世にはびこる「40歳を過ぎたら絶望的」という説は正しいのか。人口動態のデータから不妊治療の実績に関するものまで、さまざまなデータで検証していきます。
不妊治療データを見ると
「40歳で7%しか出産できない」は本当なのか?(http://woman.president.jp/articles/-/1016)の記事中にある3つの誤解のうち、最初の1、2にあたる部分については、厚生労働省の「不妊に悩む方への特定治療支援事業等のあり方に関する検討会」(2013年)にて、きちんとデータが示されています。
(1)不妊治療を「40代ではじめて治療開始した人」を調査対象とする(30代からの継続者を除く)
(2)1回の人工授精ではなく、何度も治療を繰り返した結果、最終的に出産できた人の割合、を調べる
(3)途中で治療を放棄した人(少なからず自然妊娠の可能性がある)を除き、治療を続けた場合の数値を出す
と精査した結果がグラフ1となります。こちらは、同検討会の委員でもあった、J-SART(日本生殖補助医療標準化機関)理事長の見尾保幸先生の治療データをもとに作成されています。
データでは、治療継続者のうち、妊娠した人は55.3%、出産に至った人は32.0%。「7%」という数字とはだいぶ異なります。2014年のデータでは数字はさらに上がって、妊娠できた割合は73.1%、出産に至った割合も5割近くになっています。
ただし、その最新データでも45歳以降となると、妊娠できた割合で9.1%。出産できた人はさらに少数でしょう。あらためて、40歳なら可能性大、45歳は厳しいといえそうです。
イラスト=Takayo Akiyama