ある本を手にして1週間、私の家の冷蔵庫事情が急に変わった。さらに言うならもう一つ、私の食生活の大きな問題点「野菜不足」も。

野菜不足のエブリデイ

『365日のめざましスープ』(SBパブリッシング)

仕事大好き、遊ぶに行くのはもっと好き、な私。あちこち飛び回っているので、どうしても家にいる時間が短く、自然と外食が多くなってしまう。そうすると気になるのは野菜不足だ。

私だって、このままでいいと思っていたわけではない。スーパーでは野菜も買うし、たまに実家に帰れば心配した親が土産に野菜を持たせてくれる(親とは本当にありがたいものです……)。しかし、家にいる短い時間で料理をしようとすると、どうしても使う食材がキャベツやホウレンソウといった食べやすい葉物野菜に偏ってしまい、冷蔵庫の野菜ボックスで一部の野菜が眠ったままになってしまうのだ。ニンジン、ジャガイモ、ゴボウ、玉ネギ、サツマイモ。食べる前にシナシナにしてしまった野菜に、これまで何回心の中で謝ってきたことか。

そんな私のダメダメな冷蔵庫事情&食生活が、ある本を手にして1週間でがらりと変わった。最近、我が家の野菜ボックスの中は大抵、空っぽかそれに近い状態である。なので、早く帰れる日はなんとかスーパーに寄って、早く野菜を買いに行きたい。野菜ボックスが空になったのは、もちろん私のお腹に入ったからだ。つまりこの1週間、私は野菜を食べる量が格段に増え、野菜不足を感じない日々を送っている……!

毎朝毎朝、1500日スープを作り続けた著者の本

その「ある本」とは、『365日のめざましスープ』。著者の有賀薫さんは、毎朝毎朝、実に1500日もスープを作り続けたという優しいお母さんである。それも家族のため、それも寝坊がちな息子さんのためのためだという(なんてうらやましい息子さん……!)。もともと有賀さんは食べ物写真中心のSNS「miil」の人気ユーザーで、毎日おいしそうなスープ写真をmiilや「note」にアップしていた。私は有賀さんのスープ写真が好きでよくmiilを眺めていたのだが、そのときは「自分でもスープを作ろう」と思ったことはなかった。

有賀薫さんはmiilで毎日コツコツとスープ写真を上げ続けた人気ユーザーだった

その有賀さんが本を出したというので、素敵なスープ写真を楽しみに、あくまで“読み物”のつもりで『365日のめざましスープ』のページを開いた。どのページにもスープ写真とレシピがたっぷり。たまにスープに関連する読み物が挟み込まれるが、どのページもスープ、スープ、スープ……140ページちょっととそんなに厚くない本なのに、レシピ数は実に120以上。いろいろなスープが出てくるので、誰でも必ず「これおいしそうだな」というものに出会えるはずだ。缶詰やおつまみなど面白い材料を使うスープや、甘くてデザート代わりになるスープなど変わったものも出てくるが、多くのスープは野菜が中心。

本の中のイラストや見出し文字も、すべて有賀さんが描いている。

“読み物”のつもりが、自分でも作ってみたくなり……

しかも大多数のレシピは非常に簡単で、15分もあればできるものがほとんど。読んでいるうちに冷蔵庫の中にある野菜を頭に思い浮かべ、おいしそうな写真に釣られて思わずスープを作りたくなってしまった。私がこの本を見て1週間ちょっとで作ったスープは以下の通りだ(カッコ内は、手持ちの材料の都合でアレンジした内容)。

・トマトスープ
・フライパンミネストローネ
・れんこんのごま味噌汁(れんこんの代わりに大根)
・ほうれんそうとじゃがいものスープ
・なすのみじん切りスープ
・蒸したまごのスープ
・茶ぶしの塩バージョン(梅干しと松山揚げを追加)
・じゃがいもの粕汁(酒粕抜き)
・餃子スープ
・さば缶とトマトのカレースープ
・にんじんと白ごまの味噌汁
・ささがきにんじんのスープ

どれも簡単なので、材料と、フタができる鍋さえ用意すれば誰でも作れるはず。冷蔵庫の中にあるものでできて、しかも15分以内で作れる簡単レシピしか試さなかったが、改めて本を見て数えてみたら、思ったより多くて12種類作っていた。

朝でも昼でも夜でもおやつでも

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有賀さんの「note」には、毎日のスープ写真に加え、毎回テーマを決めてスープを作るイベント「スープラボ」の写真も載っており、まさにスープづくし。

作ったスープを食べる時間は、朝だったり、おやつだったり、夜食だったり。実はmiilで有賀さんの写真を見ていたときは「スープって、いつ作って食べればいいものなんだろう?」とちょっと疑問に思っていた。だって、朝はパンに合いそうだけどゆっくり料理をしている時間はないし、夜はごはんに合わせるならばスープより味噌汁だろうし……と。

しかし実際に自分で作ってみると、一日中いつでもいいものだと知ったのが意外だった。簡単なレシピなら平日の朝でも朝食用に作れるし(何なら多めに作り、スープジャーに入れてお弁当にしてもいい)、ボリュームのあるスープなら夕飯のメインディッシュになる。おやつや夜食の代わりに簡単なスープを作るのも、おいしいし体が温まっていいものだ。

野菜不足が解消され、冷蔵庫の野菜ボックスで野菜が無駄にしなびることもなくなった1週間。もうしばらく、『365日のめざましスープ』を見ながら野菜スープ生活を続けていこうと思う。もし、約120種類のレシピをすべて作り尽くしたとしても大丈夫。なぜならこの本のとても良いポイントは、単にレシピを紹介するだけでなく、アレンジの仕方や、スープの組み立て方、考え方を教えてくれるところだから。

『365日のめざましスープ』有賀薫(SBパブリッシング)

朝をかえよう、朝ごはんでかわろう!
1500日、休まず作り続けてわかった、嬉しいアイデア満載


本書では、家族を起こすために朝のスープを作りはじめ4年以上毎朝作り続けてしまったという著者が、朝が来るのが楽しみになる、等身大のアイデアをめいっぱい、お伝えします。レシピも1500点から特におすすめをものをえりすぐって、120以上ご紹介。あるもので応用をきかせるヒントもちりばめているので、レパートリーはさらに増えるでしょう。
平日は簡単に、休日は本格的に。そんなスープ生活をはじめてみませんか?