ロボットが進化すると、女性の生活はどう変わるのでしょうか。
「女性の生活の中にロボットがいる未来」というと、どんなものを想像するだろうか。たとえば、ロボットアームを使った台所仕事を想像したりするかもしれない。鏡型のロボットが、そこについたカメラで毎日の顔色をチェックして健康のアドバイスをくれたり、写真を撮って記録してくれたりするようなサービスが出てくるかもしれないし、エアコンの人感センサーのようなものが家のあちこちにつけば、家そのものが生活の記録、つまりライフログをとってくれるロボットになっているかもしれない。女性とロボットは意外にも相性が良いのである。
以前は映画やアニメのような空想の中だけのものだったロボットだが、今や、さまざまな種類の掃除ロボットやソフトバンクの「Pepper」をはじめとしたコミュニケーションロボットなど、多様なロボットが発売されている。最近では、雑誌や新聞でも私たちのくらしに役立つロボットの特集が組まれて、人工知能などの技術的なトピックスが身近な話題になってきている。
人工知能といえば、20年くらい前は携帯電話やスマートフォンで使う漢字予測変換が大変難しいとされていた研究課題だった。しかし、今は技術が進んで、漢字変換システムを人工知能だと思う人はほとんどいない。たとえば、Androidのスマートフォンでは、「OK、Google」と呼びかければ自動で音声を認識して検索画面を起動してくれる。このように、私たちが意識していないだけで、人工知能やロボット技術は今ある身近なものにすべて応用され、するりと毎日の何げないくらしの中に入り込んでいる。
その進化系が、タカラトミーのクラウド型お話しロボット「OHaNAS(オハナス)」だ。こうした“動かないけれどおしゃべりが得意”というタイプのコミュニケーションロボットが、これから一層、手頃な値段で登場してきそうだ。独り暮らしのおしゃべり相手として、初期のうちは受け答えがまだまだでも、漢字変換と同じように、音声認識も画像認識もあっという間に便利に使えるようになると予想されている。忙しい子育て世代ばかりではなく、高齢化社会の日本では、掃除ロボットだったとしてもなんらかのコミュニケーションが成り立てば、独り暮らしの老人のルームメイトとしてロボットが身近になる日はそう遠くないだろう。
ただし、ロボットが身近になると、実は手間が減るのではなく、手間がかかるように変化してくる。たとえば、家電の場合、私たちのくらしをいかに便利に、手間要らずにするかというところをポイントにして技術開発が行われる。一方、ロボットはなんらかのコミュニケーション、関係性を引き出すというところに技術開発のポイントがおかれる。ロボットは、家電のようなことをしてくれるかもしれないが、基本的にコミュニケーションが必要になるという点で手間なのだ。
たとえば、ソニーのロボット「AIBO」の開発のコンセプトは「何の役に立つのかわからないこと」だったといわれている。手のかかる子だからこそ、これほど長い間ユーザーに愛され、修理不可能になればお葬式までしてもらえる。文化の問題と分析もできるが、便利になりすぎた現代で「手がかかる」ということは、かえって愛着がわくということでもある。
このように、近い将来、おしゃべりができたり、身近でお手伝いしてくれたりするロボットが増えてきて、メンタルケアやライフログというような新しいコミュニケーションやライフスタイルが生まれてくることが期待されている。そして、こういった技術は、すごく快適だったり、便利だったりしても、自然な形で入り込んでくるだろう。携帯電話がなかった時代のことを今思い出すのが難しいように、私たちの生活が大きく変わったことを実感するのは実は難しい。普段の生活の中にロボットがいる未来は、きっといつの間にか始まっている。