※本稿は、雑誌「プレジデント ウーマン」(2018年6月号)の記事を再編集したものです。
夏になると気になるのが「汗」。外出が多い営業ウーマンなら、汗によるメイクくずれや、ブラウスに染みるワキ汗も気になるところ。濡れるだけならまだしも、ワキがにおうのではないかと、気にする女性も多い。ニオイ問題はデリケートであり、確認も指摘もしづらいもの。そこで、「体臭」について、ニオイの専門ドクター、五味常明先生に伺った。
「多汗やワキガなら治療法はありますが、ニオイの悩みはさまざま。病気でなくとも忙しく働く女性では、生活習慣が乱れストレスが多くなると体臭がきつくなることも」
30~40代に現れるのが「ミドル脂臭」。男性特有と考える人も多いが、女性も例外なくこのニオイが出る。
「ジアセチルという成分がニオイの元。緊張などによるベタベタ汗に含まれる乳酸と、皮膚常在菌のブドウ球菌が結びつきジアセチルに変化し、においます。頭のニオイがきつくなったら、ミドル脂臭を疑って」
仕事のストレス、動物性脂肪やアルコールの過剰摂取、肥満や睡眠不足も原因となる。予防には乳酸を過剰に分泌させないよう、生活習慣を整えることが必要だそう。
「40代後半からは、“加齢臭”も発生します。加齢とともに皮脂腺の中の脂肪酸が増え、同時に過酸化脂質も増えてふたつが結びつき、分解・酸化した成分がニオイの元、ノネナール。加齢臭はオジサンだけだと思ったら大間違い。脂肪酸などが分解されれば、男女ともにおいます」
加齢臭もミドル脂臭同様、ストレスや生活習慣によって強くなる。
「抗酸化作用のあるビタミンCやE、カテキンや大豆イソフラボンを積極的に摂り、体内から対策を」
また、女性ホルモンには発汗をコントロールする役目もあるため、30代後半からの女性ホルモン減少とともに、ミドル脂臭や加齢臭が発生する可能性も高くなる。日頃の生活習慣を見直し、ストレスを上手にオフすることを心がけ、洗髪の際は頭皮を中心によく洗い、しっかり乾かす。耳の後ろや首筋などは、汗拭きシートでこまめに拭こう。体温が高くなる夏は特に、ニオイ対策を万全に。
・汗腺機能の低下
・ストレス・疲労
・脂肪過多な食生活
・女性ホルモンの減少
体臭を抑制するには……
1 適度な運動でサラサラのいい汗をかく
2 抗酸化力の高い野菜やお酢、レモンなどのクエン酸を積極的に摂取する
3 高脂肪食を見直し、腸内環境を整える
4 ゆったり湯船につかり、ストレスOFF
5 毎日、体や洋服を清潔に保つ
五味クリニック院長
医学博士。体臭・多汗研究所所長。ニオイの専門ドクターとして、ワキガ・体臭・多汗治療を行う。心のケアと外科的手法を組み合わせる「心療外科」を提唱・実践。的確なアドバイスで、ニオイの悩みから解放される人多数。高齢者介護の現場でのニオイケアにも取り組む。TVや雑誌など多くのメディアで活躍中。