仕事、家庭生活、お金、親子関係……、さまざまなお悩みに、100冊以上の著作を誇る作家の本田健さんと、PRESIDENT WOMAN Onlineの連載「WOMAN千夜一夜物語」でおなじみのコラムニスト河崎環さんが回答する人生相談、連載第10回は「あいさつ」に関するご相談です。

【今回のご相談】
会社に、あいさつをしても無視する女性の先輩がいます。「何か悪いことをしたかな?」と考えてみたのですが、思い当たる節がありません。あいさつをしてくれない先輩に対して、これから先もずっとあいさつをし続けるしかないのでしょうか。またあいさつをし続けた方がよいのでしょうか。
子供だってしているあいさつ。しかし大人になっても、会社の場でも、できない人がいるものです。(イラスト=伊野孝行)

自分のことを嫌いにならないために

【本田健さんの回答】

あいさつしても、返ってこない……。切ないですよね。時には、肩すかしを食らったような気もするし、独り相撲をとっている自分にイライラしたりするかもしれません。相手に対して怒りすら湧いてくることもあるでしょう。

こういうシチュエーションでいちばん簡単な方法は、あいさつすることをやめてしまうことです。もちろん、それで人間関係は終わります。でも、それ以外の方法もあることをお伝えしたいと思います。

相手がどうであれ、とにかくあいさつを続けるというのをゲーム感覚でやってみるというのはどうでしょうか?

相手があなたに対して心を閉ざしているかもしれないし、自分の問題であいさつをしたくない気分になっているのかもしれません。いずれにしても、あなたには関係ないことです。

これは、あなたが人とどう付き合いたいかということの試しでもあります。あなたが、相手がどういう状態であれ、フレンドリーに対応したいと思うのであれば、相手が負けるか、自分が負けるかぐらいのつもりで、あいさつを続けてみてください。

途中であいさつをやめるより、自分のことが好きになれます。そして、いずれ相手も、あいさつを返してくれて、「今までごめんなさい」と謝ってくれるかもしれません。

男性回答者プロフィール:本田健(ほんだ・けん)
作家。神戸生まれ。経営コンサルタント、投資家を経て、29歳で育児セミリタイヤ生活に入る。4年の育児生活中に作家になるビジョンを得て、執筆活動をスタートする。「お金と幸せ」をテーマにした1000人規模の講演会、セミナーを全国で開催。インターネットラジオ「本田健の人生相談~Dear Ken~」は2000万ダウンロードを記録。
代表作『ユダヤ人大富豪の教え』(大和書房刊)など、これまでに著書は100冊以上、累計発行部数は680万部を突破。
【本田 健 公式サイト】http://www.aiueoffice.com/

異なるタイプの人を受け入れる術を

【河崎環さんの回答】

あいさつは生活の基本、相手に合わせてあなたがその美徳を失うのはもったいないことです。世の中には「他人のあいさつを一切の罪悪感を持つことなく無視できる人」が存在します。これには2種あって、意識的に無視する人と、本気で見えていない・聞こえていない人がいるのです。後者はナントカと紙一重、ある種の天才というか不思議ちゃんというか、集中力が尋常でないレベルで高く、周りに注意を一切払わずに純粋に何かの考えに没頭しています。そういうタイプはある種の宇宙人として受け入れ、すれ違ったらとりあえず会釈でもしてみて「今日も周りが見えてないな、あの人(笑)」と、もし会釈が返ってきたらラッキーくらいに思って彼女の奇人ぶりと元気を確認して楽しみましょう。

さて、感じが悪いのは「意図的に無視する」タイプです。こういう人は、例えば「あの人とは、今のプロジェクトが終わる◯月までの付き合い」とか「もう仕事で絡むこともない人」と分別しているようです。仕事でもプライベートでも、自分に利害関係がある人には関心があるけれど、なくなったら視界から意図的に外して無視するという習性なのです。ですからそういうタイプも別の種の宇宙人として受け入れ、すれ違ったらとりあえず会釈でもしてみて「今日もアタシは『重要リスト外』なのね、あの人(笑)」と、もし会釈が返ってきたらラッキーくらいに思って彼女のエグい割り切りぶりと元気を確認して楽しみましょう。

女性回答者プロフィール:河崎環(かわさき・たまき)
フリーライター/コラムニスト。1973年京都生まれ、神奈川育ち。乙女座B型。執筆歴15年。分野は教育・子育て、グローバル政治経済、デザインその他の雑食性。 Webメディア、新聞雑誌、テレビ・ラジオなどにて執筆・出演多数、政府広報誌や行政白書にも参加する。好物は美味いものと美しいもの、刺さる言葉の数々。悩みは加齢に伴うオッサン化問題。