30年近い付き合いのある友人であり、映画『幸福のアリバイ~Picture~』では監督・俳優として組んだ陣内さんと柳葉さんが、働く女性たちのリアルな悩みに、人生の先輩としてズバリ答える!

陣内孝則●1958年生まれ。福岡県出身。80年、ザ・ロッカーズのボーカルでデビュー。俳優デビュー後はドラマ・映画・舞台と幅広く活躍。長編映画監督作品には『ロッカーズ』『スマイル~聖夜の奇跡~』がある。
柳葉敏郎●1961年生まれ。秋田県出身。86年『南へ走れ、海の道を!』で本格的に映画デビュー。陣内と共演したドラマ「君の瞳をタイホする!」や「踊る大捜査線」で人気を集め、映画『容疑者 室井慎次』で主演。


お悩み1▼
夫の年収を超えてしまって以来、口を利いてくれなくなりました(40代・外資系・既婚)

【陣内】奥さんのほうが稼げるようになったってこと? それはそれで、男(夫)は「妻のヒモになる」という高い志を持てばいい!

【柳葉】いきなりヒモですか?

【陣内】俺は女房と知り合った頃、月収がまだ15万円ぐらいで、女房はモデルでその何倍も稼いでいたからね。「俺、ヒモになろう」と思って付き合いだしたら、逆転しちゃったけど。

【柳葉】この人のダンナさんは、「仕事」じゃなくて「収入」にプライドを持っちゃっているんじゃないの?

【陣内】そうそう。男が仕事に誇りを持っていたら、口を利かなくなるなんてこともない。だいたい映画監督なんてみんなヒモですよ。女優の妻が稼いで、自分は好きなときに好きな作品を撮るというのが、正しい監督のあり方。卑屈になることはない。

【柳葉】なるほど(笑)。それでこのケース、どうやって解決します?

【陣内】やっぱり「助け合い」の精神でしょう。仕事していれば良いときも悪いときもあるんだから。

【柳葉】そうそう。どんな夫婦でも、お互い支え合っていかないとね。

お悩み2▼
実母が結婚や出産についてプレッシャーをかけてきます(30代・メーカー・独身)

【陣内】母親っていうのは、自分が歩んできたのとは逆のことを勧めるからね。だいたい嘘つきなんだから、過敏に反応しなくていいと思うよ。

【柳葉】まともに受けなくていい。「そうね」って言って流す。自分の人生ですからね。お母さんが何と言おうと揺らがなくていい。逆に、アドバイスとして有効なことを言われたら「ラッキー」と思えばいいだけ。

【陣内】そうそう。自分には選択の自由というものがあるわけですよ。

【柳葉】うちは母と同居していて、「こんなことを言われた」という問題が起きたら、母、妻、子どもたち全員で家族会議を開きます。そこでお互いの気持ちを確認して、解決する。

【陣内】えらい。うちも俺の母が来たときに、妻が子どもを厳しくしつけたら、母が「かわいそう。私はそんなことしたことない」って言ったんだけど、嘘ばっかりだからね(笑)。俺なんか、さんざんひどい目に。

【柳葉】孫については、おばあちゃんに責任がないから、勝手なことを言う。実母なら縁を切れないし、話し合うかスルーするかの二択でしょう。

お悩み3▼
互いにフルタイムなのに、夫がまったく家事・育児をやりません(40代・メーカー・既婚・子ども1人)

【陣内】夫が家事をしない? 俺がそうですからね(笑)。でも、柳葉さんはちゃんとやっているらしい。

【柳葉】台所の洗い物ぐらいですよ。

【陣内】ただ、うちがそれでもやっていけているのは、俺の腰が低いから。「恵理ちゃん、ごめんね」「恵理ちゃん、ありがとう」とひたすら低姿勢。誕生日は必ずバラの花束を贈る。

【柳葉】やっぱり感謝の気持ちを言葉にして伝えないとね。

【陣内】育児ってやっぱり大変ですから、それを頑張ってやってくれた妻のことはリスペクトしていますよ。

【柳葉】大変ですよね。息子が生まれたときは、夜中のミルクを交代でやったなぁ。その子も今、小学生になって食器を洗うように。やっぱり子どものうちに、父親が家事をする姿を見せることが大事なんでしょうね。

