家での時間は子ども中心で、バタバタしている間に1日が終わってしまうという相談者の山田さん。家での時間をうまくコントロールするにはどうしたらいいのでしょうか?『折れない心をつくるシンプルな習慣』の著者である渡部卓さんが、解決策をアドバイスします。
家での時間は子ども中心! バタバタしている間に一日が終わります……
【山田】仕事はテンポよくできるのに、家では子どものペース。「あれして、これして!」って言ってる間に疲れ切って、夜は気づくとぼーっとしてます。
【渡部】家での時間を思うようにコントロールできないのがストレス?
【山田】まさにそうなんです。勉強もしたいのに、あまりできていないし……。
【渡部】全部を完璧には難しいので、重要なこと、緊急なこと、緊急ではないけれど大切なこと、と優先順位をつけて点検してみるといいですね。
【山田】確かに、手帳のTO DOリストを見ると、ささいなことまでびっしり。
【渡部】几帳面な人ほど、「やらなきゃ」という思い込みに縛られがち。それを解消するには、自分の主観、気持ちを記録すること。疲労度、気分などを10点満点で採点するのもいい。「できた」「できなかった」だけではなく、満足感や自分の理想という尺度からも見てみると、「そんなに自分を責めることはない」と思えるはず。受け止め方が変わると、時間を自分でコントロールしている感覚が持てると思います。
Before:山田さんのある1日
5:50 起床(着がえて、前の日の洗い物を片づけて、お弁当作って、ラジオ体操して、朝ごはん作って、子どもたちに身支度させて、持ち物確認して、主人を起こす……!)
7:15 朝食
8:00 出勤
8:50 会社到着
18:00 退勤
19:00 帰宅
19:15 夕食(洗濯物を片づけて、子どもたちの宿題をみて、いっしょに次の日の持ち物を準備して、学校や幼稚園から持ち帰ったプリントに目を通して、子どもたちの歯の仕上げ磨きして、絵本を読み聞かせして、もうこのへんでヘトヘトです~)
渡部先生の診断:優先順位混乱症候群
【症状】
・通信制大学の勉強が進まない!
・毎日のやるべきことがこなせず罪悪感
・子どもをバタバタ追い立てちゃう!
【診断】
やりたいことに優先順位をつけ、夫婦でときどき共有して。勉強時間の確保にも夫の理解は必須! 時間に追われていると感じたときは、音楽を聴いたり、呼吸を意識すると◎。
先生の教えをもとにいよいよ実践!
【10月8日】手帳の書き方を見直しました
今までは「決まった予定」と「やるべきこと」を手帳に書いていたけれど、本当に必要なこと以外は書くのをやめる。ささいなことまでリスト化して、かえって自分を追いつめていたことを実感。反対に、急ぎではなくても自分にとって大事なことは、実行したい目安の期限とともに書き込むことに。
【10月9日】深呼吸で落ち着いたらバタバタ感が軽減
焦っているときほど、息をつめていたみたい。忙しいときこそ息を吐くことを意識するように心がける。焦っていても落ち着いていても、実際にかかる時間には大差なし。ゆっくり呼吸しながら行動したほうが、「まだ余裕がある」と前向きになれることを発見!
【10月12日】優先順位をもとにゆるく予定を立てる
以前は21時から22時まで勉強、というようにカッチリ決めていたため、その通りに進まずストレスに……。柔軟に予定を組んだら、気持ちもラクに。通勤時間も活用して、1時間ほどを勉強に当てることができるように。
【10月15日】買い物に時間をかけすぎ?
慎重派で、買い物にも時間がかかる私。「悩む時間がもったいない」と先生に相談してみたところ、買い物でも「緊急度、重要度」を考える習慣をつけること、店を出る時間を決めること、また「決められなくてもOK」と、肯定的に自己評価することをアドバイスしてもらう。熟考することで不要なものを購入しないメリットもある、というご指摘は新鮮!
【10月18日】充実した気持ちで眠りにつける
「やり残しがいっぱい」と反省しながらベッドに入っていたのが、夕活チャレンジを始めてポジティブに転換! 焦りがなくなり、子どもたちともゆったり向き合えるようになってきた。
After:山田さんの1日のスケジュールを見直したら……
●大学の勉強がはかどる
5:50 起床(モーツァルトのアップテンポの楽曲をかけながら、準備!)
7:15 朝食
8:00 出勤(通勤中の車内で読書&参考書で勉強)
8:50 会社到着
19:00 帰宅、夕食
19:30 子どもとの時間
19:45 子どもたちの宿題を見る
21:00 子どもたち就寝、夕活スタート!(大学の勉強、夫とDVD観賞など)
23:00 入浴、ストレッチ、就寝
渡部先生から一言
几帳面で内省的な人ほど、自己評価が低い傾向が。自分の頑張りを認めることも、人生を豊かにするためには大切です。夕活を習慣化して、仕事と家庭と自分の人生をより充実させていって。
帝京平成大学現代ライフ学部教授。ライフバランスマネジメント研究所代表。産業カウンセラー、心理相談員。『折れない心をつくるシンプルな習慣』など著書多数。