「贅沢しているつもりはないのに」――でもなぜか、預金残高は横ばいのまま。おかしいですね? 「使わなければお金は自然と貯まるもの。客観的に出費傾向を見るといい」と言うのは、ファイナンシャルプランナー・八ツ井慶子さん。具体的な方法はあるのでしょうか?

贅沢してないのに、お金が貯まらないのはどうして?

「毎月、気がつくと、なぜかお金が貯まっていきません。どこを削ったらいいでしょうか?」家計相談を受けていると、こういった声をよく耳にします。

そういう方の家計簿を拝見して思うのは、「お金の法則通り」ということです。そう、お金は使えばなくなるし、使わなければちゃんと貯まります。

冒頭のセリフは、こういうことだったのです、「贅沢(ぜいたく)しているつもりのないところで、お金を使ってしまっています」と。

思えば、月にいくら以上使ったら贅沢ですよ、という明確な定義はありません。個々人が自由に贅沢を定義して、イメージしています。

あなたの思い浮かべる「贅沢像」ほどではないにしても、あなたの収入から見たら「贅沢」をしているから、貯まらなかった、と解釈すればつじつまが合いますね。

少々手厳しいようですが、それを認めてしまいましょう。いまの自分を受け入れましょう。こういう方は、お金の使い方にメリハリがありません。淡々とお金を使っている状態なのです。

支出の3分類法で分かる、あなたの出費傾向

これまでの支出を「必要」「便利」「楽」に分けてみてください。きっと新たな気づきがあるはずです。

何も考えず「必要」と思って買っていたものが、実は「便利」や「楽」だとしたら、そこに気づかなかった贅沢が潜んでいます。

時に、「楽」は「快楽」であることもあります。平たく言うと、遊びに使うお金です。「必要」「便利」「(快)楽」で、分けてみるといいでしょう。

今までの経験上、こういう人は「便利」「(快)楽」のウエートが高いのですが、問題は自分で区別できるかどうかです。できるだけ客観的に見ることを意識して、実際にお金を支払っている自分の姿を遠くから見ている感じで思い出してみると、少し冷静に考えられると思います。

付け加えておくと、贅沢しているつもりもなくお金を使っているというのは、どこかお金を大事にしていない表れでもあります。ですから、せっかくあなたの財布に入ってきてくれたお金に対して、歓迎して、大事に扱うことも同時に意識してほしいと思います。

“ときめき買い”のスキルを磨いて、贅沢を贅沢と思える支出として、お金を使いましょう。

※本連載は書籍『レシート○×チェックでズボラなあなたのお金が貯まりだす』(八ツ井慶子著、プレジデント社刊)からの抜粋です。

八ツ井慶子(やつい・けいこ)
個人向けの相談に積極的に取り組み、リピーターも数多く抱えるファイナンシャルプランナー。一方で全国を飛び回って講演活動も行い、テレビや雑誌などの取材依頼も引きを切らない。「NHKスペシャル」「ズームイン!!SUPER」「ワールドビジネスサテライト」などに出演したほか、「プレジデント」「日経WOMAN」「CREA」などにもたびたび登場されている。2013年に「生活マネー相談室」を設立。著書に、『レシート○×チェックでズボラなあなたのお金が貯まりだす』(プレジデント社)などがある。