文法に自信のない日本人は、「中学からのやり直し英文法」のような解説書を買いがち。でもその選び方、実は落とし穴が……!? 英会話研修、TOEIC教材開発に携わる菊間ひろみさんに、「英語」の本を選ぶときの注意点とともに、力を確実に上げるおすすめ本を初級・中級・上級と分けて教えてもらいました。
英語の力を確実に上げる
-ネイティブの著者が書いた本がおすすめ
書店には英語の本があふれています。まずは、「自分は何のために英語を学ぶのか」をはっきりさせましょう。そうすれば教材が選びやすくなります。
英語学習の基本は多読・音読。英語は聴くだけでなく音読しましょう。聞き逃したときのために、必ずスクリプトがある教材を使用してください。
日本人の多くは文法に自信がないので、「中学からのやり直し英文法」のような解説書を買いがちですが、これは要注意。実はこのような本には「My hobby is playing tennis」のような、ネイティブは絶対に使わない、日本語直訳の不自然な英文が多いからです。できればここに挙げたようなネイティブの著者が書いた本で、自然な言い回しを覚えるようにしてください。
またTOEICなどを受けるのが目的でなければ、試験対策本や単語集などは英語力向上にあまり役立ちません。それよりダイアログ(対話)のひな型を覚えたほうが話せるようになる近道。英語には英語の会話の流れがありますから、一文だけを覚えても、いざとなるとなかなか出てきません。ある程度の分量の会話が載っている本がいいでしょう。スピーキング、リーディング、文法……バランスよくおすすめをご紹介します。
英語【初級編】
-中学の復習と苦手意識の解消
『マーフィーのケンブリッジ英文法 初級編』Raymond Murphy(Cambridge)
文法を基礎から学びたいならこれ。中学3年までの文法の復習ができる。著者がネイティブなので不自然な英文がゼロ。日本で出版されている参考書と違い、説明はシンプルだが、イラストで直感的に理解できる。
『英会話 ペラペラビジネス100』スティーブ・ソレイシィ、ロビン・ソレイシィ(アルク)
ビジネスでよく使うキーセンテンスを会話の中で紹介しているので、使う場面を理解しながら覚えられる。日本人学習者が間違えやすい表現や文法の解説部分が大変役立つ。「瞬間英作文」の練習教材としても使える。CD付。
『Signposts For Balance in Love And Work』ヴィッキー・ベネット、イアン・マシスン(IBCパブリッシング)
単語の意味が巻末に載っているので、いちいち辞書を引かずに読み進められる。1冊で1つのストーリーではなく、項目別の短い文章から構成されているので読みやすい。とにかく大量の文章を読む「多読」にぴったり。
英語【中級編】
-高度な文法を学びつつ洋書にもチャレンジ!
『マーフィーのケンブリッジ英文法 中級編』Raymond Murphy(Cambridge)
高校で習った文法の復習ができる。初級編よりさらに高度な文法をきちんと学びたいという人におすすめ。willとbe going toの違い、仮定法、難易度の高い関係代名詞などの正確な使い方を豊富な例文と共に学べる。
『英会話1000本ノック ビジネス編』スティーブ・ソレイシィ(コスモピア)
ビジネスの場で頻繁に使われる典型的なやりとりを実際に口に出して練習することで瞬発力を鍛える。電話応対やスケジューリング、プレゼンで使う基本的な表現が身につけられる。TOEICのPart2の練習にも最適。
『Even Happier』Tal Ben-Shahar,Ph.D(Mc Graw Hill)
洋書だが、『ハーバードの人生を変える授業』(大和書房)というタイトルで日本語訳も出ている。幸せになるための52の方法について各1、2ページでまとめてあり読みやすい。英語を学びながら自己啓発できる。
英語【上級編】
-時事問題やニュースについて話せるようになる
『NHKラジオテキスト 実践ビジネス英語』講師:杉田 敏(NHK出版)
グローバル企業を舞台にしたダイアログで、現代の国際ビジネス環境を反映するテーマを中心に、さまざまなトピックに対応できる生きた英語力を養う。NHKのサイトでは登録すれば前の週の放送を無料で聞けて便利。
『How to Win Friends & Influence People』Dale Carnegie(Pocket Books)
『人を動かす』(創元社)というタイトルで日本でもロングセラーになった本の原書。プライベート、ビジネスどちらにも応用できる対人関係の基本を具体的に説く。英文自体はそれほど難しくなく、会話表現も豊富。
『Communicating in Business English』Bob Dignen(Compass Publishing)
電話、プレゼン、会議、社交、交渉、ビジネスライティングという6つの場面に必要な英語の表現がまとめて紹介されている。練習問題で理解度の確認もできる。英語を使うビジネスパーソンの、困ったときのお助け本。
大手企業や大学でのTOEIC対策および英会話研修、TOEIC教材開発に携わる。著書に『英語を学ぶのは40歳からがいい』(幻冬舎新書)などがある。