春はもうすぐそこ。未来の自分への投資のために、新しいチャレンジを考えている人も多いのでは? その心意気は素晴らしいのですが、その投資したお金は、本当に回収できるでしょうか? 自己投資を無駄金に終わらせない方策を、ファイナンシャルプランナー・八ツ井慶子さんが指南します。

自己投資資金を無駄にしないためのアタマの切り替え方

自己投資、いいですね。自分を高めることでしたら、プライスレス。ぜひお金を惜しまず使ってほしいと思います。

ただし、お願いしたいことがあります。本気で取り組むこと。簡単にあきらめないことです。

自己投資は、「なりたい自分」に近づけるかどうかがわかりやすい支出の一つでしょう。方向性として間違っていなければ、あとはあなたが本気で取り組めるかどうかです。

家計相談を受けている中で、結果的にムダ遣いに終わってしまうことが多い自己投資に、スポーツジムの会費があります。「自分でお金を払えば本気になれる」という、ジムの宣伝文句もよく見かけます。

本当にそうでしょうか。私は逆だと思います。「本気なことには、お金を使える」ではないでしょうか。

スポーツジムも、通いはじめは本気だったのかもしれません。誰も完璧な人ばかりではありませんし、そう思ったのなら、始めてもいいでしょう。でも、行きたくない言い訳がついて出てくるようになったら、それは本気ではありません。

・仕事が忙しい
・雨が降っている
・何だか体がだるいから、かえって逆効果だ
・観たいテレビがある
・飲み会が入ってしまった

最初はやる気満々でも、どうも続かないことはあるものでしょう。でも、「本気ではない」と気がついたら、潔く軌道修正しましょう。

その失敗を次に生かさないと、お金も時間も労力もすべてムダに費やしてしまいます。始めた当初とやめると決めたときを振り返って、気持ちを綴っておくといいと思います。日記でも、手帳でも構いません。

ところが、潔くやめられない人が多いのです。何か妙な呪縛があるのか、「月会費を支払い続けていれば、またいつでも始められる」「いまやめてしまったら、入会費がもったいない」。

やめたっていつでも始められますし、使わないジムの月会費が入会費を上回れば、支払っているほうがよっぽどもったいないです。払ったお金は戻ってきません。そこはもう、いい意味で忘れましょう。

あなたの投資資金を無駄にしないための秘策

できるだけ自己投資資金をムダにしないためにも、こんなふうにしてみてはいかがでしょうか。

まず自己投資したいと思ったら、費用を振り込む前に、目の前に現金で準備します。自己投資の代償に、目の前から消えるあなたの大切なお金です。

それに対し、自己投資した後の理想的な自分を思い浮かべてみてください。お金を失う喪失感よりも、理想的な自分を思い浮かべたときのときめき度やワクワク感が上回るようであれば、本気度はかなり高いです。

ヨシと思ったら、ぜひ真剣にがんばってみてください。そうやって使われるお金も使われ甲斐があるというものです。

※本連載は書籍『レシート○×チェックでズボラなあなたのお金が貯まりだす』(八ツ井慶子著、プレジデント社刊)からの抜粋です。

八ツ井慶子(やつい・けいこ)
個人向けの相談に積極的に取り組み、リピーターも数多く抱えるファイナンシャルプランナー。一方で全国を飛び回って講演活動も行い、テレビや雑誌などの取材依頼も引きを切らない。「NHKスペシャル」「ズームイン!!SUPER」「ワールドビジネスサテライト」などに出演したほか、「プレジデント」「日経WOMAN」「CREA」などにもたびたび登場されている。2013年に「生活マネー相談室」を設立。著書に、『レシート○×チェックでズボラなあなたのお金が貯まりだす』(プレジデント社)などがある。