自信をくれたワインとの出合い

入社してからは、札幌の支社でスーパーマーケットへの営業をしていました。その際に面白くなってきたのがワインの販売でした。

アサヒビール 法人営業本部 岩村葵さん

当時、少し寂しかったのは、若手の営業職の女性が次々に営業以外の内勤の部署を希望して、現場を去って行ってしまうことでした。結婚や出産という環境の変化もありますし、目標達成へのプレッシャーも大きい職種ということもあり、続けていくモチベーションを維持するのは大変なことなんです。

私も一時期は壁にぶつかって悩んだことがあったのですが、そのときに営業に対する自信を支えてくれたのが、ワインとの出合いだったんです。

ビールと比べてワインというのは、個人の営業活動やちょっとしたアイデアが売り上げに反映されやすい分野です。アサヒビールでは各国、約400アイテムのワインを取り扱っていますが、例えばチーズ売り場の前に一押しの銘柄の木箱を積んだり、食と連動させた提案やPOPを考えたり。それが目に見える形で売り上げに結びついていくことに、営業の醍醐味を感じました。

ワインの面白さは、低価格でもおいしいものがありますし、国や品種によって全く味わいが異なるので、自分の好きなものを見つける楽しみがあるところ。そのような観点を持ちながら販促活動に工夫を凝らし、実際にそれが実を結んでいくうちに、ワインを自分の強味にしていこうと考えるようになりました。それでワインアドバイザーの資格を取ろうと勉強を続けていたとき、内示を受けたのが現在の部署への異動でした。

存在すら知らなかった部署への異動

ただ、最初に「法人営業第二部」と聞いたときは、「それはどこ? 何をしている部署?」という感想だったのも正直なところです。

というのも地方の支社で働いていると、東京本社にあるいくつもの部署が、具体的にどんな仕事をしているかを実感する機会があまりないからです。

だから、東京に出てくるときは楽しみな気持ちと同時に、とても不安でもありました。

いまから振り返ると、そうした情報の少なさは、私が将来のキャリアを想像していく上で、ちょっとした閉塞感にもつながっていたように思います。

ただ、この1年間、東京本社で仕事をしたことで、自分の今後のキャリアへの選択肢がずいぶんと広がったように感じています。あの部署も面白そう、こういう部署でも女性が働いているんだ、と社内のいろんな仕事を間近に見ることができたからです。

女性が活躍しているフィールドが、自分の会社にもこんなにたくさんあるんだ、という実感。そうした実感を得られることが、女性社員のキャリアアップへの想像力を広げるのではないでしょうか。

キャリアを磨くということは私にとって、自分のやってきた仕事に対して自信を持てるようになることです。例えば東京本社の第一線でも結果を出せれば、どこにいっても自分は通用するはずだと信じることができる。一昨年取得したワインアドバイザーの資格も活かしながら、今後もそんな自信を一つひとつ積み重ねて、働く上での可能性を広げていきたいと思っています。

●手放せない仕事道具
手帳&スマホ(1日4~5件のアポをこなすため、スケジュール管理に必須。)

●好きな言葉
経験は裏切らない

●ストレス発散法
女子会

 
岩村 葵(いわむら・あおい)
北海道出身。2010年にアサヒビールに入社し、北海道で量販営業を担当。ワインの魅力にはまり、ワインアドバイザーの資格を取得。さらにワインにかかわる仕事をしたくなり、本社への異動を希望。14年より本社法人営業第二部にて活躍。