※本稿は塚本亮『「すぐやる」思考法』(明日香出版社)の一部を再編集したものです。
決断のスピードを早める真髄
「すぐやる」ための真髄は、「やらない」ことにあると考えています。「すぐやる」というのは何も、何でもかんでもすぐやればいいというわけではありません。
すぐやる力というのはスキルの1つでしかないのです。
本来やるべきこと、やりたいことを見極めて、そこにエネルギーを投入する。それを着実に進めていくことが何よりも重要なのです。
重要度の低いことや本来やらなくてもいいようなことをたくさん「すぐ」やっても、あなたにいい成果をもたらすことはないでしょう。
ですから、すぐやる人は、見極める力が高いのです。すぐやる人たちは、エネルギーや意志力は有限で消耗することを知っているため、「やること」と「やらなくていいこと」を見分け、注ぐべきポイントにエネルギーを使います。
一方で、すぐやれない人は「やること」と「やらなくていいこと」をちゃんと見極められません。あまり重要度の高くないものにエネルギーと時間を注いでは、重要度の高いものにエネルギーを割くタイミングに燃料切れとなってしまいます。
すぐやる力を持つために、「やる」「やらない」を明確に見分けられるようにしていきましょう。
やれない自分を変えるためのトレーニング法
「やれない人」はやれない状況を整理しないまま、気合と根性で何とかしようと考えるものの、パンク寸前で、それでも何とか乗り越えようと頑張ってしまう傾向にあります。
それによって、すべてのことが中途半端になり、いい成果を生み出せず、それを自分の能力やキャパシティのなさが原因だと考えてしまいます。それでは自信を失うことにつながってしまいますよね。
能力やキャパシティが足りないのではなく、見極めることができていないことに原因があるのです。
瞬時に客観的に見極められる人はいいと思うのですが、そうではない人は見極める力をつけるトレーニングをする必要があります。
そのトレーニングとは、まずはやることリストを書き出すことです。
とにかく思いついた行動は全てリスト化しましょう。頭の中で処理をしようとすると、気分や感情に左右されやすい主観的な判断をしがちになりますので、紙に書き出すのです。書き出すことで、どれだけの仕事量を抱えているのか、客観的に見ることができるようになります。
やることリストをマッピング
次なるトレーニングは、リスト化したら、優先順位付けを徹底することです。そのときに使う指標は次の3つです。重要度(意味)、緊急度、そして必要時間です。
重要度(意味)と緊急度でマッピングをしていくといいでしょう。
・緊急ではあるが意味のないこと
・緊急ではないが意味のあること
・緊急でも意味もないこと
緊急度というのは説明するまでもなく、期限が近いものです。早くやることが求められているものとしましょう。優先順位のつけ方とは、トランプのゲームのように、次にどのカードを切ることが今最も適切であるかを考えることです。「この中でベストな一手はどれだろう」とリストを見ながら考えるため、しっかりとした優先順位がつけられますよね。
自信がない人ほどNOと言えない
「すぐやる人」は、やらない基準をはっきりとさせることで、他人に対してもきっぱりとNOと言います。
自分の人生をコントロールしている感覚を維持するためには、精神の自由が不可欠なのです。断るべきことも見極められます。
「自分に対して自信がない人ほどNOとは言えず、YESと言ってしまうクセがある」これは、心理学の世界で言われていることです。
「すぐやる人」は自分の時間管理への意識がとても高いので、他人からの要望や依頼でもきちんと見極めます。
体は1つしかありませんから、自分がやろうとしたことに時間を使うのも、誰かに頼まれたことに時間を使うのも、平等に与えられた時間を削ることには変わりがありませんよね。
「保留」という選択肢も念頭に
大切なのは、「YES」か「NO」の2軸で考えないことです。常に「保留」という選択肢があります。もちろん全面的に「YES」だと感じるものは何も断る必要はありません。
しかし、現状では「YES」とも「NO」とも判断がつかない、グレーなものって少なくないですよね。
「出張が入るかもしれなくて、わかり次第返答していいですか」
「仮では予定が入っているのですが、未確定なのでわかり次第お知らせします」
「私1人で判断できないので、上司と確認します」
それから冷静にどうするかを見極める時間を持てばいいですね。
もちろん、完全にNOの場合もあるでしょう。面と向かって断ることが難しいと感じるかもしれませんが、早い段階で断ることは相手へのリスペクトだと考えましょう。