「がんばった自分へのご褒美!」こういうこと、ありますよね。ご褒美は活力を養うための、言うなれば「アメ」。でもチープなアメでも、回数を重ね過ぎると高級スイーツほどの散財に。自分の満足度が高くお金のためにもなる、メリハリのあるご褒美術を紹介します。
ご褒美は「回数」×「金額」、総額で考えよう
「がんばった自分へのご褒美は必要」なんてフレーズ、聞いたことがありますよね。ご褒美ですから、ときめいてしまいます。何だかよさそうです。でもここはいったん冷静に、「ご褒美」について考えてみましょう。
ご褒美支出で気にしたいのは、「回数」と「金額」です。
回数×金額=ご褒美の総額
という式が成り立ちます。
家計管理で大事なのは「費目」ではなく、「なぜ」使うかという点です。ご褒美支出の場合、この「なぜ」は「回数」に直結します。
・大きなプロジェクトが成功した
・営業成績で1位になった
・試験に合格した
確かにがんばった。「お疲れ様、わたし!」というのもいいでしょう。ただ、いつしかそれが常態化してしまい、より多くのご褒美がないと、次への活力にさえならなくなる恐れがあります。「ご褒美マヒ」です。
大仕事→小仕事→仕事→何となく→疲れたから→イライラしたからと、ご褒美の基準が下がっていけば、回数がどんどん増えてしまいます。
さすがに回数が増えると、1回あたりの金額も減っていくものですが、総額が増えてしまえば、意味はありません。
ご褒美に必要なのは「ときめき」
例えば、1度に10万円のご褒美支出をしたとします。高価な腕時計、オーダーメードのスーツ、アクセサリー、何でもいいです。
それに対し、毎日400円のご褒美支出をしたとしましょう。デザート、発泡酒ではないビール、おいしいコーヒー、こちらも何でもかまいません。
日々の400円は小さくても、1年で見れば14万4000円になり、一度の10万円のご褒美を軽く超える計算です。
現代社会はせわしないストレス社会です。がんばった後に、こうしたご褒美をすることは必ずしも悪いことではありません。
でも、ご褒美をご褒美として考える意識が低くなってしまうと、単なるプチぜいたくに陥る可能性があります。プチぜいたくとなると、ご褒美から降格されているので、プチぜいたく+本来のご褒美となってますます支出が増えてしまうだけです。
ですから、どういったときにはご褒美OK、という基準をしっかり持っておきましょう。結局、その基準を緩めないことが、ご褒美がときめき買いになるかどうかにもつながります。
ご褒美ばかりしていたら、それが当たり前になって、ありがたみが薄れてしまいます。日ごろのがんばりがあるからこそ、ご褒美がご褒美でありえるのです。
一つ付け加えると、お金をかけるばかりがご褒美でもありません。ご褒美の本来の目的が癒やしとか次への活力であるならば、すべての音をシャットアウトさせて、好きな飲み物を用意して、ゆっくり読書をして過ごすのもぜいたくな過ごし方ではないでしょうか。
※本連載は書籍『レシート○×チェックでズボラなあなたのお金が貯まりだす』(八ツ井慶子著、プレジデント社刊)からの抜粋です。
個人向けの相談に積極的に取り組み、リピーターも数多く抱えるファイナンシャルプランナー。一方で全国を飛び回って講演活動も行い、テレビや雑誌などの取材依頼も引きを切らない。「NHKスペシャル」「ズームイン!!SUPER」「ワールドビジネスサテライト」などに出演したほか、「プレジデント」「日経WOMAN」「CREA」などにもたびたび登場されている。2013年に「生活マネー相談室」を設立。著書に、『レシート○×チェックでズボラなあなたのお金が貯まりだす』(プレジデント社)などがある。