「結婚しても共働き」は当たり前になりつつありますが、女性が仕事を続けることを「子供がかわいそう」「もっと息子の面倒を見てあげて」と夫の両親が反対するケースはまだまだ多いもの。もしあなたが結婚相手の両親に「家庭に入るべき」と言われたら、何と答えますか?

不安定なこのご時世。これからの日本で生きていく上で、夫婦どちらかだけの収入1本に頼るのは、あまりにもハイリスク・ローリターンな選択といえます。それゆえ堅実なアラサー世代の男女には、「結婚後も共働き」思想がずいぶん浸透したのではないでしょうか。

一方で、私たちの親世代には未だに「女性は結婚したら家庭に入り、育児と家事に注力すべきである」といった昭和的な価値観を持つ人も多くいます。結婚後、もし夫の両親からそう言われたらどうする? 20~30代の働く女性に尋ねてみました。

Case.1 「仕事があるからいい妻、いい母でいられる」と伝える

「自分の考えを率直に伝えますね。『私の人生にとって、仕事はなくてはならないもの。仕事があるから張り合いが生まれるし、夫に対してもいい妻で、子どもに対してもいい母でいられると思う』と。下手に言い訳しても仕方がないと思うので、自分なりの考えを分かってもらうつもりです。もちろん義両親の考えを聞いたうえで、『それも一理ありますが……』と補足しつつ、ケンカにならないように話します」(35歳/既婚/IT)

いきなり自分の意見を言ってしまうとケンカになるので、まずは夫の両親の言い分を聞くことも大事です。生きてきた時代が違うのですから、考え方が違ってもそれは当たり前。「お2人の生き方を否定するつもりではありません」とはっきり伝え、その上で共働きを選ぶ意思を伝えるといいかもしれません。

Case.2 率直に「働く母に育てられたから、働くことが当たり前だと思っている」と伝える

「私自身、働く母の背中を見て育ってきましたし、自分も長く現役で働き続けたいと考えています。キャリアを手放すという選択肢は、人生にないんです。さらに、専業主婦として1日中家で家事や育児に励む生きかたは、私の性に合っていないとも思いますね。なので、もし『家庭に入りなさい』と言われることがあれば、正直にその旨を伝えます。理解してもらえないなら、価値観の溝を埋められなかったと思って(分かってもらうことを)諦めます」(33歳/独身/メーカー)

働く母のもとで育った娘には、その姿が刷り込まれるのか、「母になっても働く」といった決意を無意識のうちにしている人が多いようです。「生まれ育った環境がそうなら……」と思ってもらえることもあるかも。

Case.3 「会社がワーキングマザーに寛容で、働きやすい環境である」と伝える

「幸い、夫の両親からその手のことを言われたことはありません。おそらく今後もないでしょうが、万一言われたら『会社が働くママ社員に寛容で、融通が利きやすいんです』と答えるつもりです。実際、弊社ではママになっても働きやすい仕組みが整えられていて、ママ社員も年々増えています。親世代は、働く母親だと万一子どもが急に体調を崩したときどうするのか、子どもと過ごす時間が極端に少ないんじゃないか、といったことに不安を感じているのではないかと思います。だから、そこを払拭してあげれば、もう何も口出ししてこないと思うんですよね」(29歳/既婚/広告)

言われた側はお節介だなと感じるかもしれませんが、義両親は義両親なりに心配してくれているのも事実。「安心させてあげる」という発想は大切ですよね。

Case.4 「正社員の職を手放すべきでない理由」を理論的に伝える

「個人的には『女は結婚したら家庭に入るべき』って、古くさい考え方だと感じます。とはいえ、義両親にそう言い返すのは無理ですから、理論的に説明すると思います。一度キャリアを中断してしまうと、子育てが一段落ついたときに、正社員の待遇で復帰するのはかなり難しいこと。夫の収入だけに頼るのはあまりにも危ないこと。どんな会社でも倒産したり、経営難に陥ったりする可能性があり、リストラされる社員も出てくること……そういった根拠を丁寧に話し、納得してもらいます」(30歳/独身/翻訳事業)

夫の両親が、現代女性のキャリア事情にうとい、というケースもあるかもしれません。そういう場合はこれくらい詳しく説明してあげる必要がありそうです。ただし、ちゃんと話を聞いてもらうためには、口調は優しめに……。

Case.5「夫が望んでいる」と夫から伝える

「友人で、義母から『お仕事はお友達をつくりに行くところ。結婚後も仕事を続けるなんて』と言われた子がいます。彼女の旦那さんは家柄が良く、『嫁が働きに出るなんて考えられない』という家だったみたい。結局彼女は仕事を辞めてしまいました。私も義母から結婚前に『○○(夫)のことをちゃんと見てあげてほしいのに』と遠回しに仕事を続けることに疑問を示されたことがあります。

でも、私が仕事を続けることを、私だけでなく夫も望んでいたので、夫からハッキリそう伝えてもらいました。子どもができたらもうひと悶着ありそうな気がしていますが、夫婦で力を合わせて仕事と家庭を両立するのが私たちらしいと認めてもらえればいいなと思っています」(32歳/既婚/商社)

夫婦のことは2人の意思が大事。夫の反対があったらかなり厳しい戦いですが、賛成を得られているのであれば、彼から言ってもらうのがスムーズですね。

夫の両親との関係は、何かと気を遣うもの。できるだけいい関係を築きたいですから、「お義父さん、お義母さんの時代と今では事情が違うんです!」などとピシャリと返すのは避けたいですよね。うまく折り合いをつけられる上手な“返し”を身につけておきたいものです。

池田園子
1986年生まれ。ライター、編集者。楽天、リアルワールドを経てフリーに。IT、マーケティングなどに関する記事が多め。