仕事、家庭生活、お金、親子関係……、さまざまなお悩みに、100冊以上の著作を誇る作家の本田健さんと、PRESIDENT WOMAN Onlineの連載「WOMAN千夜一夜物語」でおなじみのコラムニスト河崎環さんが回答する人生相談、連載第9回は「家事の流儀の違い」に関するご相談です。

【今回のご相談】
台所の洗剤の泡立ちが悪いと思っていたら、義母に水で薄められていました。義母は洗剤が毒だと思っており、使うのは最小限にすべきと信じています。実際、義母が洗った食器は汚れが落ちていないことも多いため陰で洗い直したりしているのですが、当て付けのようになってしまうので、おおっぴらにもできません。どうしたらいいでしょうか。
人によって異なって当然の家事の流儀ですが、相手が義母の場合には激しい衝突に発展することも。(イラスト=伊野孝行)

「ありがとう」からコミュニケーションを

【本田健さんの回答】

悩ましい問題ですね。洗剤の問題であるようで、実は、ふたりのコミュニケーションの問題でもあります。まずは義母さんと、上手に話をしてみましょう。彼女との感覚の違いは、洗剤だけでなく、他のところでも出ているはずです。お互いの「~すべき」がぶつかり合っているからです。

いきなり「お義母さん、洗剤を薄めないでください!」というのは、一番まずい方法であることは、あなたも分かると思います。まず、「お義母さん、洗剤を薄めてくださってありがとうございます。おかげで使いやすくなりました」というところから始めましょう。

そして、「実は私も、洗剤を多く使い過ぎても洗浄効果は上がらないって聞いていたものですから、気になっていたんです。薄めるなんて、すごくいいアイデアですね!」という具合に話をスタートさせましょう。そういう細かいところに気づいて、感謝されて、イヤな気持ちになる人はいません。家族の健康、清潔さは、ふたりとも共通に願っているはずです。ここで対立する必要はないのです。上手にコミュニケーションをとって、楽しい関係を持つことができれば、ちょっとした誤解は解けるし、それまで気になっていたことが気にならなくなるものです。

しばらくして、ほとぼりが覚めた頃に、オーガニックの洗剤に変えてみるのもありだと思います(笑)。

男性回答者プロフィール:本田健(ほんだ・けん)
作家。神戸生まれ。経営コンサルタント、投資家を経て、29歳で育児セミリタイヤ生活に入る。4年の育児生活中に作家になるビジョンを得て、執筆活動をスタートする。「お金と幸せ」をテーマにした1000人規模の講演会、セミナーを全国で開催。インターネットラジオ「本田健の人生相談~Dear Ken~」は2000万ダウンロードを記録。
代表作『ユダヤ人大富豪の教え』(大和書房刊)など、これまでに著書は100冊以上、累計発行部数は680万部を突破。
【本田 健 公式サイト】http://www.aiueoffice.com/

賢い女性にありがちな「呪い」にとらわれない

【河崎環さんの回答】

トイレの使い方やバスタオルの洗濯頻度に始まり、人間同士の流儀や意見の衝突は、毎分毎秒、世界中のあちこちで起こっていること。でも、回避できる方法があります。それは「自分のこだわりからの解放」です。

人生をダンジョン(ロールプレイングゲームに登場する迷宮)としましょう。敵キャラが出現、でも雑魚キャラにいちいち取り合っていたら、細かく傷を負って、いつまで経っても前へ進めません。例えば「洗剤は毒」などナンセンスに思える発言を聞くと、家族相手でもつい論理的に潰しにかかってしまったり、「なんで私が」と感情的に許せず悶々としてしまったりするのが、賢い女性にありがちな「呪い」、こだわりです。軽やかに逃げられないのです。ですから何ごとも、衝突したときは一度感情をゼロにして自問しましょう。「私自身が次に進むために、ここでの私のこだわりは大事か否か?」。答えがイエスなら、相手に動議して折衝し、自分の自由度を高めましょう。ノーなら、さらっと見逃せばいいのです。それでもあなたの人生にはかすり傷一つありませんよ。

汚れの残った食器を洗い足すと角が立つのなら、「エコ家事の記事によると、食器洗いは少々熱めのお湯と物理的な摩擦でほとんど落ちるんですって、お義母さま!」と洗剤なしで洗浄力の強い素材のスポンジやたわしを使うエコ生活に走る、いっそ食洗機を導入しちゃうのもアリです。気持ちよく暮らせる逃げ道を編み出す。そういう生き方のほうが、クリエイティブです。

女性回答者プロフィール:河崎環(かわさき・たまき)
フリーライター/コラムニスト。1973年京都生まれ、神奈川育ち。乙女座B型。執筆歴15年。分野は教育・子育て、グローバル政治経済、デザインその他の雑食性。 Webメディア、新聞雑誌、テレビ・ラジオなどにて執筆・出演多数、政府広報誌や行政白書にも参加する。好物は美味いものと美しいもの、刺さる言葉の数々。悩みは加齢に伴うオッサン化問題。