いきいきと過ごす休日の達人たち。彼女たちは日頃どのようにオフを生かして、コミュニケーション力を磨いているのか。仕事につなげられるヒントがここにあります。

学ぶ意欲があれば場を選ばず吸収できる

日産自動車で広報、商品企画、人財育成などに携わり、40歳をすぎてから結婚、起業した三橋亜紀子さん。ストレッチ専門店のフランチャイズのオーナーとして忙しい日々を送りながら、稲葉ゆきえ(愛称スヌ子)先生の料理教室に通い始めたのは2014年10月のこと。

【写真上】三橋亜紀子さん【写真下】働いている人が7割というスヌ子先生の教室。女子会みたいに賑やかだ。

「部下や経営者仲間を家に招いて料理を振る舞う機会が増えたので、料理のスキルを磨きたいなと思って。実際に通ってみると、スヌ子先生のコミュニケーションスキルがとても高く、それも勉強になっています」

クラスは10人前後の少人数制。大人数の教室と違い、一人ひとりがお互い顔の見える授業。先生と生徒が密にコミュニケーションをとりながらレッスンが進んでいく。

「先生の空気の読み方とか、間の取り方とか。何より“つかみ”が抜群。ときどき笑いをとって生徒のハートをわしづかみにし、集中力を切らさずに最後までもっていくのはさすがです。うちの会社のスタッフは若いので、私は経営者という立場で社員をいかにこちらに向かせるか、スヌ子先生を見ていつも参考にしています。話し方や伝え方など、すべてはプレゼン能力なんだと感じました」

三橋さんは、あえて平日の昼のクラスを選択。同じような経営者が多いのではないかと考えたからだ。レッスンでは初めて会う人も多いが、すぐに打ち解けるタイプ。それには、広報時代の経験が活きているという。

「ファーストインプレッションが大事だと思うのですが、私は背が高いというだけで威圧感があるので、なるべくやわらかい雰囲気をつくるよう心がけています。優しく見えるよう淡い色の服を着るとか、親しみやすいようにメイクも垂れ目風にするとか。言葉の選び方もなるべくやまびこで。相手が丁寧な言葉で話しかけてきたらアジャストするし、フランクな話し方だったらそれに合わせるようにしています。笑顔で、たくさん相づちを打つ。でないと相手と近づけないですから」

レッスン後の実食タイムでは、お酒を飲みながら会話が弾む。仕事や恋愛のこと、家庭の悩みや子育てなど、料理とは関係ない話題が飛び交い、大いに盛り上がる。

三橋さんにとってこの空間は、単に料理のスキルを磨くところではなく、さまざまな人とコミュニケーションできる大切な場所だという。

「学ぶ意欲があれば、どんな小さなことでも吸収できると思うんです。ここで学んだことを、仕事にも活かしていきたいですね」

【From PROFESSIONAL】生徒に合わせ、変幻自在にレッスン

料理家 稲葉ゆきえさん

教室に通ってくる方は30~40代の働く女性が多いですね。この生徒さんにはこういう手順の料理を提案すると喜んでもらえるとか、この方には説明の仕方を変えたほうがわかりやすいだろうとか。生徒さんに合わせて教え方を変えています。レッスン後は、作った料理を食べて、お酒を飲んで、楽しく語り合う。あまりお話ししていない人を見ると、共通の話題を見つけて、その方の名前を呼んで話しかけます。初めていらした方でも、すっと馴染める雰囲気を心がけていますね。

 
三橋亜紀子
アスライト代表取締役。東京生まれ。短大卒業後、日産自動車へ入社。広報、商品企画、マーケティング、人財育成を経て、2013年、健康・美容関連ビジネス関連の会社(株)アスライトを設立。現在、ストレッチ専門店の「Dr.ストレッチ」銀座一丁目店、四谷三丁目店の2店舗を経営。
稲葉ゆきえ
料理家。愛称スヌ子。雑誌編集者から転身、東京日本橋「ギャラリーキッチンKIWI」にて料理教室を主宰。思わずお酒が進む手軽で華やかなレシピを、雑誌、WEB、広告で公開。6月末に『酔いどれスヌ子の麗しごはん』(小学館)刊行予定。