「Zoom(ズーム)」を使ったオンライン会議や打ち合わせには、リアル会議とはまた違ったマナーがあるのだそう。やってはいけないことから“Zoom映え”するテクニックまで、書籍『世界一わかりやすいZoomマスター養成講座』で知られるハッチ・ワークのお二人が教えてくれました。
オフィスでビデオ通話をする女性の専門家
※写真はイメージです(写真=iStock.com/alvarez)

リアル会議との違いに注意

——何度かZoom会議に参加して慣れてくると、マナーやNG事項も気になってきます。上級者から見て「それはダメ」という行動はありますか?

【大竹】Zoomは気軽に使えるのが特徴なので、それほど神経質になる必要はないと思います。ただ、会議がスムーズに進むように、相手が快適に話せるようにと気を配ることは大事ですね。その点で言うと、リアルの会議とZoom会議とでは“気の配りどころ”が多少違うかもしれません。

マナー違反と言えそうなのは、次の5つになります。

Zoom会議での5つのNG
①ミュートを使わない
②無表情のまま動かない
③1人でしゃべり続ける
④人の発言に自分の発言をかぶせる
⑤逆光

「自分がしゃべるとき以外はミュート」が基本

①のミュートについては、前回(「ITオンチが「初めてのZoom会議」でまず押さえるべき超基本テク5つ」)お話しした通りです。背景音やタイピング音は会議の邪魔になるので、相手に聞こえないようにしたいですね。特に周囲がうるさい場所では「自分がしゃべる時以外はミュート」を心がけましょう。

【芹澤】②の「無表情のまま動かない」は、発言している側からすると、聞いてもらえているのかどうかよくわかりません。あいづちやうなずきなどで「聞いていますよ」と示したほうがいいのはリアルの会議でも同じですが、Zoom会議ではこれがさらに大事になります。「普段よりも少し大げさめ」を意識して、画面上の自分の顔を見ながら、表情や動きをつけてみてください。

【大竹】特におじさんは、真面目な顔のままじーっとしがちですね(笑)。本人に悪気はなくても、怒っているように見えることもあるので、もしそういう上司がいたらやんわり伝えてあげてほしいと思います。

③の「1人でしゃべり続ける」は、セミナーやプレゼンならいいけれど、皆で意見を出し合うような会議ではNG。Zoom会議ではリアルよりさらに口を挟みにくいので、マイクを離さないタイプの人がいると皆が発言する隙がなくなってしまいます。1問1話、1人1話で簡潔に話すよう心がけましょう。

リアル会議よりも「間」を長めにとる

【大竹】④の「人の発言に自分の発言をかぶせる」もマナー違反。これは対面して会話する場合も同じですが、Zoomは自分が発言してから相手に伝わるまでに若干タイムラグがあるので、言葉がよりかぶりやすくなります。ですから、対面している時よりも若干長めに間をとって話し出したほうがいいですね。誰かと同時に話し始めてしまった時は、譲り合うことも大切です。

【芹澤】⑤の「逆光」も、相手が会話しにくくなるので気をつけたほうがいいと思います。窓など光が入るほうを背にしてカメラに向かうと、ほとんどシルエットのような状態になってしまって表情がわからないんですよ。Zoom会議に参加する時は、光が入るほうを向くよう意識してみましょう。

Zoom映えするテクニック3つ

——マナーも身につけて段々レベルアップしてくると、今度は「Zoom映えしたい」という欲も出てきそうです。何かコツはありますか?

【大竹】まずは背景にこだわってみてはどうでしょうか。自宅からZoom会議に参加する時は、部屋の様子も背景として一緒に映ってしまいますよね。それは避けたい、部屋は見せたくないという人は、「ビデオ」をクリックして「バーチャル背景」を選択してみてください。そうすると背景画像が現れて、実際の背景を隠してくれます。【図表1】

バーチャル背景を設定する方法

【芹澤】背景画像は、シンプルなものから遊び心のあるものまで種類豊富です。会議の雰囲気に合わせて使い分けることもできますし、「Zoom飲み会」などのゆるい場では相手が宇宙に浮かんでいるなんてこともよくあります(笑)。経験から言えば、バーチャル背景はPCのスペックによっては使えないこともあります。こだわりたい方は背景をクロマキーというグリーンの素材がありますのでそれを使うと、バーチャル背景でも細部まで映えやすいので試してみたら楽しいと思います。【図表2】

PCのスペックによってうまくいかないことも

【大竹】背景には自分で撮影した写真を使うこともできますよ。私は会社の会議室を昼と夜の2バージョン撮影して、時間によって使い分けたりしています。

【芹澤】女性では、Zoom映えするために、PCの周りにいわゆる「女優ライト」をつける人もいますね。マナーの⑤でもお話ししましたが、カメラ映りをよくしようと思ったらまず光が大事。日光や照明が顔に当たるように工夫しておくと、顔色や肌の質感もいい具合に映ると思います。

加えて、Zoomには「外見補正」というメニューがあります。選ぶと顔色や肌の質感を補正してくれますが、これはあくまでも“補正”です。もし「すっぴんでもメイクしているように見せたい」ということであれば、Zoomとは別にメイク専用のアプリを入れるといいかもしれません。【図表3】

外見補正をする

——背景・照明・外見補正の3つのコツ、しっかり覚えておきます。最後に、Zoomを上達したい人に向けてアドバイスをお願いします。

【大竹】Zoomはビジネスシーンだけでなく、遊び感覚でも使えるところが大きな魅力です。それぞれが自宅から参加する「Zoom飲み会」もはやっているようですから、ぜひ友だちと開催してみてください。遊びながらZoom慣れしていけば、短期間のうちに仕事でもスムーズに使えるようになると思います。