出会いを結婚に結び付けるためには、プロセスの各段階でやるべきことがある! 全世界で5000万部を超えるパートナーシップ本の名著、『ベスト・パートナーになるために』を記したジョン・グレイ博士による“2人の関係の深め方”とは? 聞き手にPRESIDENT WOMAN Online連載「人生曼荼羅」でおなじみの作家・本田健さんを迎え、OK行動、NG行動を確認します。

出会いから結婚までの5つのステージ

【本田健さん(以下、本田)】前回は「理想のパートナーと出会う」にはどうしたらいいかをテーマに、いろいろと質問をさせていただきました。しかし、いざ運命の人と思えるような人に出会えたとしても、関係を進展させられないで悩んでいる人も少なくありません。今回は、相手との関係の深め方、パートナーシップの育み方について教えてもらえませんか?

【ジョン・グレイ博士(以下、グレイ)】もちろん、喜んで。「出会い」から「結婚」までには、5つのステージがあります。「第1ステージ ひかれ合う」、「第2ステージ 心が揺れる」、「第3ステージ 相手を1人に決める」、「第4ステージ 親密な関係になる」、「第5ステージ プロポーズと婚約」の5つのステージがあります。前回は、自分にふさわしいと思える人を見つけるところまで話したので、今回は第3ステージのお付き合いが始まったところからお話しましょう。

ジョン・グレイ博士。世界的な心理学者で、全世界で発行部数5000万部を超える『ベスト・パートナーになるために』の著者であり、コミュニケーション心理学の第一人者。人間の心理の本質に、最も精通した人物として知られる。表面的な感謝ではなく、人間の本質そのものに感謝できるようになる“究極の感謝”の体現者として、パートナーシップにおける最高のコミュニケーションを、世界中に伝え続けている。

【本田】ぜひお願いします。まず、第3ステージでお付き合いが始まる前と後では、何が一番違うのでしょうか?

【グレイ】一番の違いは、第3ステージに入って恋人同士になると、男女ともに油断してしまうことです。お互いを恋人として認め合ったことで、2人の関係は安定したように見えます。すると男性は、彼女はすでに自分のものになったと思い、彼女を追いかけるのをやめてしまいます。男性は、彼女から何か言ってこない限り、彼女は満足している、大丈夫だと考えるのです。

一方女性は、付き合う前からこんなに自分を愛してくれたのだから、これからはもっと自分に愛を注いでくれるに違いないと思い込みます。言わなくても自分の望みを察して与えてくれるはずだと、気付かぬうちに彼に期待してしまうのです。この先、2人に何が起きるのか、想像できるでしょう?

【本田】お互いへの好意が減ったわけではないのに、危険な感じがしますね。「付き合ってしばらくしたら相手が急に冷たくなった」という話をよく聞きますが、それはこういうちょっとした気の緩みとすれ違いからきているのですね。

女性の遠慮は期待の裏返し

【グレイ】ほとんどの男性は、女性にとって愛情を表現され続けることがどれだけ重要なことかを分かっていません。彼女が自分にひかれていたのは、自分が彼女に愛を表現し続けていたからだという事実に、全く気づいていないのです。

【本田】愛の言葉をささやき続けることは、そんなに大切なことなのですね。男性にとっては、自分から愛を発信したからこそ、愛が返ってきていたということでしょうか?

【グレイ】まさにその通りです。また一方で多くの女性は、「自分からあれこれ望んではいけない」と教えられてきました。

『ベスト・パートナーになるために』(ジョン・グレイ著、三笠書房)。「男は火星から、女は金星からやってきた」という副題の通り、男女には、まったく異なる星で生まれ育ったほどの違いがあることを前提に、どうすればお互いを理解し合えるか、をまとめた世界的なベスト&ロングセラー。心理学に基づく男女の様々な違い、この違いを乗り越えパートナーシップを築いていくコミュニケーション方法、パートナーシップが自分自身を映し出すこと、パートナーシップのサイクル、など幸せな男女関係を築くための様々な秘訣が書かれている。

【本田】少しずつ世の中は変わりつつありますが、まだ欲しいものをはっきり口にする女性を快く思わない人もいるのが現状です。特に、女性同士はそういったことに敏感な気がします。だから、女性は自分から男性に何かを求めることに遠慮して、その分、相手に期待してしまうのですね。

【グレイ】男性は、女性がお願いすることに対して感じるハードルを理解することです。いつでも自分が彼女の助けになる存在だと伝え、実践し続けることが大切です。

【本田】これは、第3ステージだけでなく、結婚している男性にも当てはまりますね。私も冷や汗が出そうです。仕事で接する人も半数は女性なので、プライベートや職場でも、女性の無言の期待を察することができるように意識したいと思います。

【グレイ】ぜひそうしてください。それが出来れば、お互いがよき理解者、応援者となれるでしょう。

女性に知ってもらいたいのは、自分の望みを素直に表現して助けを求めた方が魅力的で、男性はその女性を追いかけたくなる、ということです。自分でやりたくなる気持ちを抑えて、もっと彼に動いてもらうのです。そして、実際に彼が与えてくれたときは、最大限の愛情と感謝を示すことが大切です。すると、男性は自分が彼女を幸せにしたのだとうれしくなります。

