「Skype」や「チャットワーク」、「Slack」といったビジネスチャットツールの普及が進んでいます。また、FacebookのメッセンジャーやLINEを仕事で使う人も増えています。とはいえまだまだビジネスシーンではメールも健在。チャットツールとメールをどう使い分けているのか、働く女性に聞きました。

古くは「Skype」や「チャットワーク」、最近だと「Slack」など、ビジネスチャットツールが急速に普及してきている昨今。音声やビデオで会話ができたり、ファイルの送受信ができたりと、ビジネスに特化した機能に注目し、導入する企業も増えています。

便利な一方で、やり取りをする相手も同じツールを導入していなければならないというハードルも。ビジネスチャットツールが普及しつつある今、実際に仕事をする人たちはどのように活用し、使い分けているのでしょうか。

Case.1 社外とはメール、社内ではチャットツール

「昔ながらですが、社外の方とのやりとりはすべてメールで行います。社内のやり取りはSlackを使うことが多いですね」(27歳/IT)

2013年8月にローンチしたチームコミュニケーションアプリ「Slack」は、用途やプロジェクトごとのチャットをつくり、テキストでシンプルなやりとりができるツール。操作を直観的に行えることから人気を集め、日本でも導入する企業が増えてきています。

社内ではチャットツールを使うという人は意外に多く、次のような意見も。

「社内の人とはチャットワークを使っています。過去の履歴を一目で確認できるので、1日に何度もやり取りをする相手だと便利です」(32歳/IT)

「本当は社外ともチャットツールでやり取りしたいけれど、使っているツールが違うかもしれないので声をかけづらいということはありました」(29歳/メーカー)

会社によってチャットツールの導入度合いに差があるので、まずは社内でという判断が多いのかもしれません。

Case.2 相手の世代やリテラシーによって変える

「複雑なやりとりを、速く確実に行えるSlackは、すでに業務でなくてはならない存在です。メールでは意思決定が遅れてしまう。ところが、社内でも年配の人たちはSlackが分からないというので、彼らに対してだけは報告メールを送るようにしています。正直、面倒だし、仕事の効率も悪くなりますが、仕方ないと諦めている」(38歳/出版)

FacebookメッセンジャーやLINEに慣れていない世代には、チャットツールは難しいらしい、という意見もありました。また、「Slackは英語なので難しそう」と敬遠する年配の人たちも多いようです。

Case.3 人数とやり取りの頻度で決める

「そのミッションに関わっている人数が多いときや、やり取りの頻度が多い場合はサイボウズなどのチャットツールを使います。いちいち開封の手間が要らないので。でも最近、チャットツールを使う機会が増えすぎて、ちゃんと見てほしいメッセージはメールで送ることもあります(笑)」(36歳/化粧品)

開封の手間が要らないというのは意外に大きなポイントらしく、仕事がチャットツール中心になった結果、「最近ではメールの受信ボックスが企業からのメルマガばかりになってきた」(34歳/金融)という人もいました。

Case.4 自分用のメモはチャットツールで

「チャットワークには『マイチャット』という機能があり、ほかの人とだけでなく自分ともテキストやファイルを共有することができます。たとえばスマホで撮った写真を自分のPCで素材として使いたいときなどに便利。仕事でもプライベートでも使います」(31歳/IT)

メールで「自分に自分へ送信」している人もいるかもしれませんが、その応用編と言えそうな使い方。直感的に操作できる利点がここでも感じられます。このほか、「Slack」には「Pin機能」というものがあり、重要だと思った事項を、ボードに貼り付けるようにピン留めしておくことができます。

Case.5 早急な返事が欲しいときはSNSのDM

ビジネス用のチャットツールだけではなく、SNSのDM機能を使うという意見もありました。

「きちんと内容を確認して検討してもらいたいものや、後々エビデンスを残しておいたほうがいいものは、社内外を問わずメールで送ります。逆に、すぐに確認してほしいものはFacebookメッセンジャーで。社内外ともに、開封が早いので」(30歳/不動産関係)

プライベートと仕事を分けたい人には好まれませんが、反応が圧倒的に速いのはやはりLINEやFacebookメッセンジャー。急いでいる場合、「既読」になったかどうかが確認できるのもうれしいポイントです。

とはいえ、企業によってはこうしたツールが禁止されている場合もあるでしょう。また、次のような意見も。

「Facebookメッセンジャーは、履歴を検索できないんです。チャットワークの場合は『あの件いつ連絡したかな』と思ったら、検索窓からすぐ調べられる。社内も社外も、チャットワークでやりとりすることがほとんどですし、案件によってはわざわざ導入してもらうこともあります」(27歳/広告)

確かに、SNSはもともとビジネスに特化して作られたものではないので、不便な部分もありますよね。


メールだけではなく、チャットツールやSNSのDMを、時と場合に応じて使い分ける人が増えているようです。多くのチャットツールはオプションで有料サービスを設けていますが、使う頻度が少なければ無料のままでも充分。「これまで使ったことがない」という人も、数名で、プロジェクト単位で、試しに使ってみてはどうでしょうか。

鈴木 梢(すずき・こずえ)
1989年2月生まれ、千葉県出身。編集プロダクション「プレスラボ」編集者/ライター。ジャンルはインターネットやデジタル関連、アニメ・声優関連、そして女性のライフスタイルなどに関することが得意。丁寧な暮らしに憧れながら、毎日だいたい寝ています。