お金ってどのように貯蓄にまわせばよいのでしょう。収入の割合? それとも定額!? 貯蓄法には定石となる「決まり手」がありました。ファイナンシャルプランナー・八ツ井慶子さんが、お金の貯め方のヒントを教えます。

比率管理には落とし穴がある!

貯蓄を収入に対する割合(比率)で管理する。この考え方は、正しいのでしょうか。収入が増えればその分貯蓄も増えるので、何となくいいのではと思われるかもしれません。

でも答えはNOです。お勧めしません。

お金は、使うか、貯めるかしかありません。ということは、貯めるほうを比率管理してしまえば、やはりそれに応じて使うほうも左右されてしまいます。

ちょっと計算してみましょう。月収20万円のとき、貯蓄割合が20%というと4万円です。このとき支出は16万円。

月収が25万円になったとすると、貯蓄は5万円。貯蓄が1万円増えるとはいえ、同時に支出は4万円も増える計算です。

比率管理は、なんだかんだお金に合わせた生活になってしまいます。本来は逆です。あなたの生活に合わせてお金を使うのです。比率管理だと、

収入×比率=使うお金

ですから、「使うお金」は常に「収入」の額に左右されてしまいます。ここがそもそもよくないのです。

手取り減になっても「困らない」お金の管理

収入以上にはお金は使えませんから、収入を知ることは大事です。だからといって、その額によって何を買うかまで左右されてしまうのはNGです。

それではお金に振り回された生活になってしまい、手取り収入が減ってしまったとき、すぐにストレスフルになってしまうことでしょう。

収入が増えたら、比率も変えればいいのではないか、と思うでしょうか。だとしたら、そもそも比率の意味は何でしょうか。はじめから金額で把握できれば、収入が増えても何も変える必要はありません。

比率管理は、そろそろ卒業しましょう。

※本連載は書籍『レシート○×チェックでズボラなあなたのお金が貯まりだす』(八ツ井慶子著、プレジデント社刊)からの抜粋です。

八ツ井慶子(やつい・けいこ)
個人向けの相談に積極的に取り組み、リピーターも数多く抱えるファイナンシャルプランナー。一方で全国を飛び回って講演活動も行い、テレビや雑誌などの取材依頼も引きを切らない。「NHKスペシャル」「ズームイン!!SUPER」「ワールドビジネスサテライト」などに出演したほか、「プレジデント」「日経WOMAN」「CREA」などにもたびたび登場されている。2013年に「生活マネー相談室」を設立。著書に、『レシート○×チェックでズボラなあなたのお金が貯まりだす』(プレジデント社)などがある。