上司は「仕事中に泣く部下」が許せない
自分では意外と気づかなくても、他人のマナーは気になるもの。ビジネスの現場で上司や部下、クライアントが気になっているのはどんなことだと思いますか。
「プレジデント ウーマン」(2018年5月号)では、働く男女1500人に「マナー」についてのアンケート調査を実施しました。その結果、「イマドキ職場」が求める意外なビジネスルールが浮き彫りになりました。誌面の一部をご紹介したいと思います。
調査では「上司」「部下」「クライアント」という3つの立場で聞いているのですが、いずれもワースト1位というバッドマナーとなったいうのは、「挨拶をしない」ことでした。
最近では、「お疲れ様」などの声がけを、「わずらわしい」「不要だ」とする社会人がいるようですが、挨拶は人としての基本です。どんな業種でも、「おはようございます」「お疲れ様です」「お先に失礼します」などの挨拶は、コミュニケーションの第一歩として大切にしたいですね。
「上司」(アンケートで「部下がいる」と答えた人)の場合、2位が「体臭がにおう」、3位が「香水の香りが強い」、4位が「髪がボサボサ」だったのですが、5位は部下やクライアントでは上がらなかった項目がランクインしました。それは「仕事中に泣く」。許せないマナーと感じている人が多いということは、実際にそうした事例に遭遇したのかもしれません。どんなに仕事がツラくても、人前で泣くのは避けたほうがよさそうです。
「部下」(アンケートで「部下がいない」と答えた人)の場合、上司のベスト5にはなかった項目が2位に入っています。それは「デスクの周りにゴミを散らかす」こと。
これも散らかしている上司が多いということの裏返しかもしれません。管理職になったときには、特にデスクまわりの整理整頓には気をつけましょう。
「クライアント」の場合、1位は「挨拶をしない」、2位は「敬語が使えない」でした。そして、3位は「打ち合わせ中に、スマホをチラ見」、4位は「話しているときにペンをぶらぶら」でした。たとえ悪気のない動作であっても、クライアントはしっかりチェックしているということでしょう。「集中していない」「やる気がない」と誤解されかねませんから、常に「見られている」ことを意識したほうがいいでしょう。
LINEは7割がNGだが、電話のNGは0.3%
この数年、電話やメールにかわる連絡手段として、「チャットツール」を導入する企業が増えています。「Slack」や「チャットワーク」のような法人向けのツールだけでなく、LINEやFacebookといった私用のツールで連絡をとる、というケースも少なくないようです。
しかし40代以上とみられる「上司」の人たちは、そうしたチャットツールに対する感覚が、「部下」の世代とは異なるようです。
アンケートで、「上司」の人に「部下からの遅刻の連絡があったときの連絡ツール」について聞いたところ、許せないと感じた人の割合は、「メール」では2割以下でしたが、「LINE」では4割、「チャット」では5割に上りました。つまりメールよりもLINEやチャットのほうが「無礼」と感じるようです。
これは、「クライアント」も同様で、LINEやチャットでの遅刻・欠席等の連絡は、約7割が許せないと回答。一方、メールでは2割程度、電話では女性が0.3%、男性が0.7%と激減しました。遅刻や欠席をしてしまうときには、できるだけメールか電話で連絡したほうがいいようです。
男性は女性の「露出」に対して異様に寛容
今回のアンケート調査ではビジネスの場における「男女の意識の違い」も浮き彫りになりました。
女性が職場での身だしなみ、特に「手入れされた髪」や、行き届いた「スキンケア」、ほのかな「香水の香り」をさすがのマナーと感じる一方、男性は、女性の「すっぴん」、「無臭」を好む傾向が見て取れました。
さらに、「露出の多い服装」は、女性の約6割がマナー違反と感じているにもかかわらず、男性は「高露出」「胸元が大きく開いた服」「ミニスカート」を許せないと感じる人が2割と、女性に対して非常に低い結果となりました。男性がマナー違反と感じる身だしなみは、露出よりも、「派手」な服装であることが判明したのです。
こうした結果からも、男性は職場の女性に求める身だしなみにおいて、「露出に寛容」である傾向が浮き彫りになりました。
お年寄りより妊婦のほうに席を譲りたい
アンケート調査では、駅や街頭での公共マナーについても聞いています。男女ともマナー違反の1位となったのは、「列に割り込む」行為。その比率は94.0%で圧倒的でした。2位は「食事中クチャクチャ音を立てる」で85.4%、3位は「すぐ怒鳴る」で75.0%でした。また、「妊婦に席を譲らない」が68.2%だったのに対して、「お年寄りに席を譲らない」は64.3%と、わずかですが差がつきました。元気なお年寄りが増えている一方、少子化が社会問題になっているからでしょうか。
1500人の「マナー」への意識はどういうものなのか。「プレジデント ウーマン」(2018年5月号)で、ぜひ詳細をご確認ください。