仕事、家庭生活、お金、親子関係……、さまざまなお悩みに、100冊以上の著作を誇る作家の本田健さんと、PRESIDENT WOMAN Onlineの連載「WOMAN千夜一夜物語」でおなじみのコラムニスト河崎環さんが回答する人生相談、連載第11回は「夫の態度が及ぼす子供への悪影響」に関するご相談です。

【今回のご相談】
夫が人を見下すような態度や物言いをします。私の両親に対してもそうです。大人なので今更変わらないと諦めていますし、そんな相手と結婚した自分にも責任があると覚悟を決めています。ただ、小学1年生の息子が夫のような大人になってしまうのではないか、と心配です。子供に対して「お父さんみたいな人になってはダメよ」という言い方をするのも、教育上よくない気がします。何かいい方法はないでしょうか。
もし「こんな大人にはなってほしくない」という人が、自分の子供の父親だったとしたら、あなたはどうしますか?(イラスト=伊野孝行)

傷ついた子供時代の夫を想像して

【本田健さんの回答】

人を見下す人は、自信がない人です。あなたの旦那さんも、本当は自信が無いので、人にきつく当たったり、見下す態度を取ったりしているのかもしれません。でも、そんなことを指摘しても、本人は絶対に認めないはずです。なぜなら、プライドが邪魔をするからです。

自分が人に失礼な態度を取っているといったことを指摘されて、素直に聞けるタイプなら、最初からそうなっていないでしょう。なので、こういうタイプの人と話すときには、爆発物処理班のような緊張感が必要です。なぜなら、ちょっとしたプライドを傷つけてしまうと、爆発してしまうからです。困るのは、「怒らないで」と言っても、「いや、怒ってなんかいないよ!」と、怖い顔をされてしまうことです。

あなたの旦那さんが、なぜそういう人になってしまったのかですが、理由があるはずです。小さい頃に両親から愛をもらえなかったとか、褒めてもらえなかったとか、怒られたなどの可能性があります。そういうことをイメージしながら、傷ついている小さな子供時代の彼を想像してください。ちょっとは、彼に優しくしてあげようと思えるはずです。

すると、彼の心のささくれだったところも少しは良くなるはずです。言ってはいけないことは、「あなたは、癒されていないから、そんなイヤなヤツになったのよ!」という売り言葉です。これには気をつけましょう。

男性回答者プロフィール:本田健(ほんだ・けん)
作家。神戸生まれ。経営コンサルタント、投資家を経て、29歳で育児セミリタイヤ生活に入る。4年の育児生活中に作家になるビジョンを得て、執筆活動をスタートする。「お金と幸せ」をテーマにした1000人規模の講演会、セミナーを全国で開催。インターネットラジオ「本田健の人生相談~Dear Ken~」は2000万ダウンロードを記録。
代表作『ユダヤ人大富豪の教え』(大和書房刊)など、これまでに著書は100冊以上、累計発行部数は680万部を突破。
【本田 健 公式サイト】http://www.aiueoffice.com/

夫に迎合しなければ子は学ぶ

【河崎環さんの回答】

古くて甘ったれて面倒くさい旦那さん、大変ですね。彼女や妻や家庭に対して「オレ様」な男性は、家庭外や職場では空気読みまくりの社会生活を送っていたりするものです。本人は実のところ小心者で、外では発散できないストレスを最も安心できる場で安心できる相手に向かって発する。そういう男性の弱さを包容してあげて、などと私は言いません。

家庭内で傲慢な振る舞いをする男性は、家庭外では嘘みたいに立派ないい人のふりをします。ところがそれで取り繕えていると思っているのは本人ばかりなり。ふだんの言動から性格というのはダダ漏れで、社会的信用を日々ジャッジされています。やがて自分の足元が危なくなるような局面に至ると、本人の内側から修正されていくでしょうが、成長・成熟とともにそういった修正がされない人は、最終的に現代の組織では残れません。あなたが「それでは困る」と思うなら、あなた自身も「今更変わらない」などと諦めず、きちんと旦那さんの態度に関して苦言を呈し、話し合うべきだと思いますよ。

あなたのおっしゃる通り、母親が子供に向かって父親への不満を一方的に漏らすのはフェアではありませんから「お父さんみたいになってはダメ」と口に出すべきではないでしょう。でも子供は、大人をよく見ています。母親が口には出さずとも、あなたが決して旦那さんの態度に迎合したり染まったりしなければ、子供は両親の様子から世の善悪を敏感に学び取るのです。

女性回答者プロフィール:河崎環(かわさき・たまき)
フリーライター/コラムニスト。1973年京都生まれ、神奈川育ち。乙女座B型。執筆歴15年。分野は教育・子育て、グローバル政治経済、デザインその他の雑食性。 Webメディア、新聞雑誌、テレビ・ラジオなどにて執筆・出演多数、政府広報誌や行政白書にも参加する。好物は美味いものと美しいもの、刺さる言葉の数々。悩みは加齢に伴うオッサン化問題。