※本稿は、「プレジデント ウーマン」(2018年4月号)の記事を再編集したものです。
JR東日本サービス品質改革部 課長の場合
「子どもが3人いるので、産休・育休も3回とりました。3回となると昇進は難しいと思いましたが、2014年にグループリーダーに任命されると見える世界が変わりました」
サービス品質改革部で課長を務める本室晴美さん。実家近くに引っ越し、ママ友からファミリーサポートまであらゆるピンチヒッターに頼ってきたという。
40歳で販売促進課の副課長に就いたとき本室さんは、「わが子とこんなことができたらうれしい」という思いを形にした、藤子・F・不二雄ミュージアムと南武線沿線活性化とのコラボレーションを企画し、大反響を呼ぶ。参加した親子連れだけでなく、関わった社員みんなが笑顔になり達成感をもった。
17年には管理職に昇進した。管理職に就いてみると、育児とのこんな共通点を発見したという。
「育児と仕事のマネジメントは、チームで協力して何かをやり遂げるという点ですごく似ているんです。子どもにいいタイミングで声をかけて手伝ってもらって、『ママすごく助かったよ』と感謝する。それを繰り返すと、子どもたちも私の状態を察して、『洗濯もの干しておこうか?』と言ってくれるように(笑)」
▼本室晴美さんのLIFE CHARTS
日本マクドナルド フィールドサービスマネージャーの場合
フランチャイズ各店のオーナーをサポートするフィールドサービスマネージャーとして、名古屋・神奈川地区を日々飛び回る西村美子さんは、家庭では1児の母。198店舗と21法人をまとめる管理職だ。
入社以来、前向きに仕事に打ち込んできたが、37歳で、不妊治療と出産を経験。生活にも変化が訪れた。
「産後半年で職場復帰をしたものの、育児をサポートしてくれていた義母が体を壊してしまって。仕事と子育てと介護で一番大変な時期でしたね。ここで助け舟を出してくれたのが義理の姉。介護を引き受けてくれたのです。姉のおかげで、再び仕事に集中できるようになりました」
2017年に現職に昇進。育児と東京から名古屋への勤務の両立は、周囲のサポートによるものが大きい。
「上司の計らいで、地方との会議には、自宅や新宿本社からスカイプ経由で参加できるようになりました」
子育てを経験してからは、上司としての姿勢にも変化が表れたという。
「大切なのは密なコミュニケーションや部下への配慮です。産後はその思いがより強くなりました。『一歩踏み出す勇気』という、CEOであるサラ(・カサノバ)の教えを常に心に抱くことで挑戦できています」
▼西村美子さんのLIFE CHARTS
サイバーエージェント 人事グループ シニアマネージャーの場合
「子どもと一緒のときにトラブル対応の電話がかかってくることも。切り替えの難しさはありますね」
メディア事業の担当人事責任者として働く桂木絵理さん。2003年に入社、5歳の長男・3歳の長女の育児と管理職の両立に奮闘中だ。
シニアマネージャーに昇進したときには、大いに苦悩した。
「役員や経営陣のリクエストに応えたいけれど、能力不足、経験不足、時間も足りない……。そのジレンマで自問自答の日々でした」
頑張ってみたものの、ある日それも限界に。「『どうしたらいいかわからないんです!』と正直に上司に伝えたんです。そうしたら、親身になって向き合ってくれて、いろいろアドバイスしてくれました」
そこで学んだのは、自分ひとりの力には限界があるということだった。
「どうしても勤務時間が短くなったり、突然休まなければならないこともあります。だからこそ、チームの大切さを実感しています」
一方、子育てはほどよく手を抜く。宅配利用で時短しつつ、1日30分は子どもと遊ぶ時間を必ずつくる。「育児での気づきを仕事のマネジメントに活かせたり、その逆もある。そこはママの特権かな」