元CAソムリエール「ワインのNGマナー9」
ワインは堅苦しく考えず楽しく飲むのがいちばんですが、高級レストランでは、ワインを飲む際にもマナーは必要です。まず、ワイングラスの持ち方。女性であればエレガントにステム(脚)の下3分の1程度を、親指から薬指の4本で優雅に持つのがオススメ。また、通ぶってグラスをクルクル回す必要はありません。うっかり倒してワインをこぼしてしまうほうが大変です。乾杯は、目の高さまでグラスを掲げて相手の目を見ながら軽く会釈を。ビールジョッキのようにグラスをぶつけ合うのはいただけません。エレガントな乾杯が女性をより素敵に見せてくれます。
女性にとってもっとも悩ましいのが、グラスについた口紅の跡。指でキュキュッと拭う人も多いですが、できれば着席前に化粧室で口紅を押さえておくほうがスマートです。それでも気になるなら、なるべく同じ位置から飲むようにすると汚れの範囲が抑えられます。外国映画で素敵な女性が指でキュッとグラスについた口紅を拭うシーンがありました。女性から見てもカッコいいと憧れますが、「お誘い」の合図と取られることも。レストランやバーでは控えたほうが無難です。
日本人の多くがやりがちなNGは、女性がワインを注ぐこと。これは絶対にやめましょう。グラスになくなるタイミングでソムリエが注いでくれますし、ソムリエがいないならば店のサービス担当を呼ぶか、一緒の食事グループの男性が注ぐのがマナーです。海外ではワインであれ、瓶ビールであれ、自宅以外で女性がお酒を注ぐことはありません(ソムリエールやサービス担当は除く)。夜の商売の女性と間違われることもあるので、気をつけたいものです。
レストランでは、ワインのオーダーは、ホスト役に任せましょう。男性がホスト役であれば、たとえ女性のほうがワインに詳しくても、男性を立てるのがマナー。自分がホスト側であれば、相手の好みを尊重して選びましょう。カジュアルな場であれば、赤・白にこだわらず、好きなワインを好きな料理に合わせて楽しんでみては。少しだけマナーを意識して、まずはワインを楽しむことからはじめてみましょう。
ツウぶってグラスをクルクル回してはいけない
1:グラスをクルクル
1990年代後半、赤ワインブームの影響で、ワイングラスをクルクル回す人続出! 空気に触れさせる「スワリング」という方法だが、回せば回すほどおいしくなると勘違いする人多数! 白ワインでは適正温度が変わるため回さない。
2:残っているのにどんどん継ぎ足す
白ワインやシャンパンは、香りや味わい、温度が変わるので継ぎ足しはNG。ほぼなくなってから次を注ぐのがマナー。ヴィンテージの赤ワインなども同様に。低価格の赤のテーブルワインなどは多少グラスに残っていても足してOK。
3:グラスを鳴らして乾杯!
グラスの音を鳴らす乾杯はNG。ましてや腰を浮かせて遠くの人と乾杯するのはもってのほか。高級レストランのワイングラスはいいものなので、合わせず、目の高さにグラスを持ち上げ、相手の目を見てスマートに。どうしてものときは、グラスを近づける程度に。
4:グラスのボウルを持つ
ワイングラスはステムの部分を持つとエレガント。ボウル(本体)を持つと、ワインに手の温度が伝わり風味や香りが変化するので避けたい。ただし、立食パーティなどステムを持つと不安定な場合は、ボウルを持ってもよい。
5:レストランで女性がワインを注ぐ
日本人女性がやりがちな行為だが、NGマナー。ソムリエのいるレストランではソムリエが、ソムリエがいない場合は店の人に頼むか、食事のグループに男性がいればホスト役として男性が注ぐのがマナー。家飲み以外は要注意。
グラスを持ち上げて注いでもらってはいけない
6:手でフタをして、拒否
ソムリエやホストがワインを注ごうとした場合、いらないなら、グラスのリム(縁)に軽く触れて目で合図するとエレガント。グラスにフタをするように手で覆ったり、大げさに手を振って「いらない」と意思表示するのはNG。
7:グラスを持ち上げて注いでもらう
これも日本人女性に多いNGマナー。ビールや日本酒の習慣からか、ワインを注いでもらうときにもグラスを持ち上げる人が……。グラスはテーブルに置いたままで、手はプレート(底)を軽く押さえる程度に添えて注いでもらおう。
8:高級レストランで、ワインを持ち帰る
飲み残した、おいしいワインのボトル、しかもお金を払っているのだから、家に持ち帰りたいところだが、星付きのような高級レストランではNG。庶民派レストランでは大抵持って帰れるので、店の人にひと言相談を。
9:グラスについた口紅を指で拭う
口紅の油分が混ざるとワインの味が悪くなるので、着席前に化粧室で口紅を押さえておいたり、乾杯前にナプキンで軽く押さえてからいただこう。欧米では、グラスの口紅を指で拭うと「今夜はフリー」の合図の場合もあるので、注意。
ソーシャル・ソムリエール
大手国内航空会社・国際線CA時代から世界各地のワイナリー巡りにはまり、JALアカデミーのワイン講座を担当。退職後、社会デザイン学修士となる。現在、立教大学大学院社会デザイン研究所研究員、ソーシャル・ワイナリー研究会代表。ワイナリー研究家として、ジョージアワインの研究にも力を入れている。