あなたの“素の顔”、般若になっていませんか?
ふとした表情を写真に撮られていたとき。街中の鏡やガラスに意識しないまま出くわしたとき。スマホの画面がふいに反転してしまったとき。自分の素の表情の険しさに、驚いてしまったことはありませんか?
事実、大人の女性の真顔は怖い場合が多い。とくに怒っているわけでもないし、不機嫌なわけでもないのに、その顔は眉間にシワが寄り、口角が下がりに下がったまるで般若(はんにゃ)のような形相。ただ真剣なだけなのに、はたから見ればかなりネガティブな雰囲気です。
疲れていないのに「疲れてる?」、怒ってないのに「怒ってる?」と聞かれがちな人は要注意!
真顔というのはつまり、なにかに夢中になっていたり、真剣にものごとを考えていたり、意識が自分以外のところに集中しているときの素の顔なわけですが、それが意外と怖い。
本人は意識していないのですから、もちろん悪気や意図はないのですが、結果、どんなに生まれもった顔立ちが美しくても、ふだんにこやかにしていても、すべてが台無しになってしまうのです。
表情管理とつくり笑顔は違う
もちろん、どんなときでも気を抜かずに笑顔をつくりましょう、というのではありません。事実、張り付いたような不自然な表情は、般若のそれよりずっと怖い。けれど、「常に他人からどう見られているかまで責任が取れない」というのは、ちょっと幼稚な言い訳です。
管理職という立場ともなれば、自分がどう見られているかを客観的に知る必要があります。
「もともと顔が怖いからにらんでいるように見える」「また勘違いされた」「なんでわかってくれないの」と、与えられた状況をただただ悲しんでいいのはせいぜい10代まで。エレガンスをめざす大人ともなれば、まずは自分がどう振る舞うことで他人の目にはどんな風に映っているのかを知り、ときには“表情を管理すること”に意識を向けてみる。この意識を少しでもするかどうかで、自然でいてもあなたの素の顔はりりしく穏やかで、いつの間にか般若に変身することはありません。
表情管理で得られるメリット
ふだん生活している中で、きっといちばん多いのが素の表情で過ごす時間。もちろん他人からいちばん見られているのもその顔でしょう。しかしながら、人は鏡を見るときにさえ瞬間的に顔をつくっているので、真実を知らないのは自分ばかり。自分でも知らないような怖い顔が、周りには“あなたのいつもの顔”として記憶に刻まれているかもしれません。
パソコンで必至に作業しているときや難しいことを考えているときに、ふと話しかけられたとしても、険しい顔のまま対応するよりは、ふんわり穏やかな表情のほうが、自分も周りも気分がいいはず。本来意図する“表情管理”は、その場を取り繕ったり、表面上丸く治めるためのものではなく、自分の本音をエレガントに表に出すことで、コミュニケーションを円滑にするためのものです。大事な会議中も、眉間にシワのよった怖い顔で話を聞くより、こちらから心を開いているのが伝わるような、やわらかい表情のほうが、発言者の本音を引き出せる可能性がぐっと高まります。
表情管理が自然にできるようになれば、こちらの投げかけが変わるのですから、返ってくる返事や話の展開だって、いい方向に変わるかもしれません。
「そんなのわかってる」「それで仕事がうまくいったら苦労しないよ」「いつも意識していられないわ」そんな言い訳を正当化して、つい放置しがちな悪癖は、少しの意識で直すことができます。“表情管理”をすることで、仕事でもプライベートでも得する人になれるのです。どうせなら素の顔もエレガントに美しく。それも品格ある女性が意識すべき大人のマナーです。
会社員として勤務した後、女性誌の編集者を経て執筆家に。
現在ブログ「ANNE MAGAZINE」にて、
大人の女性に必要なファッション情報を発信するほか、
パーソナルスタイリングやセミナー等も開催。Facebook