あなたは長財布派? それとも二つ折りの財布派? 「お金が貯まらない」と家計相談にくる人の多くは、財布の使い方に無頓着なケースがあると、ファイナンシャルプランナー・八ツ井慶子さん言います。お金に対する心掛けひとつで、お金が貯まり始める「財布のかしこい使い方」とは?
長財布を使うとお金持ちになれるのか?
金運を簡単に上げる方法は、ちまたにいろいろあふれています。
「二つ折りの財布よりも、長財布がいい」という話を聞いたことはないでしょうか。財布を替えるだけで金運が上がり収入もアップするならば、こんな楽チンな方法はありません。
でもこの考え方、どうも私にはしっくりきません。いままで多くの家計相談を受けてきた経験から、長財布を使っていても財布そのものが整理されておらず汚くて、お金が全然貯まらない人を何人も見てきました。
逆に、二つ折りの財布でも、シンプルにきれいに使っていて、お金もしっかり貯められている人も少なくありません。
ちなみに私はどうかというと、長財布派です。いまみたいに「長財布信仰」がある前から20年近くずっと長財布を使っています。実は、明確に長財布を使い始めるキッカケがありました。
あるときコンビニでお金を支払うのに、二つ折り財布から1000円札を取り出したときのこと。私の手から離れた1000円札は、くるんと二つ折りの状態でレジに置かれていました。その折れ曲がったお札の姿は痛々しく、私はお札に対して申し訳ないと思いました。
お札の本来の姿は折れた姿ではない。ピンと平たい状態、それがお札らしい姿だと思ったのです。
それには二つ折り財布ではダメ。それから私はすぐに長財布に替えることにし、それ以来買い替えるときも長財布を選ぶようにしています。
お金が居心地のよい「財布の使い方」を心掛ける
「長財布を使う」だけでは効果はなく、そこにきちんと本心が伴うかどうかが大事なのだと思います。お金を大事にする気持ちがあって、そのうえで長財布を使うと、より効果はあるのではないでしょうか。
形だけ取り入れても結果が伴わない教訓として、いまさらながら「あぁそうか」と思うのが、民話『花咲かじいさん』。心清いおじいさんと腹黒いおじいさんがいて、同じことをするのですが、ことごとく結果は対照的である物語です。
主人公のおじいさんが灰を木にまけば、枯れた桜が満開になりましたが、腹黒いおじいさんが同じことをやっても、灰をまき散らしただけ。かえって隣人に迷惑をかけたとおとがめを受ける羽目になります。
長らく言い伝えられる話やことわざ、故事成語には、昔の人の英知が詰まっています。お金の法則はこうしたところによく当てはまるものです。
長財布を使うこと自体は否定しません。きっとお金にとっては二つ折り財布よりも気持ちがいい居場所になると思います。でも、単に長財布を使うのではなく、そこにあなたの思いも入れてあげてください。
※本連載は書籍『レシート○×チェックでズボラなあなたのお金が貯まりだす』(八ツ井慶子著、プレジデント社刊)からの抜粋です。
個人向けの相談に積極的に取り組み、リピーターも数多く抱えるファイナンシャルプランナー。一方で全国を飛び回って講演活動も行い、テレビや雑誌などの取材依頼も引きを切らない。「NHKスペシャル」「ズームイン!!SUPER」「ワールドビジネスサテライト」などに出演したほか、「プレジデント」「日経WOMAN」「CREA」などにもたびたび登場されている。2013年に「生活マネー相談室」を設立。著書に、『レシート○×チェックでズボラなあなたのお金が貯まりだす』(プレジデント社)などがある。