鯨から小学校を利用した水族館まで室戸岬、海と魚を巡る"大人の社会科見学"

ヒーリングスポット、室戸ってどんなところ？

今でも1000年に平均1～2mも隆起しつづけるという室戸岬周辺は、大地を身近に感じ、自然の恵みと力を全身に浴びられるパワースポットとしても有名である。

室戸岬の海洋には、深海1000mもある場所があり、その周辺はマッコウクジラの餌になるものが豊富。逆に深海200mくらいの浅い場所はニタリクジラが好み、室戸沖は古くからクジラの回遊路になっている。とくに4～10月の暖かい時期にはホエールウオッチングツアーがおすすめ。年間を通して90％近い確率でクジラを見られる幸運な場所だからだ。

しかも体に優しい海洋深層水を使ったスパや温泉まで。仕事で疲れた心と体に新たなエネルギーをくれる室戸にGO！

イルカやクジラに大接近！

まずは、イルカと触れ合ったり泳いだりできる「室戸ドルフィンセンター」に立ち寄ってみてはどうだろう。網にかかってしまったイルカなどを保護し、イルカとコミュニケーションをとりながら一緒に楽しむことを目指す同センターでは、イルカに触ったり、トレーナー体験をしたりできる。さらにせっかく来たのなら、ウエットスーツを着て、トレーナーと一緒にイルカが待つ海で泳げるドルフィンスイムに挑戦。

水に入る前に、イルカを傷つけない近づき方や触り方、そしてイルカの体のつくりなどについてトレーナーから説明を受け、早速海へ。賢いイルカは、トレーナーの指示を受けて、静かに近寄ってきてくれるので、まずなでなで。哺乳類のイルカは、手で触るとほんのり暖かく体温が伝わってくる。サインを教えてもらって交流した後、背びれに優しく捕まると、なんとイルカがグイグイ泳ぎだした！　イルカに体を預けて泳ぎに身をまかせると、イルカと一体になったような気分に。最後には握手やバイバイ、そして頬にキスまでしてくれて、愛らしいイルカとの時間は終了。

同センターは、発達障害者へのイルカ介在活動プログラムなども行い、イルカを通して地域や福祉にも貢献している。小さな子どもから大人まで楽しめるので、温暖な気候に住む室戸のイルカにぜひ会いに行ってみては。

女子旅には、ドルフィンスイムとスパ施設「シレストむろと」でのランチやスパ＆エステがセットになったお得なプランがおすすめ！

学校プールにサメがいる?!　話題の廃校水族館

2018年4月に開館し、半年で10万人以上の来館者を記録したほどの話題スポット「むろと廃校水族館」。その名前の通り、過疎になり廃校となった小学校を回収した建物を、魚の研究を目的としながらも広く知ってもらおうと水族館として生まれ変わらせた。面白いのは、学校施設の名残を随所に感じる館内だ。校内の廊下には高知周辺や日本の地図が貼ってあり、地図を見ながら魚の生態を学べる。手洗い場はヒトデやエビなどに直接触れられるタッチプールになっているし、小学生の小さな机や椅子が並んだ教室もあり、歩いていると懐かしさがこみあげてくる。

外の25mプールには、定置網に引っかかり地元漁師から提供されたウミガメやシュモクザメが、悠々と泳いでいるという不思議な光景まで。

「他の水族館に比べて目玉になる魚はいないかもしれません。でも、魚について学べたり、懐かしい気持ちで写真を撮ったり、と来館者はそれぞれの過ごし方を楽しんでくれているようです」と若月元樹館長。図書室の本棚の上には巨大なクジラの骨が、そして理科室には魚のホルマリン漬けがあり、生徒に戻った気分で魚について学べる時間になるだろう。

肌もツヤツヤになる海洋深層水のお風呂

オホーツク海やアラスカ付近から深層へ潜り込み、そこから北太平洋を回って日本に流れてくる海洋深層水。海岸から急に深くなる室戸の海流があり、深層からの海流が上がってきやすくなっているのだ。室戸には、日本で初めての海洋深層水取水施設があり、研究が進められてきた。

この海洋深層水は、深海を通ってきたおかげで栄養性にも富み、ミネラルバランスも良く、化粧水や美容水、料理水としても使われており、血流改善効果、血圧調整、便秘症状の改善などにも役立つと言われている。室戸では、そんな海洋深層水を使ったタラソテラピーや温泉などを楽しむことができる。

宿泊でも立ち寄り湯でも入れる海洋深層水の温泉はいくつかあり、例えばスパで有名な「ウトコオーベルジュ」では、全室オーシャンビューの部屋に宿泊しながら、海洋深層水プールやスパで美を極めることもできる。「ちょっと、ひとっ風呂」と気軽に寄りたい人は、そのすぐそばにある「ホテル明星」で日帰り入浴。併設のレストランで食事もして少しリフレッシュしてまた観光再開だ。

大地の力、海水の力、海の生き物たちとのコミュニケーション、様々なエネルギーを感じて過ごせる室戸の旅。いつもの時間の流れとは違う、時計を見ないで過ごす休日を過ごせるだろう。そして、空海も見たというパノラマの海からの日の出と日の入りを岬からぜひ眺めて欲しい。