【本田】女性はそうすることで、男性に与える喜びを教えることができるのですね! でもこのことを知らない女性は、自分の悩みや問題を1人で解決しようとして、自分を助けてくれない男性にイライラしてしまいます。そして、男性はいわれのない責めを受けていると感じて、次第に関係が悪くなります。

【グレイ】そうです。パートナーシップに限らず、このことを知っているかどうかで、2人の運命は全く違うものになるのです。

「親密な関係」に進むタイミングの見極め方

【本田】他にも、知っておいた方がいいことはありますか?

【グレイ】この相手を1人に決める段階では、ポジティブな姿勢で相手に自分の気持ちを伝えたり、お願いしたりすることが大切です。女性同士では、愚痴やイライラなど感情について話すことが普通です。でも、多くの男性はこれに耐えられません。男性が女性に与えないときは、何をしたらいいか分からないときです。彼を信じてお願いし、実際に自分の希望をかなえてもらう体験を何度も積み重ねるといいでしょう。

【本田】それぞれのステージで、大切なこと、避けた方がいいことが異なるのですね。では、次の「第4ステージ 親密な関係になる」に進むタイミングは、どう見極めたらいいでしょうか?

【グレイ】とてもいい質問です。多くの男性は、ここまでずっと肉体的な面で我慢していますし、女性も、精神的な面でも肉体的な面でも、彼をいつ、どこまで受け入れたらいいか迷っています。タイミングを見極めるには、第3ステージでしっかりとお互いの望みを満たすことです。人は自分が十分に満たされているとき、相性や相手への愛情の深さを自覚できます。そうすれば、自分をどこまでさらけ出していいのか判断することができます。

【本田】お互いが、もっと愛を深め親密な関係になりたいと思ったときが、そのタイミングなのですね。親密さをどう増すかについて、もう少し具体的に伺えますか?

【グレイ】自分を良く見せるのをやめて、ありのままの自分を少しずつ見せていくことです。女性は、ネガティブな気持ちも表現するといいでしょう。それでも、彼の彼女に対する愛情が失われなければ、肉体的にも彼を受け入れていいと思えます。また男性も、彼女と肉体的な関係を持つことでようやく緊張が解け、本心をさらけ出せるようになります。

【本田】なるほど。ここでようやく、お互いに自分をさらけ出せるのですね。

男性を自由にすることが良い関係の秘訣

【本田】関係が深まったからこその注意点はありますか?

【グレイ】女性がネガティブな気持ちも表現してくれる分、男性の心も落ち着かなくなります。ここで男性に知っておいてほしいことは、女性の心は波のようなものだ、ということです。そして彼女の気持ちを軽々しく扱ったり、問題を解決しようとしたりする代わりに、理解、共感、思いやりを示すことが大切です。

【本田】女性が落ち込んでいると、つい何とかしなければいけない衝動に駆られますが、男性が変にその責任を背負う必要はないのですね。男性としては、それが分かるだけで心に余裕が生まれ、もっと女性の気持ちに寄り添える気がします。では、女性が知っておくといい注意点はありますか?

【グレイ】この時期の男性は、より親しくなりたい気持ちと、1人で息抜きしたい気持ち、相反する2つの気持ちを持ちます。このとき、女性は彼の行動を過度に制限しないことが大切です。さもないと、彼は信頼されていないと思い、反発してしまうでしょう。

【本田】たしかに、束縛されると自由を求めて離れたくなりますが、自由にしていいと言われると、その衝動はぐっと減りますね。

【グレイ】男性は、自分が受け入れられていないと感じると、より身勝手な振る舞いをしたくなりますが、実際に彼女から離れたいと思っているわけではありません。また男性はゴムバンドのようなもので、離れては戻るものだと知っておくことです。男性は、一時的に彼女から遠ざかることで、再び彼女を追い求め、喜ばせたいという欲求を取り戻します。彼を自由にさせてあげることが、お互いのためになるのです。

【本田】パートナーシップの話は、面白くてためになりますね。本当はもっと聞かせてほしいところですが、あっという間に終わりの時間になってしまいました。今回も素晴らしいお話をありがとうございました。

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本田健(ほんだ・けん)
作家。神戸生まれ。経営コンサルタント、投資家を経て、29歳で育児セミリタイヤ生活に入る。4年の育児生活中に作家になるビジョンを得て、執筆活動をスタートする。「お金と幸せ」をテーマにした1000人規模の講演会、セミナーを全国で開催。インターネットラジオ「本田健の人生相談~Dear Ken~」は2200万ダウンロードを記録。代表作『ユダヤ人大富豪の教え』(大和書房刊)など、これまでに著書は110冊以上、累計発行部数は680万部を突破。【本田 健 公式サイト】http://www.aiueoffice.com/