お悩み4▼
社内政治に8割の力を注いでいる現状にフラストレーション(40代・金融・既婚)

【陣内】俺は会社員やったことないからなぁ。でも、ひとつの解決策として転職するというのはアリかもね。または、「まずは自分から変えていく」という気持ちで、周囲との付き合い方を変えてみる、とか。

【柳葉】僕は「踊る大捜査線」で室井慎次を演じたときに、作品を通して組織のいやらしさってものを味わいました。でも、この人は就職先としてその組織を選んだわけで、「こんなはずじゃなかった」と思っているのだろうけれど、人生思い通りにならないことばかりだから。就職したときの気持ちに戻ってみてほしいね。

【陣内】その通り。自分がこの仕事をしている理由は何か。その原点に戻って、今のむしゃくしゃしている状況をニュートラルに戻してみる。そこからどうするか考えてほしいね。

お悩み5▼
「あ~ぁ」「いやだなぁ」とため息をつく(30代・サービス業・既婚)

【柳葉】映画やドラマの現場でも、こっちが緊張している本番前に大あくびをするスタッフがいたときは、つい怒っちゃうね。「手ぐらい当てろ」って言いますね。

【陣内】たしかに、現場の段取りが悪くて「はぁー」とため息が出るようなことはあるんだよね。

【柳葉】でも、ため息って実は健康にいいらしいですよ。「ため息をつくと、幸せが逃げる」なんて言葉もあるけれど、その逆。ため息って吸うより吐くのが長くて、たいてい2秒で吸って4秒で吐く。これってすごく健康的らしいんですよ。だから、そう見てあげればいい。

【陣内】ああ、それはいいね! 「今、ため息ついたけれど、あの人は血行を良くしているんだ」と(笑)。ポジティブにとらえればいいわけだ。

 

お悩み6▼
男性部下をやる気にさせるのが難しいです(30代・医療系・独身)

【陣内】自分が管理職で、男性が部下という場合だね。部下のやる気を出させるには……。うーん、ミニスカートをはいてみる(笑)。

【柳葉】意外に有効かもしれない。男心としてそれはアリですよね。

【陣内】俺は、現場にやる気のないスタッフがいると、怒っちゃうから良くないんだけどね。それだけでなく褒める。アメとムチじゃないけれど。

【柳葉】同じ職場にいるんだから、部下に対して「一緒にこの目標に向かっているんだ」とか、なにかひと言示すといいかもしれないね。

【陣内】映画でも活性化する現場というのは、みんながアイデアを持ち寄って、目標に向かっていく。今回の映画のように自分で監督をするときは「幸せな現場にしなきゃダメだ」と思っている。

【柳葉】それにしても、このお悩み相談の答えは、自分が50代になったから言えることが9割以上でしたね。

【陣内】そりゃそうだよ。俺なんか、デビューした若い頃から誤解されて、誤解が誤解を生んで37年だから。

【柳葉】ちょっと偉そうにお答えしながら、「そうあるべきだ」と自分に言い聞かせている部分もあります。

【陣内】そもそも仕事があって健康に働けるって、それだけで幸せなこと。お互いそのありがたさを忘れずに生きていこうぜ!

映画『幸福のアリバイ~Picture~』
11/18(金)より全国ロードショー

原案・監督/陣内孝則、脚本/喜安浩平。「葬式」「見合い」など、人生の節目を描くヒューマンコメディー。「誕生」では柳葉演じる父親が、娘の夫と共に娘が出産した病院へ。
 
 
[陣内さんコメント]監督として、喜安くんの台本は面白いという自信があったけれど、かなりの長ゼリフなので、柳葉くんが受けてくれるかなぁと思いながらオファー。すると、休みを返上して、セリフを覚えてきてくれたので感激したね。現場でも、ギバちゃんはそこにいるだけで物語の世界が成立するので、助かりました。
[柳葉さんコメント]陣内監督から直電でオファーされるなんて、玄関先で土下座されたぐらいのインパクトでした。現場では陣内監督はやはり演者の気持ちがわかっていて、カット割りなどを僕に合わせてくれ、やりやすかったです。
(C)2016「幸福のアリバイ~Picture~」製作委員会