生産性の高い人は日々ノートに何を書き、仕事にどう活かしているのか? 情報整理、問題解決、ネタづくりに使える賢人のワザを特別公開!
▼教えてくれる人

美崎栄一郎
1971年生まれ。ビジネス書作家、商品開発コンサルタント、講演家。花王でのビジネスマン経験を経て独立。著書『「結果を出す人」はノートに何を書いているのか』(Nanaブックス、2009年)はビジネス書大賞1位に輝く。2013年からビジネス手帳の監修も手がけている。
村井瑞枝
戦略コンサルタント。調理師免許取得後、米国とイタリアの大学、Rhode Island School of Designでアートを学ぶ。JPモルガン、ボストンコンサルティンググループなどを経て会社設立。『図で考えるとすべてまとまる』(クロスメディア・パブリッシング)など著書多数。
はあちゅう
ブロガー、作家、コメンテーター。慶應大学法学部在学中にカリスマブロガーとして注目され、講演、執筆、広告出演などに携わる。電通、トレンダーズ勤務を経て2014年にフリーに。『とにかくウツなOLの、人生を変える1か月』(角川書店)など著書多数。

セミナーの記録を「使える情報」にするには?

▼90分の講演を1ページに凝縮(美崎さん)

アートと広告に関する90分の講演のメモ。「キーワードさえ押さえれば、関連するエピソードを思い出せます」と美崎さん。

中央上部から円を描くようにキーワードやキーセンテンスを記入していきます。こうすると文字を左端からきっちり埋めるより余白ができ、ワードの横に補足説明を追加しやすくなります。メモするワードは最低限でOK。知らない用語や印象に残った単語を拾ってメモし、重要だと思うものは囲ったりアンダーラインを引きます。「講演のすべてを覚える必要はない」と割り切ることが大切。そうすれば長時間のセミナーでも1ページに内容を集約でき、あとで見返してもわかりやすくなります。(美崎さん)

▼「メモ魔」にならないように
セミナー会場ではデジタルとアナログの両方でメモ。シェアしたい内容をツイートすることも。ただし「メモ魔」にならないよう気をつけています。メモに夢中になりすぎると講師のメッセージを受け止め損ねてしまうので。(はあちゅうさん)

▼フレームワークは必ず記録
要点がまとめられたフレームワーク(図)が提示されたら必ずメモします。そのほうがあとで見返したとき、文章よりわかりやすい。また結論だけでなく、結論に至るまでの思考の流れも書いておくと、学んだことを再現しやすくなります。(村井さん)

複雑なことをシンプルに整理するには?

▼図を使って全体像を把握(村井さん)

(図1)コンサルティングをしているお店の問題がどこにあるのか、時系列で分析してみたもの。(図2)会社の事業計画を練ったときのメモ。どんな機能が必要か、誰に何を頼むかが一目瞭然。

ものごとは図に落とし込むと全体像が把握しやすくなります。きれいに仕上げる必要はないので、まずは描いてみましょう。

たとえば図1は、私が実際にある飲食店のコンサルティングをしたときに描いた図です。そのお店のオーナーは漠然とした問題意識はあったものの、何が問題か、はっきりつかめていませんでした。そこでそのお店を利用するお客さんの行動を時系列に一つずつ並べてみることで、どこでつまずいているかを分析してみたのです。このように「時間」で区切ってみるのも図解の手法のひとつです。

図2は、私が自分の会社を設立した際、誰にどんな仕事を頼むか考えたときのものです。図にすることで全体を見渡して、会社に欠かせない機能は何か、外注できる部分はどこかを特定することができました。

このような図をいきなり描くのはハードルが高い、という人は、最初は「表」を書くことから始めてはどうでしょうか。たとえば人の話は、たいてい三段構成になっています(「問題」「その理由」「解決方法」など)。まずノートに線を引いてスペースを3分割し、話を聞きながら、「これは問題」「これはその理由」「これは解決方法」というように、カテゴリーで分けていくのです。それだけで表を書くことができます。カテゴリーで分けると、ただ箇条書きにするより頭にスッと入るし、あとで見返したときもわかりやすくなります。

▼要点だけを抜き出して記録
いつも持ち歩き、何でも書きとめるための小さいノート(コクヨ)と、折に触れて読み返すための保存用のノート(無印良品)を使い分けています。小さいノートに雑に書いたものを後日清書することで、自然と要点が整理されます。(はあちゅうさん)

●美崎栄一郎さんの愛用ノート


どの位置からでもメモしやすい 「ニーモシネA5ノート 特殊5mm方眼罫・限定デザイン」(奥)と、A4の資料を折って収納できる「Ca. Crea(カ.クリエ)A4×1/3サイズ」(手前)を愛用中。
 
 
●村井瑞枝さんの愛用ノート


方眼入りの「ライフ リングノート クリッパー A4」(奥)は縦にも横にも使え、図を描くときに便利。入手しやすい「コクヨキャンパスノート」や「ツバメノート」のB5(手前)を常用。
 
 
●はあちゅうさんの愛用ノート


少しでも荷物を軽くするため、普段はA6サイズの「コクヨ キャンパスノート 5号」(奥)を愛用。大事なことは無印良品の「再生紙週刊誌4コマノート・ミニ」(手前)に転記している。