※本稿は岡田充弘『やりたいことを全部やれる人の仕事術』(PHP研究所)の一部を再編集したものです。
1.時間を奪う要素を 身の回りからなくす
モノや情報は、もちろん本来何らかの目的があって所有するわけですが、もしそうでなければ、将来的にあなたの大切な時間を奪ってしまう可能性があります。
たとえば資料一つとってみても、
①手に入れる
②整理する
③保管する
④内容を確認・活用する
⑤廃棄の許可を得る
⑥廃棄する
といったように、ざっと6つの工程が思い浮かびます。
ここで真に価値を生んでいるのは、④だけです。
そんな中、2大時間食い虫の巣窟と言ってもいいのが「自分のデスク」と「パソコンの中」です。放っておくと知らず知らずのうちに中身が増殖していくのが特徴です。
いかがですか? 誰しも少なからず心当たりがあるのではないでしょうか。
もちろん、私にもあります。
これらは、ちょっとした発想の転換と勇気を持つことで、大幅に減らすことができます。
以下でその方法についてご紹介したいと思います。
1.生産性アップには、デスク&PCのスリム化が必須
自分のデスク
前にも述べたように、私は今から取り掛かる作業に関係のないものは、基本的にデスクに置かないようにしています。
また、オフィスはフリーアドレスのため、そもそも個人用のデスクやキャビネットがありません。あるのは共用で使えるものだけです。それにより文具や書類が溜まることを抑制しています。
そもそもパソコンを多用するので文具をあまり使いませんが、消耗品が少ないことで、購買や承認など間接業務にかかる時間を大幅に節約できています。
パソコンの中
実はパソコンは便利なようで、使い方を間違えると時間を奪う要素に満ち溢れています。特に自分が普段使っているパソコンの中は他人からは見えないので、ついつい無駄な情報を抱えがちです。ファイルを共有サーバーに置いたり、検索してその都度必要情報を呼び出すなど、パソコンのローカルディスクに情報を溜めない仕組み作りが必要です。
ちなみに私はスタートメニュー上で情報を管理していて、デスクトップにファイルは何も置かないようにしています。
他にもいろいろ時間を奪う要素はあるかもしれませんが、これら二つの場所の無駄を集中して減らすことによって、ずいぶん時間の余裕ができてくることでしょう。
2.集中できる時間・場所で仕事を一気に片付ける
集中力は一度途切れると、元に戻すのが大変
スピーディーに仕事を仕上げるために集中力は欠かせません。集中している時とそうでない時とでは、仕事の効率は何倍、いや何十倍も変わってくることでしょう。
一方で、急な電話が入ったり人に話しかけられることで、集中力が途切れてしまった経験は誰しもあるのではないでしょうか。集中力は一度途切れると、また元のレベルに戻すのに時間がかかります。したがって、集中力はできるだけ長く持続できるほうが、時間効率的にも望ましいでしょう。
集中の方法は人によって異なり、それぞれに適した時間や場所があります。
以下に、参考として私の例を紹介します。
時間
人が集中できる時間はそう長くはありません。これにはいろいろな説があって40分とも90分とも言われています。私の場合は朝方5〜7時のうちの正味60分ほどです。時間帯については、人によっては夜中遅くの場合もあるでしょうし、時間的に追い詰められると集中力が湧いてくる人もいるでしょう(あまりお勧めはしませんが)。
場所
私の場合は、通勤電車やタクシーの中など、狭い場所では集中できません。声の大きいお客さんがいるカフェや、新幹線の中なども会話が耳に入ってきて集中できません。
珍しいところでは、景色の綺麗な宿泊施設やビーチ近くのリゾート地なども、逆に開放的な気分になってしまって集中できなくなります。
私はどうやら、人があまりいないカフェや自宅の部屋、ビジネスホテルなど、適度に隔離された空間が、最も集中できるようです。
また、同じ場所に飽きてきたら、それらの間を移動することで、集中時間を多少は延長できることを自分で知っています。
その他にも人によっては、図書館や屋外に停めた車の中など、集中できる場所は本当にまちまちのようです。
場所以外にも、「集中時間を周囲に宣言する」「携帯電話を切る」「不要なパソコンのアプリを閉じる」といった方法もあるようです。
みなさんもぜひ自分に合った集中方法・集中場所を見つけてください。
3.雑務を身近な人にプチアウトソースする
人間でなければできない雑務はけっこうある
法律で決まっている、物理的にどうしようもない、インフラが整っていないなど理由は様々ですが、いくらIT化や業務の標準化によって減らしても、雑務は細かいところではどうしても出てくるものです。
たとえば、「溜まった名刺の入力」「インタビューテープの文字起こし」「撮影画像の切り抜きとその境界線の処理」「作成資料の“てにをは”やレイアウトのズレの確認」などの雑務は、いずれも意外と時間がかかります。
こういった雑務に対して、OCR(光学文字認識)や音声入力などアプリケーション機能で対応を完結できたらいいのですが、まだ完璧でないところもあり、結局、後から人間が修正作業をしていたりします。
そんな時に、つい「自分でやったほうが早い」と思って、一人で抱え込みすぎて、結局間に合わないか、心身ともに押しつぶされてしまう、といったことが後を絶ちません。がんばり屋のリーダーにありがちなパターンです。
もしあなたが、問題解決や創作的な活動など、より本質的な仕事に集中したいと思っているのであれば、なおさらこういった雑務に振り回されるのは避けたいものです。
協力者に期待しすぎない
そこでお勧めしたいのが、身近な人に雑務を“プチアウトソース(軽めの外注)”するという方法です。プチアウトソースする相手は、自分の家族や友人、友人の家族、知り合いの学生さんなど、気心の知れた身近な人がいいでしょう。
「クラウドソーシングじゃだめなの?」と思われる方もいるかもしれません。もちろんその選択肢もあるでしょう。ただ、まったくの他人よりも、身近な人のほうが最初の自己紹介や相互理解にかかる時間を省け、意思疎通がとりやすいのではないでしょうか。また、お金を払うことで相手に喜ばれ、長期的な関係構築にもなりえるなど、好循環が生まれるきっかけになります。
プチアウトソースを進めるにあたっては、作業手順や納期、お礼の方法などを、あらかじめ決めておき、先方から快く合意を得た上で(ここが重要)、メールや郵送で依頼します。
ここで気をつけないといけないのが、プロに頼む時と違って、品質のレビューや最終的な完成責任は自分にあるということです。そこを忘れて協力者に期待しすぎて、険悪な雰囲気にならないように注意してください。
実際はあなたが思っている以上に、時間やスキルを持て余している人はいるものです。それらの人にとって、あなたのお願い事は意外とお安い御用だったりします。頼み事の時だけ親切にするのではなく、日頃から身近な人に対して関心と敬意を持ってお付き合いするようにしましょう。