ホテルの支配人や社長相手に商談
アサヒビールの法人営業第二部には、私を含めて11人の営業部員がいます。年齢層が他の部署と比べてとても高いことが特徴で、私の1つ上の先輩は40代半ば、その他多くのメンバーも5~60代の先輩たちという年齢構成になっています。
ベテランの営業担当者が多いのは、「大手消費母体」の社長や総支配人など、役職の方との商談が多い部署だからです。
法人営業第二部が担当する「大手消費母体」とは、大手ホテルチェーン、ゴルフ場、ブライダル、温浴施設、スキー場などを指します。大手ホテルチェーンには都内のシティホテルや、その中にあるレストランも含まれていて、例えば最近の私が担当しているのは都内のホテル内に今年オープンするステーキハウス。レストランの支配人の方と街で人気のあるステーキ屋さんを回り、ドリンクだけではなくお料理の提案も行っています。アサヒビール社内の飲食店向けコンサルティング部署とも連携しながら、組織的に新規事業をバックアップしていきます。
法人営業部の担当は今まで、経験豊富な年配の社員が中心となってきましたが、近年はお得意先からもトレンドやこれまでとは違った感性の提案を必要とされることが増えています。その中で私がこの部署に異動したのは、社内において新しい風を吹き込み、新たな市場変化に対応するためだと聞いています。
フロア内は男性ばかり
私は去年、北海道支社から異動してきたのですが、法人営業第二部としては最年少の営業部員だということでした。フロア内はほとんど男性社員ばかりなのですが、仕事がしづらいと思ったことはありません。まるで娘のように可愛がってもらい、親身になって相談に乗ってもらいながら、仕事をしているという感じです。
異動になってから1年が経って思うのは、この部署での仕事を担うに当たって女性であることはいま、一つのメリットであるということです。
近年はホテルでも女性からの視線での提案がよく求められますし、また、いまはまだ競合他社も含めて営業担当者は男性ばかりなので、お客様から本当に顔を覚えてもらいやすいです。
お酒の営業で何よりも大事なのは、飲食店のお客様がお店で出す銘柄を変えようと思ったとき、営業担当者の顔を思い出してもらうことです。「うちのビールを売ってください」と無理強いするのではなく、何かあったときに相談してくださるような関係を一つでも多く作っておく。それが重要です。
だから、現在のホテルへの営業であれば、総支配人だけではなく、各レストランのマネージャーの方々とも、普段からきちんとお話をしておかなければなりません。いくら総支配人がアサヒ党であっても、実際の現場から声が上がってこなければ何も変わらないですから。
そのために大切なのがとにかく顔を出し、信頼されるような人間関係を築くことで、その積み重ねが何か変化を彼らが求めたとき、「それなら○○さんに何か相談しようか」という声につながると思っています。その意味で数少ない女性営業部員であることは、自分の個性を活かしやすいと感じています。
ただ都内では他社も女性の営業が増えてきていて、地域によっては4社とも女性という地区も出てきています。それだけ現場が変化してきたということかもしれません。
学生時代から営業が好きだった
私はアサヒビールに入社したときから、営業の仕事に就きたいと思っていました。
営業職を志望したのは、学生時代からずっとアパレルショップのアルバイト店員をしていて、お客様と話す仕事が自分に向いていると感じていたからでした。自分の実績が数字に結びついていく接客業の感じも好きでしたし、お客様との出会いがあるのも楽しかった。
営業職というのはどの業界でも、目標に達成しないと「どうなっているんだ」という上司からのプレッシャーが強くなるものですよね。学生時代から店長に予算達成に向け叱咤激励されていたので、そうした環境にも自分は強いと思います。そんななか、アサヒビールは女性の総合職の営業部員が多いと聞き、受けてみることにしました。
当時はお酒もそんなに飲めませんでしたが、お酒というお客様の楽しむ時間を生み出している会社なのもいいな、と思ったことも理由の一つでした。
北海道出身。2010年にアサヒビールに入社し、北海道で量販営業を担当。ワインの魅力にはまり、ワインアドバイザーの資格を取得。さらにワインにかかわる仕事をしたくなり、本社への異動を希望。14年より本社法人営業第二部にて活躍。