キャリア女性をサポートする人材紹介会社Waris代表の田中美和さん。かつては「日経ウーマン」編集部に所属し、多くのキャリア女性に接してきた。働く女性をサポートする現在の会社を起業することになったのは、2人の女性との出会いだった。

株式会社Waris 代表取締役 田中美和さん

女性の職場環境をもっと良好にしたい

「女性は年齢とともにライフステージの変換が求められる。そんな女性たちをサポートしたい気持ちは、今も昔も変わりません」

そう語るのは、キャリア女性をサポートする人材紹介会社Waris(ワリス)代表の田中美和さん。かつて所属していた「日経ウーマン」編集部で、接してきたキャリア女性は延べ3万人。多くの女性が働く環境や時間に悩まされ、志半ばにリタイアするケースをたくさん見てきた。

女性の職場環境をもっと良好にしたい……。そんな情熱を抱いて雑誌づくりにまい進していたものの、間接的なサポートしかできないことにモヤモヤ。そこで2009年に米国認定のキャリアカウンセラーの資格を取得。会社を退職し、執筆業のかたわら、個別カウンセリング業務を開始。この時点では、起業する気持ちはなかった。

ある日、とある企業の社長が「話が合うと思うから」と、一人の女性を紹介してくれた。それが米倉史夏さん。仕事の話をするうちに意気投合。やがて河京子さんも加わり、3人で頻繁に会合を重ねるのが日課に。

「机上の空論を語るのはとても楽しかったのですが、実際の行動に移さなければ意味がない」と考え、結婚や出産、育児などで働く時間や場所に制約のあるハイスキルを持つ女性たち向けの人材紹介会社を起業。勤務時間や場所に縛られにくいため、登録者はキャリアストップすることなく、生活に合った働き方をすることが可能に。

そして現在、米倉さんは育休中。これは3人オーナー体制だからできることなのかと問うと、「それもありますが、起業当初からリモートワークで業務を行っているため、多少のことはフレキシブルに対応できるんです」。

キャリア女性の環境を把握するためには、社内環境がモデルケースになることが必要と語る田中さん。今後はリモートワークによる人材紹介に力を注ぐことで、より一層の事業拡張が期待できそうだ。

■会社情報

【社名】株式会社Waris
【資本金】646万円(資本提携あり)
【従業員数】16人

■田中さんの経歴

(22歳)大学卒業/日経ホーム出版(現・日経BP)入社、「日経ウーマン」編集部に所属
(33歳)同社退職。フリーランスのライター、キャリアカウンセラーとして活動
(34歳)米倉史夏さん、河京子さんとともに株式会社Waris設立
(36歳)DBJ女性新ビジネスプランコンペティションで優秀賞を獲得

■田中さんに6つの質問

1.起業に際し、苦労したことは?
人材を受け入れる企業獲得。人脈に救われました

2.起業して幸せを感じることは?
登録した女性と企業の条件がマッチングしたとき

3.起業して自分自身が変わったことは?
自分の世界が一層広がりました

4.起業にもっとも重要なことは?
人脈。これに尽きます

5.今後の展望は?
時間や場所にとらわれない働き方の推進

6.座右の銘は?
思い立ったら即行動