ちょっと変わった不動産を扱うレンタルIT会社を経営する西浦明子さん。 個人輸入業を始めようとしたことがきっかけで、現在のビジネスを思いついた。「これは絶対にイケる!」と感じたという、新しい発想の事業とは?
個人輸入業から、究極の“すきま産業”へシフト
「このビジネスを思いついたとき、ほかにライバル社が見当たらなかったんです。『これはチャンスかも』。そう思ったら、いてもたってもいられなくなりました」
そう語るのは、軒先株式会社の代表取締役を務める西浦明子さん。ちょっと変わった不動産を扱うITサービス業で、例えば休日の美容室の前やマンションのエントランスなどのレンタルを仲介する、究極のすき間産業。西浦さんがこのビジネスを思いついたのは、個人輸入業を始めようとしたことから。
そもそも個人事業を行うきっかけとなったのは、ソニー時代に6年間赴任した、チリでの海外勤務。チリとのネットワークを活かし、当初は現地の雑貨を買い付けして、ネットショップを開く予定だった。本格的に始める前にマーケティングショップでテスト販売をしてみようと、いざ物件を探してみると、短期で借りられる店舗がない。都内にある数少ないウィークリーショップは小さい坪数でも家賃がかなり高い。「個人が試しに販売するのに店舗の家賃が高すぎ。ちょっとしたスペースに置かせてもらえれば……この発想がヒントになりました」
大きなスペースは維持費がかかるため、個人事業で店舗を持つのは至難の業。そんな人たちには、デッドスペースの一角でも十分。「軒先」があれば立派な店が開ける。ほかにはない新しい発想の事業に、「これは絶対にイケる!」と思ったという。
不動産業を営むご主人の力を借りて、2008年に軒先.comのサイトをオープン。最初にレンタルされたのは、横浜駅近くにあるオフィス内のエントランス。ここから徐々に取り扱い物件を拡張させ、いまではパーキング事業もスタートさせている。
「前例のない事業なので、起業当初は説明が大変でした。それでも、顧客獲得はネットが大いに役立ちましたね」
時代の波をうまく乗りこなし、先見の明を持つ西浦さんならではの発想力が、この会社には凝縮されている。
■会社情報
【社名】軒先株式会社
【資本金】7305万円(資本提携あり)
【従業員数】7人
■西浦さんの経歴
(22歳)大学卒業/ソニーに入社
(25歳)海外駐在員としてチリに赴任
(31歳)ソニーを退職して帰国/オールアバウトに入社
(36歳)ソニー・コンピュータエンタテインメントに入社/PSPやPS2の商品企画を行うも、激務のため転職。その後、結婚を機に退職
(37歳)出産後に個人輸入業を開始。その後、方向転換をして軒先.comを起業
■西浦さんに6つの質問
1.起業に際し、苦労したことは?
賃貸オーナーとの契約。説明するのが大変でした
2.起業して幸せを感じることは?
スペースを貸す方、借りる方双方に喜んでいただける
3.起業して自分自身が変わったことは?
日曜の夜がつらくなくなった
4.起業にもっとも重要なことは?
「思考」より「試行」
5.今後の展望は?
パーキング業の拡張
6.座右の銘は?
日常を非日常に生きる