、メイクも服もテキトーで大丈夫」なんて思っていませんか?
実は私も、オンライン商談を始めた頃は酷いものでした。「オンラインだから」と服装もメイクも手抜き、顔は逆光でよく見えず、背景は生活感丸出し……という恥ずかしい状態だったのです。
でも、空気感が伝わりづらいオンラインだからこそ、「画面上の視覚情報」はものすごく大事。そのことに気づいて研究した結果、ぜひオススメしたいのが「女優ライト」です。
メイクも大事ですが、それ以上に重要なのが照明なんです。私はデスクの左右にひとつずつ女優ライトを置いていますが、これがあるとないとでは顔の印象が大違い。営業女子たちとのオンラインイベントでその効果を紹介したら、「私も買う!」と大好評でした。
服装も「どうせ見えないからいいや」はNG。画面越しだからこそ、明るいハッキリとした色合いのものを選ぶと映えます。
もうひとつ、オンラインだからこそ気をつけるべきなのが目線です。つい資料が表示されている画面を見ながら話しがちですが、なるべくカメラ目線で話せるように、PCの位置などを工夫してみましょう。
リモート営業の3つのポイントをまとめると図表1のようになります。
顧客にオンライン商談を受け入れてもらうには?
特に新規のお客様にアプローチするとき、果たして「オンライン商談」を受け入れてもらえるかどうか不安を感じる方も多いでしょう。「自粛が解除されてからでいいから」と言われると、あきらめるしかないか……と思ってしまいますよね。
ここで大事なのは、それが「相手のためになるのかどうか?」ということです。
外出自粛になってやむを得ず始まったリモートワークやリモート営業ですが、そこからたくさんのメリットも見いだされています。ですから、新型コロナウイルスの感染拡大が収まっても、ビジネスのやり方が完全に元に戻るわけではなく、リアル訪問(対面)とリモート(非対面)の「ハイブリッド」な営業スタイルが求められていくと予想されます。
そうであれば、今のうちからできるだけオンラインでコミュニケーションを取ることが、先方が抱えている課題の解決につながるのではないでしょうか。
そして「オンライン商談」を社内外で普及させていくには、小さくてよいので「成功事例」を数多く積んでいくことです。はじめは抵抗感がある人がいても、「お客様がオンラインで満足された」「リモート受注ができた」という事例が蓄積されれば、普及も進んでいくはずです。
ビジネスの前線に立つ営業職の中には、「経済を停滞させない」ということに使命感を持っている方も多いでしょう。コロナ禍の危機だからこそ、一緒になって新しいやり方を切り拓いていくことが、自社のためにも顧客のためにもなるはずです。その結果、営業スタイルはもとより、働き方も生き方も変化していき、女性たちがより活躍しやすい世界がやってくることを期待しています。