一言で「主夫」といっても、家事の分担度はさまざま。兼業主夫2人と専業主夫1人の24時間に迫りました。キャリアを築きながらプライベートも充実させる、時代の先取り夫婦の知恵がつまっています。

日光理紗さん&信明さんご夫妻(結婚5年目)
【仕事】夫:商社勤務 妻:商社勤務【家族構成】夫、妻、おなかにベビー【家事分担率】5:5

一緒に家事に取り組むことが、2人の時間をつくるきっかけにもなっている。

互いの仕事を尊重し、家のことは2人で一緒にやっていく

「一緒にやります」。家事分担についてたずねると、日光さん夫婦はごく自然に、いく度となくこう口にした。

結婚して4年、もうじき第1子が誕生する。同じ職場で出会った2人だが、夫の信明さんは結婚当初から、家事には「当たり前のこと」として関わってきた。「独身時代は一人暮らしをしていたので、自分のことはやっていましたし、2人になっても変わりません。料理はできないので妻にやってもらいますが、それ以外の掃除や洗濯は2人で一緒にやります。掃除のなかでも、トイレやお風呂は自分がやりますね」

(左)「お願い」のタイミングも上手な理紗さん。「彼の様子をよく見て、疲れているときは頼みません」(右)掃除の仕方を理紗さんに注意されても、素直に納得するという信明さん。「相性がいいのかも(笑)」と意見が一致。

現在は産休中の妻・理紗さんだが、共働きのころから、先に帰宅することの多い理紗さんが夕食を準備し、食器や調理器具などの後片付けは、信明さんが食事を済ませたあとですべて行っている。それも“努力している感”はまったくなく「料理を作ってもらっているし、2人で食べていますから」とごく自然。「家事が嫌なものだという意識はないです。よく『家事やってるの? 偉いね』って言われるんですけど、やるのが普通だと思うんです」

「付き合っていたころから、わりと何でもできていた」と振り返る理紗さん。

「私も料理はそんなに得意ではないのですが、彼が何でもできるので、もう料理しかない(笑)」と苦笑い。

分担ではなく、2人で一緒にやる

何でも「気づいたほうがやる」スタイルが無理なくできている理紗さんと信明さんにとって、家事を分担しているという感覚は特にないという。掃除、洗濯も気づいたほうが気づいたときに行う。1年前に現在のマンションに移ってからは、特に新居をきれいに保つ気持ちよさも加わり、より丁寧に掃除機をかけるようになったとか。

「コードレスの掃除機にしてから、すごく楽」(理紗さん)

「家事がおっくうな人は、家電をちょっと変えてみるといいかも」(信明さん)

こうした家電や家事の便利グッズも2人で買いに行くのが日光夫妻流。

信明さんは大のコーヒー好き。愛用のコーヒーメーカーでいれるのは信明さんの役目。

「双方が使う可能性があるので、お互いに確認して決めます」(理紗さん)

洗濯も、気づいたほうがボタンを押し、干すのも「2人一緒に」が多い。

「私が何かやろうとすると、いつも『一緒にしたほうが早いから』と手伝ってくれる。そうするとまた空いた時間ができて、お互いやりたいことをやったり、一緒に出かけたり、会話をするきっかけにもなるんです」(理紗さん)

「2人で生活しているから、一緒に家事をやるのは当然。『何時からお茶にしよう』と決めて、それまでの時間に家事を片付けてしまおう! と頑張ったり……」(信明さん)

「管理職も視野にキャリアアップを目指したい」という理紗さんは、保育園に子どもを入れることができれば、来年2017年4月からフルタイムの仕事復帰を希望している。互いの仕事やキャリアを尊重し、家庭のことは2人で分担する日光さん夫婦。だが現在の日本社会を見渡せば、信明さんのように家事に取り組む男性はまだ少数派だ。無理なく家事を共有する秘訣(ひけつ)をうかがうと、「家事は5対5でやるとか、あまり決めきることなく、一緒にやってみるところから始めるのがいいのでは」と理紗さん。

「押しつけないほうがいいのかも。一人暮らしを経験した人だと、それぞれのやり方もありますから。暮らし始めたときから、まず一緒にやっていくのがいい」(信明さん)

「そのうち『この人はコレができる』とわかってきたら、そこへ寄せていって、やってもらうよう促すのも方法かもしれません」(理紗さん)

▼主夫・信明さんの24時間

7:15 起床、身支度
8:00 家を出る
8:45 出社
20:00 終業
21:30 帰宅、夕飯、コーヒータイム
22:30 食後の洗い物
23:00 風呂掃除/入浴
24:00 就寝