プレジデント ウーマン オンラインでは、緊急事態宣言を受け、読者の皆さんの働き方や生活にどのような変化があったかを調査。中でもゴールデンウィークの過ごし方についての自由回答には多くのアイデアが寄せられました。行動が制限されてもできることがこんなにあると気づかせてくれる、そんな回答の数々をご紹介します。
目標を設定することは、見えないものに不可視を回すための第一歩です。
※写真はイメージです(写真=iStock.com/dima_sidelnikov)

自宅で、オンラインで、セルフで、さまざまなことに挑戦

いよいよやってくる大型連休。日々ほんのりと日差しが暖かさを増す気候とは裏腹に、緊急事態宣言の対象地域が全国に拡大され、行動引き締めの意識が強くなっている。「3密回避」「家にいよう」などのスローガンも定着し、私たちは基本的に外出しないことが前提となる暮らしを始めて、数週間が経った。仕事はビデオ会議やグループチャット中心で、食事は自炊やテイクアウト。映画やジムやコンサートなどの余暇活動は休業や中止・延期で、人々の消費行動は劇的に塗り替えられ、「巣ごもり消費」などという名称が与えられた。

これまで都会を縦横に走り回り、リアルに人々と交流し、人脈の中でビジネスを広げることが成長だと考えて頑張ってきたキャリア女性たちは、いま自分たちが可能な限り巣ごもりをすることが結果的に社会を救う、と理解している。世界でいまどのような風景が広がっているかを知り、「接触8割減」ポリシーの重要性を認識するからこそ、さまざまなことを「自宅で」「オンラインで」「セルフで」することに挑戦している。

GWを前にして、プレジデントウーマンのメルマガ読者にGWの過ごし方を聞いてみたところ、1000人を超える皆さんから回答が寄せられた。私たちの「行動」の前向きな「変容」。その実に色とりどりで楽しい回答一つ一つから、クリエイティブなアイデアやみずみずしい生命力を感じさせられる。キャリア女性たちが予定している「GWのすごい過ごし方」をご紹介しよう。

「断捨離の大チャンス」が圧倒的

前回「すべてを頑張ってきたキャリア女性が、コロナ禍の中で断捨離すべきものとは」にも書いたように、私たちの多くはこれをちょうどいい引き算の機会ではないかと受け止めている。ウイルスから思いがけず時間と空間を与えられた、と言ってもいいかもしれない。

驚くべきは、1000の回答のなかで圧倒的に多かったのが断捨離や片付け、掃除だったことである。「断捨離」「部屋の断捨離」「家族で断捨離」「大きく断捨離」「スッキリ断捨離」と、ダンシャリという字や響きがゲシュタルト崩壊を起こしかけるレベルで並ぶ。“こんまり”ごっこ、家電修理、本や衣類の整理などに加えて「フローリングのワックス塗り直し」という具体的なものもあって、本気度が伝わってくる。

確かに、これからしばらく自宅で過ごすのだから、まずは環境を心地よく整える。部屋の中を更新し、新しい変化や可能性を呼び込める空間を創出して、変化に備えるということなのだろう。中には「模様替え」「インテリアを足す」「DIY」「ベランダのウッドデッキのペンキ塗り替え」という人もいて、こういうとき、ひとはまず自分の一番手近な環境を自分に心地よく整えようとする心理が働くもののようだ。感染防止のために風通しの良さが大事な時代だし、健康はまず住環境から、なのかもしれない。

オンラインレッスンとセミナー受けまくり

プレジデントウーマン読者らしい……と(もちろんうれしく)苦笑したのが、オンラインセミナー受講や資格勉強などの、多数のスキルアップ系回答だった。

「語学勉強」「オンライン英会話」「通信教育」「資格の勉強」「TOEIC準備」など、じぶん時間を有効に使って自分のキャリアを磨こうという、前向きな真面目さや向学心の高さがうかがえる。

語学の勉強をする。(40代・企画系・課長クラス)
新たなプログラミング言語の勉強をする。(50代・技術系・一般社員)

読者の中には、今回のコロナ禍を機会にいろいろな視点を得て、自分で学んだり、文献に当たって思索を深めようという人もいるようだ。

日本の社会の仕組みの勉強。中学生・高校生向けのテキストからやり直そうかと考えている。特に「社会保障とは何か」「選挙とは何か」「国民の義務や権利とは何か」など、今まで知っているようでよく理解していなかった事があまりにも多すぎたから。本屋が休業していても電子書籍で買えるので本当に便利。(30代・営業職・主任クラス)

