※本稿は「プレジデント ウーマン」(2018年5月号)の掲載記事を再編集したものです。
ニオイと音に気をつけて静かにお酒を楽しもう
「ホテルだからと構えることはないと思いますが、ホテルバーは、にぎやかに騒ぐというより、静かにお酒を楽しんでいただく店が多いですね」とホテルバーに勤務する松浦広幸さん。
つまり、その店の雰囲気にあわせて振る舞えるかどうかがポイントになる。松浦さんが気になるのは、「カクテルになかなか口をつけない人」だそう。氷を入れないショートカクテルは5分以内、3口で飲みきるのが理想とされている。
「ショートカクテルはどんどん風味が変わるので、アルコールに弱い方なら度数の低いものか、20分前後で飲むロングカクテルを。ノンアルコールカクテルでもOKです」
次に気をつけたいのは、ニオイや音。バーには香りを楽しむ酒を好む客も多いので、きつい香水は大ひんしゅく。周囲の客が振り返るほどの大きな声も遠慮したい。女性の声は男性よりも目立ってしまうのだ。
女性が1人で訪れるのはまったく問題ないが、手持ち無沙汰になり、ひたすらスマホをいじるのは無粋。「スマホのことは忘れて、バーテンダーとの会話を楽しんでいただければ。共通の趣味をもつ近くのお客さまと会話がはずんだりもします」
注意したいのは、ほかのバーの話を自慢げにしたり、上司や会社のグチを言ったり、バーテンダーや隣の客に「私の年齢あててみて」など、自己中心的な質問をぶつけること。バーテンダーにお酒をふるまう行為も、ホテルバーでは歓迎されない。「お気持ちはありがたいのですが、ホテルの従業員は勤務中の飲酒は厳禁。ご理解ください(笑)」
カウンターで寝たり、化粧室で介抱されるほど酔いつぶれるのは、女性としてもっとも避けたい行為。「1、2杯ほど注文されて、1時間ほどでサッとお帰りになる方は、慣れていらっしゃるなと思います」
バーでは引き際の美しさも大事。ほろ酔いの上機嫌を最後までキープしたいものだ。
「その街を知るには、まずは人気のバーに行くこと」。伝説のバーマン、チャールズ・シューマンがバーの原点を探す旅に出る。バーでのマナーもわかる一本。●2018年4/21(土)~、シアター・イメージフォーラムほか全国順次ロードショー
1:ショートカクテルを長時間かけて飲まない
ショートカクテルはつくりたてが一番おいしいので、5分以内に飲むのがスマート。氷入りのロングカクテルは20分くらいかけて飲む。
2:きつい香水&露出は控える
ウイスキーやブランデーの香りを楽しむのもバーの醍醐味なので、きつい香水はNG。露出の激しい服は「ナンパ待ち」と勘違いされやすい。
3:SNSで店内の様子を中継しない
ホテルバーには、芸能人や文化人が来店していることもあるが、撮影はもちろん、固有名詞を出してSNSで中継するのはもってのほか。
4:大声&音の出るアクションは控える
親しい友だちと一緒だと声のボリュームが大きくなりがち。家飲み同様に騒ぐのは控えて。割れやすいグラスもあるので乾杯も遠慮しよう。
5:カウンターのものを勝手に触らない
カウンターにあるボトルやグラスのほか、バーテンダーの道具に勝手に触るのはやめよう。料理人の包丁を握るのと同じくらい失礼にあたる。
6:バーテンダーを独占しない
バーテンダーはカウンターの客全員に目配りしている。ほかの客との会話に割り込んだり、自分の話ばかりするのはマナー違反。
ザ・プリンスギャラリー 東京紀尾井町 バーテンダー
2007年よりホテルバーに勤務し、現ホテルではバー「スカイギャラリーラウンジ レヴィータ」所属。得意なカクテルは「マンハッタン」。全国大会での入賞経験あり。