仕事、家庭生活、お金、親子関係……、さまざまなお悩みに、新刊『大好きなことをやって生きよう! 【ポケット版】』をはじめ、著作多数の作家 本田健さんと、PRESIDENT WOMAN Onlineの連載「WOMAN千夜一夜物語」でおなじみのコラムニスト河崎環さんが回答する人生相談、連載第14回は「お金を使うことに対する恐れ」についてのご相談です。

【今回のご相談】
お金が怖くて使えません。先行きが見えない昨今、老後が不安なため、稼いだお金はほぼ貯金しています。もともと地味で、交友関係も広くないため、日々の質素な生活自体は苦になりませんが、何のために仕事をして稼いでいるのだろう、生きているのだろうという思いで胸苦しくなります。
使い過ぎも困りものですが、ためてもためても不安というのも悩ましいもの。お金とはかくも難しいものなのでしょうか……。(イラスト=伊野孝行)

お金がなくても友達がいれば大丈夫。では友達を作るには?

【本田健さんの回答】

あなたが感じているのは、お金に対する恐れではなく、人生に対する恐れです。あるいは、未来に対しての恐れと言ってもいいかもしれません。

将来、よくないことが起きそうだ、仕事がなくなる、生活が行き詰まるという不安がベースにあるために、お金がなくなったら困ってしまうに違いないと考えています。でも、本当は、お金のことが怖いのではなく、お金が無くなってしまって生活ができなくなる未来の状況を恐れているのです。そういう意味では、お金の問題と未来への恐れを混同してしまっているのです。

お金がいっぱいあったとしても、未来に対しての不安があれば、お金を失うことが怖いはずです。そうなったら、どれだけお金があっても、不安は消えないでしょう。

なので、大元の恐れである“未来への不安”と向かい合わない限り、この問題は解決しないでしょう。自分が将来ひどい目に遭うという未来のイメージが無くならないと、ずっとそのストレスを感じることになるからです。

お金のストレスから自由になれなければ、楽しくお金を使えないままの人生になります。まずは日常生活で使うお金を楽しむ、そんなすばらしい未来をイメージしてみてください。そして多額でなくていいので、お金を楽しみながら使う癖をつけましょう。そのうち、お金に対するストレスが減り、お金と楽しく付き合えるようになっていきます。

お金が無くても、助けてくれる友人がたくさんいれば、心配する必要はありません。音楽をやってみたり、新しいことを学んだりしているうちに、人間関係が広がっていきます。そのためにお金を使っても、それは、後々返ってくると思います。お金の不安を感じたら、何か楽しむために使ってみましょう。

男性回答者プロフィール:本田健(ほんだ・けん)
作家。神戸生まれ。経営コンサルタント、投資家を経て、29歳で育児セミリタイヤ生活に入る。4年の育児生活中に作家になるビジョンを得て、執筆活動をスタートする。「お金と幸せ」をテーマにした1000人規模の講演会、セミナーを全国で開催。インターネットラジオ「本田健の人生相談~Dear Ken~」は2000万ダウンロードを記録。
代表作『ユダヤ人大富豪の教え』(大和書房刊)など、これまでに著書は100冊以上、累計発行部数は680万部を突破。
【本田 健 公式サイト】http://www.aiueoffice.com/

“きっちりさん”なあなたの余力を、他者とシェアする

【河崎環さんの回答】

そんなあなたが羨ましいです。私は自分のフラフラした欲望ですぐなんでもポチっとネット購入してしまう典型的なキリギリス人間で、たぶん情勢の変化や天変地異やアポカリプスが起きたら真っ先に滅ぶ種です。でも、そんな私がどうにか滅ばずに生きているのは、私からすると「どうしてそんなに堅実なんだ!」と腹が立つくらい真面目な配偶者が、横でちょいちょい苦言を呈しながらバランスを取ってくれているおかげなのではないかと、普段は思いませんがいまちょっと思いました。

老後が不安で稼ぎをほぼ貯金しているとのことですが、あなたの「老後」プランには誰か一緒に年をとる人が入り込むスペースはあるでしょうか? きっとあなたは真面目で、とてもしっかりした自分軸をお持ちなのです。そういう人は一人でも生きていける一方、誰かと生きて行くことに(羽目に)なると、思いがけず舞い込むあれこれの出来事をもうまくこなしていける、余力を持つひとでもあるのです。

結婚や出産といった大きなライフイベントでなくとも、恋愛や、あるいは深い友情関係、もしくは遠い国の教育機会のない子どものフォスターファミリーになるなど、自分の人生が自分だけのものでなくなる経験をすることで、あなたのきっちりと破綻のない人生に、ちょっとした「ほころび」というか糸口をつくると、あなたの中で何かが動きだすでしょう。

あなたのきっちりした人生の余白を、ほかの人と共有してみてはいかがでしょうか。すると「何のために生きているのか」が見えてくるかもしれません。

女性回答者プロフィール:河崎環(かわさき・たまき)
フリーライター/コラムニスト。1973年京都生まれ、神奈川育ち。乙女座B型。執筆歴15年。分野は教育・子育て、グローバル政治経済、デザインその他の雑食性。 Webメディア、新聞雑誌、テレビ・ラジオなどにて執筆・出演多数、政府広報誌や行政白書にも参加する。好物は美味いものと美しいもの、刺さる言葉の数々。悩みは加齢に伴うオッサン化問題。