テーマは健康と勉強。健康のため、家の中でできる優しい運動、筋トレなどを定期的に行う。料理を勉強し、実践する。栄養学について興味があったが勉強する時間がなかったため、勉強し料理に生かす。勉強のため、上記の栄養学に加え、英語とフランス語とタイ語の勉強を少しずつ取り込む。英語とフランス語については、海外の友人と連絡を取り、積極的に実践(メールの読み書き、会話を聞く、行う)を積む。動画サイトなどでタイ語の勉強を進め、業務に生かす。統計学の復習を前に進める。(30代・技術系・一般社員)

この機会に問題意識を持つようになった人、あるいはこれまで興味があったけれども忙しすぎてできなかった学びをようやく始められる人など、背景はさまざま。でも、こうやって制限のある社会状況下でも、それに不平を言って腐るのではなく、「では今だからこそできることは何か」と考え方をスイッチする姿勢には胸のすくものがある。

クリエイティブなアイディア全開! のセルフ余暇活動

何ごとも少人数(またはひとり)で、誰かにしてもらうサービスにお金を払うのではなくセルフで楽しまざるを得ない時代、これは言わば「ソロ活上等時代」とも言える。

インドア派の多くは「これは絶対に読書」「積読を解消する」「全集読破」「オンライン動画配信サービスで映画三昧」「ロケ地しばりや俳優しばり、監督しばりで名作を見まくる」と、むしろ巣ごもりを大歓迎している空気だ。中には「都内でインドアライフを極める、全力でゴロゴロする」と鼻息の荒い人もいる。

アウトドア派は、3密を回避しながらも新鮮な外気を吸う方法に考えを巡らせ、「ベランダでピクニック」「屋上でテントを張ってキャンプ」「ガーデニングで庭改造」など、アーバンアウトドアの策を練る。自然の豊かな地域に住んでいる読者は「農家なので畑仕事」「近くの川で水遊びをしたり、絵を書いたり」「庭でバーベキューとキャッチボール」と、恵まれた環境を謳歌する姿が目に浮かぶ。だが「自然の豊かなところへドライブ」「親族の別荘へ行こうか企画中」……などは、いま批判の声も少しずつ上がっているので、くれぐれもほどほどに。

健康意識の高まりもあってか、ランニングやジョギング、おうちヨガやピラティス、筋トレに取り組むという人も多かった。料理自作派の中には、やってみたかった手のこんだレシピに挑戦したり、自ら新しいレシピを考案したり、「子どもたちに料理などを受け継ぐ」という人もいる。

「これまでが忙しかったから、今こそ子どもと向き合う」との声もあった。勉強に付き合ったり、一緒に公園で活動したりという中に、「子どもからの提案で巨大すごろくを作る」という回答には驚かされる。

私たちの精神は自由だ

ネットの発達した現代ならでは、と感じたのは「Googleアースで世界を旅した気分になって、その土地の料理を作って楽しむ」という“妄想旅”のアイディアが複数あったこと。物理的な制限があっても、私たちの精神と頭の中はどこまでも自由だ。

「アフターコロナの世界を考える」、「仕事再開に備えてインパクトのある企画を準備中」など、コロナ後をどう生きるかに備え、長期的な視野を持っているのもウーマン読者らしいと言えるかもしれない。そして忘れてはならないのが

・24時間、毎日仕事、オンコール。
・インフラ業なので、通常運行です。
・GWは休みではないので、いつも通り仕事に行きます。

という人たちの存在。私たちの自粛生活が可能なのも、社会と経済を止めずに回してくれている職業に就く皆さんの働きのおかげだから。

人間社会が重大な危機に晒されるたび、その成員である「個人」の再定義が進む。地域の、国の、世界の感染という大きな絵を把握するため、人間はポツンと一つの「点」としてその動きをモニターされ、発病すれば「一感染者」としてカウントされる。でも、その一つの「点」、一人の「感染者」は、顔も名前も人生もある私たち一人ひとりだ。私たちは、社会の成員であると同時に、一人の豊かな個人であることも絶対に手放しちゃいけないのだと思う。コロナで、私たちの生き方や考え方は確かに影響を受けた。それはこれからも着実に続いていくのだ。この時代を、前向きに過ごそう。

【調査概要】「PRESIDENT WOMAN Online」のメルマガに登録する女性を対象にオンラインアンケートを実施、実施期間:2020年4月17日~20日。